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日勤教育(にっきんきょういく)は、旧国鉄(現JR各社)における社内用語。 本来は、乗務中や勤務中に何らかのミスを犯した運転士・車掌・駅務員などのいわゆる現業社員を列車運行や通常の業務から外し、再度同じミスを起こさないよう行う指導のことで、再教育とも呼ばれる。通常の運行業務が変形時間労働制であるところに対し、朝から夕方までの日勤の勤務形態で行われることからこう呼ばれる。 ヒューマンエラーの再発防止のために社員教育は必要不可欠な存在であり、日勤教育はその社員教育の一部である。しかし、JR福知山線脱線事故の際、西日本旅客鉄道(JR西日本)では本来行われるべき教育的意義とはかけ離れた、懲罰的・暴力的な内容の日勤教育が行われていたことが報道され、安全教育とは無関係な研修内容が非人道的な職場内暴力(パワーハラスメント)や精神的な暴力、嫌がらせ(モラルハラスメント)であるとして国会などで問題視された。 これに対し、JR西日本側は「報道された内容は実態とは異なる」と主張しているが、その実態は後述した内容となっている。同じく旧国営組織であった日本郵政公社(現:日本郵政グループ)においても訓練道場と呼ばれる問題が存在すると指摘されている。もともとは社内用語だったが、パワーハラスメントの代名詞となりつつある。 == 概要 == JRグループにおいて、機器取扱誤り・オーバーラン・信号違反などといった事故や、事故に至らない阻害を起こした社員に対して、再発防止を図るため必要な教育が行われている。運転士の勤務パターンには、乗務する際の「乗務」と、本社・支社社員や駅の助役、設備管理区所(保線区、電力区、信通区など)の社員などと同じように朝9時から17時45分までの乗務以外の勤務である「日勤」とがあり、乗務から離れて行われる事故再発防止教育を受ける勤務の時間帯が「日勤」であることから、この事故再発防止教育を「日勤教育」と俗称的に呼ばれる場合があった。 なお、1分遅れただけで「日勤教育」が行われたとの報道もあったが、(新幹線を除く)列車の時間が遅れたことのみをもって「日勤教育」が行われることはなく、あくまでも機器取扱誤り・オーバーランなど人為的ミスを起こした場合や、全く関係ない会社側のみの都合で「日勤教育」は行われた。列車が遅延することは日常頻繁に見られること、列車の遅れの多くは接客や他の列車の接続待ちといった運転士の責任とは全く無関係なものであり、1分遅れたことをもって「日勤教育」にしていたら実際に運転する運転士がいなくなることからも、遅れをもって「日勤教育」を行われたとの指摘は誤りの可能性もある。日勤教育に対してはさまざまな内部告発がなされている。 それらを要約すれば、日勤教育というものの「教育」とは名ばかりで、実態は「見せしめ」や「イジメ」「スパルタ教育」などに近い。また、ミスを犯した者に肉体的・精神的・経済的な打撃を与える「懲罰」的や「暴力」的なものもある。場所は(晒し者にさせるために)職場の中で最も目立つ場所や別室で監禁状態にして行われた〔トイレに行く際も現場長や管理者の許可が必要としていた。〕。内容は毎日、直接的原因と関係ないレポートや作文、就業規則の書き写しのほか、敷地内などの草むしりや車両・トイレ清掃なども行われていた。また、ホームの先端に立たされて発着する列車の乗務員に「おつかれさまです。気を付けてください」などと言わされる事例やアスファルトの照り返しで47度にもなるという炎天下で1メートル四方の枠を書かせ、「その枠から一歩も出るな」、といった事例もあった。そして複数の管理者に取り囲まれ、恫喝・暴言・罵声を浴びせられ、給与も大幅に減額された。期間や内容は現場長や管理者の主観と裁量で決まるため〔2~3カ月に及ぶことがあったほか、わずか2分間の遅刻で5ヶ月間の日勤教育を受けた事例もあった。また、同じミスでも所属している組合によって期間や内容が変わることもあったと言われていた。〕、いつ終わるかわからない絶望感から、自殺や鬱に至る人も多く、また、教育を終了しても再乗務できず、他職(駅・車両管理部門など)に異動となる場合もあった。 この問題が社会に表に出るようになったきっかけは、JR西日本尼崎電車区に勤務していた運転士の男性が自殺し、それを労災認定を行わせるために行われた2000年の裁判である(自殺した運転士の遺族が会社を相手に損害賠償を求めた裁判では、大阪地裁が「日勤教育が原因と認めるものの、管理者が自殺を予見することは不可能」として、遺族の請求を棄却する判決を2005年2月に言い渡し、現在、大阪高裁で係争中)。2001年11月8日に参議院でも質疑され、国会で「日勤教育を行うといった体質では今後重大事故を起こしかねない」と追及された。後にこの言葉は現実のものとなる(JR福知山線脱線事故のケース)。 また、これとは別に、JR西日本所属の運転士3人が、日勤教育で不当な扱いを受けたとして同社などを訴えた訴訟があり、2009年5月に大阪高裁で、運転士や車両管理係(森ノ宮電車区所属)の2名に対し、90万円の支払いを命じる判決が言い渡され、2010年3月11日付で最高裁で判決が確定した〔「日勤教育」訴訟:JR西の上告棄却 賠償命令が確定 毎日新聞 2010年3月16日〕。 さらに、1996年からの10年間に日勤教育を受けたJR西日本の運転士と車掌の計258人が、日勤教育は違法と提訴した裁判で、大阪地裁は2011年7月27日、退職強要のほか、草むしりやトイレ掃除などが課された61人の日勤教育について「裁量権の逸脱、乱用があった」として違法と認定。JR西日本に計620万円の支払いを命じた。〔日勤教育訴訟、JR西日本に620万円賠償命令 〕その後、2012年9月6日、JR西日本が原告に解決金800万円を支払う内容で大阪高裁で和解が成立した。〔JR西日本の日勤教育訴訟 大阪高裁で和解 〕 抄文引用元・出典: フリー百科事典『 ウィキペディア(Wikipedia)』 ■ウィキペディアで「日勤教育」の詳細全文を読む スポンサード リンク
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