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新宮山彦ぐるーぷ(しんぐうやまびこぐるーぷ)は和歌山県新宮市を拠点とする山岳団体。吉野・熊野を結ぶ修験の修行の道、大峯奥駈道南部(南奥駈道)の再興と整備・保全の活動で知られる。 == 南奥駈道の再興 == 新宮山彦ぐるーぷは、1981年(昭和49年)に新宮市で山歩きの会として結成された。活動の過程で、田辺市を拠点とする登山グループ・奥駈葉衣会との交流をもった。奥駈葉衣会は、大峯奥駈道南部の再興を活動目標としており、1980年(昭和55年)には持経宿に山小屋を完成させていた〔宇江64 〕。しかし、会の中心人物であり、みずからも行者であった前田勇一の没後、会は自然消滅し、南奥駈道の再興活動も中途にして挫折するかに思われた。新宮山彦ぐるーぷは奥駈葉衣会の活動を引き継ぐ形で南奥駈道の再興活動に着手、1984年(昭和59年)から活動を開始した〔和歌山県27 〕。 大峯奥駈道は修験道の修行の道として、古来多くの行者が往来した道であった。しかし、江戸時代における紀州藩の宗教政策や明治の修験道禁止令のために修験道の活動、とりわけ厳しい山岳を辿る修行は低調となった。なかでも南奥駈道は、水場に乏しいこともあり早い時期に歩かれなくなった。また、そうした水場の乏しさのために、新たに登山コースとしての性格を帯びて生き延びた奥駈道の北部とは対照的に、荒廃し忘れ去られた道となっていた。 そのため、最初の3年間の活動は何メートルもの高さに生い茂ったクマザサを刈り払う活動に充てられることになった〔〔福本214-216 〕"。刈り払いに続いて同会が取り組んだのは山小屋の整備であった。奥駈葉衣会が建設した持経宿山小屋の再建に続き、行仙宿(1990年)・平治宿(1991年)に山小屋を建設した〔宇江65 〕。これらの山小屋の建設に際して、1000万円を越える建設費用は新宮山彦ぐるーぷのメンバーが、個人から三井寺・聖護院・大峯山寺・金峯山寺といった修験寺院までを含む各所から募金を募る形で集めただけでなく、敷地造成も会のメンバーのみによって行われた〔〔福本220-221 〕。さらに同会は、山小屋周辺の水場の整備など、下北山村・十津川村の行政当局や民間企業によるヘリコプター輸送などの協力をも得ながら、メンバーの手で完成させた。2002年(平成14年)から2003年(平成15年)にかけては、大峯奥駈道の世界遺産登録に向けた和歌山県・奈良県・三重県ほか地元自治体の事業に協力する形で、山小屋の管理棟の建設も実施したが、その際の資金の大半もやはり会のメンバーによって調達されたものだった〔山と渓谷社大阪支局〕。このようにして、同会によって整備された道は、太古の辻(三重県下北山村)から熊野本宮大社(和歌山県田辺市本宮町)まで、45キロメートルに達する〔。 大峯奥駈道を含む世界遺産「紀伊山地の霊場と参詣道」の登録(2004年7月)に向けて、大峯山北部の老朽化した避難小屋が次々と新築されたが、これらは国や県の事業によるものであった。それに対し、南奥駈道の整備では、登山道の整備から山小屋の建設・改修・管理まで、新宮山彦ぐるーぷの手によるものであり、ほぼ完全に民間の力で行われてきたという点で特徴あるものといえるだろう〔。また、こうした南奥駈道再興の活動を通じて、同会は青岸渡寺(和歌山県那智勝浦町)の副住職・高木亮英による、順峯(熊野から吉野を目指す)による奥駈修行の復興を支援し、1988年(昭和63年)の再興に大きく寄与した〔宇江43, 64-65 〕〔 〕。 こうして再興された南奥駈道だが、刈り払いを続けなければ再び草に埋もれてしまう。そのため、同会は南奥駈道の整備を続けており〔例えば、2004年(平成14年度)の活動では、81回の行事のうち通常の山行は7回に過ぎず、あとはすべて南奥駈道の登山環境整備に充てられている2004 。〕、その活動を修験道の千日回峰行になぞらえて「千日刈峰行」と呼んでいる〔〔。また、持経宿・行仙宿・平治宿の3つの山小屋も同会により維持管理され続けている。こうした業績に対し、2004年、シチズンよりシチズン・オブ・ザ・イヤー(シチズン賞)が授与された〔#外部リンク参照〕。 抄文引用元・出典: フリー百科事典『 ウィキペディア(Wikipedia)』 ■ウィキペディアで「新宮山彦ぐるーぷ」の詳細全文を読む スポンサード リンク
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