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エツ(斉魚、鱭魚、学名:''Coilia nasus'')は、ニシン目・カタクチイワシ科に分類される魚の一種。東アジアの汽水域に生息する魚で、食用になる。 ==特徴== 成魚は全長30cm-40cmほど。体は植物の葉のように前後に細長く、左右から押しつぶされたように平たい。体側は銀白色の円鱗におおわれ、全体的にはナイフの刃のような外見である。目は頭の前方にあり、口は目の後ろまで大きく裂ける。胸びれ上方の軟条が糸状に細長く伸びる。尻びれは前後に細長く、体の後半ほとんどに及ぶ。尾びれは小さな三角形で、ほぼ尻びれと連続している。顔つきや鱗などは同じ科のカタクチイワシに似るが、上記の優雅に長く伸びるひれの形状もあって、外見はかなり印象が異なって見える。 渤海、黄海、東シナ海の沿岸域に分布するが、日本での分布域は筑後川河口域を中心とした有明海奥部にほぼ限られる。中国と朝鮮半島の個体群は亜種 ''C. n. ectenes'' 、日本の個体群は基亜種 ''C. n. nasus'' とされており、ムツゴロウやワラスボなどと同じ大陸系遺存種と考えられている。 普段は汽水域とその周辺の海に生息し、清んだ透明度の高い水域よりも、大河から流入したシルトや粘土が激しい潮汐によって懸濁して濁って見える水域を好む。プランクトン食性で、おもに動物プランクトンを鰓でろ過して捕食する。 産卵期は初夏で、産卵を控えた成魚は川をさかのぼり、夕方に直径1mmほどの浮性卵を産卵する。中国の長江では河口から1000kmの所で成魚が見つかった例もある。ただし日本でのエツの繁殖地はもともと大陸的な大河に依存していることもあってほぼ筑後川に限られ、他の河川で産卵することは少ない。 卵は川を流れ下りながら1日以内に孵化するが、塩分が濃い所まで流されると死んでしまう。稚魚は秋まで塩分の薄い汽水域にとどまって成長し、冬には海水域の深場に移る。寿命は2年から4年ほどで、産卵した親魚はほとんど死んでしまう。 エツの日本での分布は狭く、に指定されているが、筑後川では筑後大堰の建設でエツの繁殖や成長に適した水域が半減した上、食材として重宝されるために乱獲もされている。エツの漁獲量は1980年代から減少していて、沿岸漁協による放流なども行われているが、改善はあまり進んでいない。 抄文引用元・出典: フリー百科事典『 ウィキペディア(Wikipedia)』 ■ウィキペディアで「エツ」の詳細全文を読む 英語版ウィキペディアに対照対訳語「 Coilia nasus 」があります。 スポンサード リンク
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