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日本SF大賞(にほんSFたいしょう)は、1980年に日本SF作家クラブにより創設された賞である。主催は日本SF作家クラブ。創設から、2012年の第33回まで徳間書店が後援していた。それ以降については別節で述べる。 ==概要== 商業分野のSF関係者がデビュー済み作家の商業作品を選ぶという点では、アメリカのネビュラ賞に近い性格がある(ただしネビュラ賞に選考委員会は存在せず、受賞作はアメリカSFファンタジー作家協会会員による投票で決まる)。 もう一つの特徴としては、日本のSFであれば、メディアや芸術のジャンルにかかわらず、受賞の対象となるということである(後述の制定経緯も参照)。小説や映画等の各ジャンルごとの賞は数多く存在するが、本賞のように様々な形態の作品が同じ土俵で評価されるものは珍しい。これまでにSF小説以外に評論やノンフィクション、漫画、映画、アニメが受賞しており、ゲームも候補に上がったことがある〔1987年の『ドラゴンクエストII 悪霊の神々』(大森望『現代SF1500冊 乱闘編 1975-1995』太田出版、2005年、p51。〕。対象は作品に限定しておらず、はやぶさの帰還などの現実の出来事、VOCALOIDや二足歩行ロボットASIMOのような製品も対象になると謳われている〔日本SF大賞 あなたも日本SF大賞に参加しませんか? 日本SF作家クラブ公式サイト内 2013年12月30日閲覧〕。 本賞の制定以前、日本のSF賞は日本SF大会でSFファンの人気投票で決定する星雲賞や公募の新人賞であるハヤカワSFコンテストなどがあったが、プロがプロの作品を選ぶSF賞は本賞が初である。 制定の経緯について述べる。本賞の制定に「SFのプロ」として動いたのは小松左京である。第1回受賞作として刊行された徳間文庫版『太陽風交点』の〔同書の刊行は太陽風交点事件という波乱の中であった。〕解説に続けて収録された「SFの原点をいきいきと保持する作品――選評にかえて――」において(以下、注記あるまで参考文献は同書)小松が説明しているところによれば、1980年6月の日本SF作家クラブ総会で設置が決定され、その後徳間書店による後援と副賞・授賞式・誌上発表について協定が成立、作家クラブ総会で承認、という経緯で設置された。銓衡〔せんこう。選出することだが出典元ではこのような表現を使っている。〕の経過は、授賞作への選評以外を非公開とすることもそこで述べられている。 続いて同書に収録されている、日本SF作家クラブ代表として小松左京と、筒井康隆(当時事務局長)の連名の「『日本SF大賞』を設定するにあたって」では、「SFを専門とする立場から顕彰する必要もまた、増大」「SFを専業とするものの責任において...表彰」といったことが述べられている。特に文筆以外の活動についても、「もし、他のジャンル、たとえば映像、漫画、SFアート、あるいは音楽などの分野にその年度においてきわだってすぐれた業績があれば、考慮の対象とする事を妨げません」とあり、当初からの姿勢であったことが伺える。(徳間文庫版『太陽風交点』にもとづく記述ここまで) 筒井康隆による述懐によれば、会員へのアンケート結果と候補作を発表しないのは落選作が分からないようという配慮で、直木賞の落選経験を持つ筒井の意向だったという〔筒井康隆『笑犬樓よりの眺望』新潮社、1994年、p205。〕。また筒井としては、筒井が高く評価していた大江健三郎の『同時代ゲーム』が不遇だったため、受賞させて再評価させようという意図があったという〔筒井康隆「私の名作ブックレビュー 若者よ「同時代ゲーム」を再評価せよ」『週刊新潮』2008年8月7日号。〕〔筒井康隆「漂流 本から本へ 同時代ゲーム 著 大江健三郎」 asahi.com 2010年5月30日〕。 かつては重複受賞は認められておらず、過去の受賞者は、その後どのような傑作を発表しようと受賞することはなかったが〔大森望、豊崎由美『文学賞メッタ斬り!』PARCO出版、2004年、p295。〕、後に規約が改められて重複受賞が可能になった〔飛浩隆Twitter 2009年12月2日〕。SFプロパーとみなされる作家による作品の受賞については「功労賞」的に与えられる場合も多く、1980年創設という時期的な問題もあり、小松左京、筒井康隆、半村良など、1980年代以前に意欲的にSFの創作をしたSF作家のベスト作品に与えていない場合も多いという意見もある〔。 なお、「特別賞」は評論作品、「功績大である死去者(会員)」、「死去者の作品」に与えられることが多い。2011年度に、初の「特別功労賞」が小松左京に与えられた。また、2015年から、日本本SF作家クラブの会員でないが功績大である死去者にあたえる賞として「功績賞」が与えられるようになった。 選定の手続きは、毎年9月1日から8月末の期間〔『SF Japan 2008 SPRING』 徳間書店、2008年。〕に発表された日本人によるSFの商業作品を対象に、日本SF作家クラブの会員に書面アンケートを実施。日本SF作家クラブの総会で選ばれた選考委員がアンケート結果を基に候補作を決定し、改めて開催された選考委員会で受賞作を決定する〔小松左京、筒井康隆「日本SF大賞を設定するにあたって」『太陽風交点』堀晃、徳間文庫、1981年〕。これまで一貫してプロが選ぶ賞だったが、第34回で候補作のエントリーをTwitterと電子メールで一般からも募集するという新たな試みを実施〔。 発表は後援する徳間書店の小説誌で行われた。雑誌の変遷にともない『SFアドベンチャー』→『問題小説』→『SF JAPAN』→『問題小説』(『読楽』)と移行したが、第33回を最後に徳間書店は後援から降りることとなった(後述)ため、同社の小説誌での発表もそれが最後となった。 第17回まではアンケート結果、候補作ともに公表されていなかったが、現在は最終選考の前に公表されている。 受賞者には、日本SF作家クラブ発行の正賞と後援・協賛社からの副賞(第33回までは後援の徳間書店から賞金、第34回以降は非公表)が贈られる。現在の正賞はSFイラストレーターの横山宏作のトロフィー。制定時に100万円だった副賞の賞金は、その後、200万円に増額された。またクラブの非会員が受賞した場合、本人が希望すれば、通常クラブへの入会に必要な「会員からの推薦」等の手続きを飛ばしていきなりクラブの総会に入会の可否を諮ることができる〔2013年の終わりに際して(その2) - 瀬名NEWS・2013年12月29日〕。 抄文引用元・出典: フリー百科事典『 ウィキペディア(Wikipedia)』 ■ウィキペディアで「日本SF大賞」の詳細全文を読む スポンサード リンク
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