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数学における射影幾何学(しゃえいきかがく、)は射影変換の下で不変な幾何学的性質を研究する学問である(エルランゲン・プログラムも参照)。射影幾何は、初等的なユークリッド幾何とは設定を異にしており、射影空間といくつか基本的な幾何学的概念をもとに記述される。 初等的な直観としては、射影空間はそれと同じ次元のユークリッド空間と比べて「余分な」点(「無限遠点」と呼ばれる)を持ち、射影幾何学的な変換においてその余分な点と通常の点を行き来することが許されると考えることができる。射影幾何学における種々の有用な性質は、このような変換(射影変換)に関連して与えられる。最初に問題となるのは、この射影幾何学的な状況を適切に記述することのできる幾何学的な言語はどのようなものであるかということである。例えば、射影幾何において(ユークリッド幾何で扱うようには)角の概念を考えることはできない。実際、角が射影変換の下で不変でないような幾何学的概念の一つであることは透視図などを見れば明らかであり、このような透視図法に関する理論が、事実射影幾何学の源流の一つともなっている。初等的な幾何学とのもう一つの違いとして「平行線は無限遠点において交わる」と考えることが挙げられる。これにより、初等幾何学の概念を射影幾何学へ持ち込むことができる。これもやはり、透視図において鉄道の線路が地平線において交わるといったような直観を基礎に持つ概念である。二次元における射影幾何の基本的な内容に関しては射影平面の項へ譲る。 こういった考え方は古くからあったものだが、射影幾何学として発展するのは主に19世紀のことである。多くの研究が取りまとめられ、射影幾何学は当時の幾何学の最も代表的な分野となった。ここでいう射影幾何学は、座標系(斉次座標系)の各成分が複素数となる複素射影空間についての理論である。そしていくつかのより抽象的な数学の系譜(例えば不変式論、代数幾何学イタリア学派、あるいは古典群の研究へつながるフェリックス・クラインのエルランゲン・プログラムなど)が射影幾何学を礎として打ち立てられていった。これらの主題に関わった多くの研究者は、肩書きとしては総合幾何学 (synthetic geometry) に属する研究者である。他にも、射影幾何学の公理的研究から生まれた研究分野として有限幾何学がある。 射影幾何学自体も現在では多くの研究分野へ細分化が進んでおり、主なものとしては、射影代数幾何学(射影代数多様体の研究)と射影微分幾何学(射影変換に関する微分不変量の研究)の二つを挙げることができるだろう。 == 概観 == 射影幾何は距離が定義できないような幾何の基本的なものである。平面射影幾何学は、点と直線との配置問題 の研究に端を発する。実際、デザルグらによる透視図法の原理的な説明〔Ramanan 1997, p. 88〕において、射影幾何学として理解することのできるいくつかの設定に、幾何学的に意味のある言及が散見される。より高次元の空間では、超平面などの線型な部分空間を考えることができて、それらは双対性を示す。この双対性の最も簡単な説明として、射影平面における「相異なる二点は直線を一意的に定める」(その直線は与えられた二点を通る)という言及と「相異なる二直線は点を一意的に定める」(その点は与えられた二直線の交点)という言及が、命題として同じ構造をしているということを挙げることができる。また、射影幾何は直定規のみを用いて構成することができる幾何としても捉えることができる〔Coxeter 2003, p. v〕。そして射影幾何がコンパスを用いた構成を必要としないことから、そこには円も角も角度も平行線も中間性の概念も存在しないことがわかる〔Coxeter 1969, p. 229〕。これらの理由から射影幾何において成立する定理は、初等幾何におけるそれよりも単純な形に述べることができるようになる。例えば、(初等幾何において)異なる円錐曲線は(複素)射影幾何においては全て同値である。また、円に関する定理のいくつかは、もっと一般の定理の特別の場合として見ることができる。 19世紀初頭にポンスレー、ラザール・カルノーらの業績が数学の一分野としての射影幾何学を確立する〔。その厳密な基礎付けは、カール・フォン・シュタウトによって取り組まれ、19世紀の後半にジュゼッペ・ペアノ、マリオ・ピエリ、アレッサンドロ・パドア、ジーノ・ファノらによって完成を見ることになる〔Coxeter 2003, p. 14〕。射影幾何学は(ユークリッド幾何学やアフィン幾何学と同じく)クラインによるエルランゲンプログラムに従った研究もなされた。これによると、射影幾何学は射影群に属する変換のもとで不変な幾何学的対象によって特徴付けられる。 このような主題に対する多大な数の定理についての研究の結果、射影幾何学の基本的概念が理解されていくことになる。例えば、接続構造と複比は射影変換の下での基本的な不変量である。また、アフィン平面(あるいはアフィン空間)に「無限遠」にある直線(あるいは超平面)を加えて、「通常」の直線(あるいは超平面)と同様に扱うことによって射影幾何のモデルを作ることができる〔Coxeter 1969, pp. 93, 261〕。さらに、射影幾何を解析幾何学のやり方で扱うための代数的なモデルは斉次座標系を用いることで与えられる。〔Coxeter 1969, pp. 234–238〕〔Coxeter 2003, pp. 111–132〕。それとは別に、射影幾何の公理的な研究によって、非デザルグ平面の存在が顕わになる。これは例えば、(二次元の場合だけだが)斉次座標系を通して正当化することができないような構造によって、接続の公理系をモデル化することができるということを示している。 基礎付けという観点からは、射影幾何と順序幾何は、それが数少ない公理から展開されること、あるいはそれがアフィン幾何やユークリッド幾何を基礎付けるのに利用できるということなどから、基本的である〔Coxeter 1969, pp. 175–262〕〔Coxeter 2003, pp. 102–110〕。なお、射影幾何は順序幾何にならない〔ので、これらは別々の幾何学的基礎付けになっている。 抄文引用元・出典: フリー百科事典『 ウィキペディア(Wikipedia)』 ■ウィキペディアで「射影幾何学」の詳細全文を読む 英語版ウィキペディアに対照対訳語「 Projective geometry 」があります。 スポンサード リンク
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