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教科書誤報事件(きょうかしょごほうじけん)は、1982年に文部省が教科書検定で「華北へ侵略」を「華北に進出」に変えさせたとする誤報がなされ、これにより日本の外交・内政に混乱が生じた事件。第一次教科書問題ともいわれる〔清水美和「中国はなぜ反日になったか」文春新書,113-117頁。毛里和子「日中関係」岩波新書,2006年,122頁〕。 == 事件の端緒 == 1982年(昭和57年)6月26日、大手新聞各紙および各テレビ局は、「文部省(現在の文部科学省)が、教科書検定において、高等学校用の日本史教科書の記述を(中国華北に対する)“侵略”から“進出”へと改めさせた」と一斉に報じた。『朝日新聞』は「教科書さらに『戦前』復権へ・『侵略』表現薄める・古代の天皇にも敬語」〔波多野澄雄 『国家と歴史 戦後日本の歴史問題』 中公新書 2137 ISBN 978-4121021373、138pに紙面写真が掲載されている。〕、『毎日新聞』は「教科書統制、一段と強化・過去の日本、正当化・“自衛隊合憲”の記述定着」、『読売新聞』は「自衛隊成立の根拠を明記・明治憲法の長所も記述・中国『侵略』でなく『進出』」といった見出しが並んだ〔山崎政人 『自民党と教育政策 教育委員任命制から臨教審まで』 岩波新書 黄版335 ISBN 400420335X、169p。山崎は1986年4月21日第1刷発行のこの著書で、この「書き換え」が誤報であったことには一切触れていない。また、教育二法制定のきっかけとなった、山口県における「『中学生日記』の偏向」については具体的なことを書いていない。12p。〕。 同日付の『東亜日報』では「日本、教科書検定強化、古代の天皇に敬語、侵略の用語を抑制」と二段で簡単に報道しただけであった。約二週間後の7月8日付社説でも取り上げられたが、この時点ではさほど大きな問題になってはいなかった〔高崎宗司 『「反日感情」 韓国・朝鮮人と日本人』 講談社現代新書 1158 1993年8月20日第1刷発行 ISBN 406149158X、56p〕。 約一ヵ月後中国政府から公式な抗議があり、8月1日には、小川平二文相の訪中拒否を一方的に通告。また、韓国マスコミも反発した。この韓国マスコミの反発ぶりを最初に日本に伝えたのは、当時共同通信ソウル支局長だった黒田勝弘である〔黒田勝弘 『韓国人の歴史観』 文春新書 22 1999年1月20日第1刷発行 ISBN 4166600222、211p。黒田は、当時の韓国には、光州事件などを経て成立した全斗煥体制に、政権の正当性に関するコンプレックスがあったため、「反日」で国民を動員したいという事情があったと分析している。213-215p。〕。このため、小川文相は、衆議院予算委員会で、教科書の「訂正容認」と「日中戦争は侵略」との旨を発言するに至った。また、8月23日には鈴木善幸首相が「記述変更」で決着の意向を示し、8月26日には「日本は過去に於いて韓国・中国を含むアジアの国々に多大な損害を与えた」(「侵略」との言葉は使用されていなかった)とする政府見解(宮澤喜一官房長官談話)を発表。そして、9月26日には首相自ら訪中して、この問題を中国側に迎合する形で処理しようとした。 鈴木内閣は以前に日米同盟についても失言があったことから「外交音痴」と批判されていた。10月には総辞職して中曽根内閣が成立している。 韓国学学者の田中明はこの誤報事件問題当時の、ソウル在住の日本人の回想を紹介している。その日本人は教科書問題について韓国の新聞社から感想を求められたので「現物を見てからでないとコメントできない。一度それをみせてくれ」と求めたところ、そういうものは社にはないと言われたという。大々的なキャンペーンを張りながら、その基礎となる教科書なりコピーなりを持っているのだと思っていたが、「とすると、日本の報道を鵜呑みにしていて紙面を作っていたのか」と愕然としたという。田中はこの件について、もし日本で進歩陣営による多年にわたるキャンペーンがなかったら、果たして教科書問題は起きただろうか、と疑問を呈し、引き金となった中国の抗議が「日本の新聞報道によると」で始まっていたことは、まことに正直であったとしている〔田中明 『韓国の「民族」と「反日」』 朝日文庫 [た-10-1] ISBN 4022604786、200p/『韓国の民族意識と伝統』 岩波現代文庫 S82 ISBN 4006030827、205-206p。同書は朝日文庫を底本として岩波現代文庫に収録したもの。〕。 抄文引用元・出典: フリー百科事典『 ウィキペディア(Wikipedia)』 ■ウィキペディアで「教科書誤報事件」の詳細全文を読む スポンサード リンク
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