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抽象代数学における整域(せいいき、)は、零因子を持たない可換環であって〔Dummit and Foote, p. 229〕、自明環 でないものをいう。整域の概念は整数全体の成す環の一般化になっており、整除可能性を調べるのに自然な設定を与える。環の定義に乗法単位元を含めない場合であっても、単に可換環あるいは整域と言ったときには乗法単位元を持つと仮定することが少なくない。即ち、整域とは単位的可換域のことをいう〔Rowen (1994), .〕。 上記の如く「整域」を定めるのが広く採用されているけれども、いくらかの揺れもある。特に、非可換な整域を許すことが時としてある〔J.C. McConnel and J.C. Robson "Noncommutative Noetherian Rings" (Graduate studies in Mathematics Vol. 30, AMS)〕。しかし、「整域」(integral domain) という語を可換の場合のために用い、非可換の場合には「域」(domain) を用いることにすると約束するのがたいていの場合には有効である(奇妙な話ではあるが、この文脈では形容辞「整」の中に「可換」の意も含まれるということになる)。別な文献では(ラングが顕著だが)整環 (''entire ring'') を用いるものがある〔Pages 91–92 of 〕〔「整環」という用語は、代数体の整環 (order) などに対しても用いられる。〕。 いくつか特定の種類の整域のクラスについては、以下のような包含関係が成立する。 零因子の非存在(零積法則)は、整域において非零元による乗法の簡約律が満足されることを意味する。つまり、''a'' ≠ 0 のとき、等式 から が結論できる。 == 定義 == 以下の同値な条件のうちの一つ(従って全部)を満足するものを整域と定める。 * 単位元を持つ可換環で、その任意の非零元の積は非零である。 * 単位元を持つ可換環で、その零イデアル が素イデアルとなる。 * 可換体の部分環としての単位元を持つ(可換)環。体の部分環であるから可換性は自動的に成り立つので、可換性は明記してもしなくても同じである。 * 単位元を持つ可換環で、その任意の非零元 ''r'' に対して各元 ''x'' を ''r'' による積 ''xr'' へ写す写像が単射になる。この性質を持つ元 ''r'' は正則 (regular) であるという。故に、この条件は「任意の非零元が正則元であるような、単位元持つ可換環」と短く言うことができる。 抄文引用元・出典: フリー百科事典『 ウィキペディア(Wikipedia)』 ■ウィキペディアで「整域」の詳細全文を読む スポンサード リンク
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