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手事(てごと)は、三曲の音楽である地歌、箏曲、胡弓楽において、歌と歌の間に挟まれた長い器楽部分。半独立した楽章とも言える。これを備えた曲種、楽曲形式を手事物と呼ぶ。 ==概説== 語源は、もともと邦楽において楽器の奏法、技法、パートなどを「手」と呼び、「歌」に対し、「手」のみで演じられる「事」から来ている。 近世邦楽は声楽中心の音楽であったが、三曲の音楽においては大きな器楽的展開が見られた。その代表例のひとつが手事である。本来地歌および胡弓楽において発生したもので、もともと独奏曲であったものの前後に声楽部分を付属させ、楽曲形式として手事物の体裁を整えたものと、声楽曲の中の短い間奏部分が次第に発達して長大となったものの二種類があると考えられる。前者では「八千代獅子」や「五段砧」、胡弓本曲の多くの曲がそうであり、比較的数は少ない。後者は多くの地歌手事物曲に当てはまり数多くの曲がある。いずれにしても多くの場合、手事は楽器の技巧や旋律の面白さを聴かせることに主眼がおかれている。 曲中の器楽部としては、手事の他に「合の手」(あいのて)があり、これは手事ほどの長さを有しない短いものを指し、様々な声楽曲に見られる間奏と同じものである。また合の手は三曲のみならずそれ以外の三味線音楽や琵琶楽にもある。 手事には、歌詞の情景を描写するものと、歌とは関係なく絶対音楽的に作られているものがある。前者には更に、楽器が主導的で歌が補助的なものと、その逆のものがある。しかし多くの曲ではこれらの要素が入り交じり、また部分的に描写的であったり、絶対音楽的であったりして変化が大きく、それが魅力ともなっている。 手事は、はじめのうちは音楽的にはわりと単純なものであったが、次第に長大、複雑なものとなり、18世紀後期、大阪の峰崎勾当らにより高められ、手事物が完成された。更に19世紀には京都の盲人音楽家達により多数の手事物の楽曲が作り出される。同時に合奏法が発達して、独奏だけでなく段合わせ、地合わせ、打ち合わせ、本手替手合奏、三曲合奏など、様々な合奏法が編み出され、手事は次第にその中心的部分として発展した。 手事はもともと地歌曲、胡弓楽曲の楽式部分であるが、江戸時代中期になると地歌に箏が合奏されるようになり、箏曲としても手事が演奏されるようになった。やがて幕末には箏が地歌から再独立して行くが、この際にも手事物形式はそのまま箏曲に受け継がれ、明治以降にも手事を持つ箏曲が多数作られている。 後世、この手事を単独に器楽曲様式として抽出、作曲する試みもあり、宮城道雄作曲の「手事」などが有名である。 抄文引用元・出典: フリー百科事典『 ウィキペディア(Wikipedia)』 ■ウィキペディアで「手事」の詳細全文を読む スポンサード リンク
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