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『日本アパッチ族』(にほんアパッチぞく)は、小松左京によるSF小説。作者の処女長編作である。初出は1964年、光文社カッパノベルス。 小松がデビュー前から、妻の娯楽のために書き溜めたものが原型。 東宝において岡本喜八監督、クレージーキャッツ主演の映画化が企画されたが頓挫した〔『シナリオ』誌1964年11月号に山田信夫によるシナリオ掲載〕。なお、『小松左京セレクション2 時間エージェント』 (ポプラ文庫) 後書きには、「1960年代の東宝では、反体制的な色合いの濃い映画になりかねませんでした。私はそれがいやでした。従って私のほうから映画化を断ったのです。」「平井和正さんにもっとシュールでハチャメチャで奇想天外な映画になるよう脚色を依頼しました。しかし平井さんも忙しく、結局、映画は実現しませんでした。」とある。また、この映画化企画については、小松の自伝的著書等では、まったく言及されていない。 == あらすじ == 1960年代の、史実とは違う日本が舞台である。この世界では戦後の日本国憲法の方向性に対する反動が、実際に大きな流れとなって体制を変更したという仮定の歴史に基づく。そこでは基本的人権に関する条項のいわゆる権利が義務に置きかえられ、たとえば「労働の権利」のかわりに「労働の義務」が存在している。これに応じて労働法の改悪と引き換えに死刑が廃止され、重犯罪者(政治犯も含む)は「社会からの追放」という刑をうける。そして「失業」は重大な体制への反抗であり、追放刑の対象となる。追放地は社会と隔離された不毛の地であり、そのひとつが大阪砲兵工廠の跡地「法務省指定近畿地区追放地」、通称「大阪追放地」である。 またこの世界では日本は再軍備しており「帝国」陸海空軍が存在する(核武装もしており、作品後半では原子砲も登場する)。 主人公である木田福一は、会社の上司に反抗して解雇され、一定期間内に再就職しなかった「失業罪」により「追放刑」の判決を受け、砲兵工廠跡地に「追放」される。 「追放刑」とは社会からの追放。自由だが不毛の追放地の中での「自由」は死を意味する。野犬に食われかけたところを政治犯の山田に救われ、一か八かの脱出を計画するも、寸前のところで失敗、山田は命を落とす。 木田も飢えで死に掛けたところを、謎の男たちに救われる。彼らが大坂追放地の看守たちが噂するアパッチであった。アパッチは追放地の中に閉じ込められた元くず鉄泥棒たちが、ふとしたきっかけから「鉄を食べる人種」に進化したものである。通常の人間より強い腕力を持つ彼らは、二毛次郎大酋長の下で団結し、権力に反抗していた。 やがて木田もアパッチの一員になり、追放地の中で暮らすようになるが、ある日アパッチの交易相手の朝鮮人のスクラップ業者が警察に逮捕される。以前から追放地内でのアパッチの反抗に手を焼いていた国家が、とうとうアパッチ殲滅に乗り出すことにしたのだ。 アパッチの生存をかけて軍と対立、外の世界で自治の確立に向けて否応なく立ち上がるアパッチたち。その後、日本各地の工業地帯にかれらと同じ体質の人間が次々と出現。仲間も増え、彼らは居留地を持ち、「産業」にまで影響をもたらすようになってくる。ついに、クーデターにより政権を掌握した軍隊との本格的な対決が始まり、それはやがて「日本」という国家の存亡にかかわる大事件につながっていくのである……。 抄文引用元・出典: フリー百科事典『 ウィキペディア(Wikipedia)』 ■ウィキペディアで「日本アパッチ族」の詳細全文を読む スポンサード リンク
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