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日本語の起源(にほんごのきげん)は、現在日本語として同定される言語体系の起源のことで、言語学上の論点のひとつである。言語学では日本語系統論とも言う。 == 概要 == 日本語は系統関係の不明な孤立言語のひとつであり、系統関係が存在するかはいまだ明らかになっていない〔松本克己『世界言語のなかの日本語』三省堂2007〕。これまでにいくつかの系統関係に関する理論仮説は出されてきたものの、総意を得たものはない〔亀井 孝 他 (1963)『日本語の歴史1 民族のことばの誕生』(平凡社)。〕 〔大野 晋・柴田 武 (1978)『岩波講座 日本語 第12巻 日本語の系統と歴史』(岩波書店)。〕。これまでの理論仮説で類縁関係が強いと主張された言語系統には、以下のものがある。 ;琉球語との系統関係 :琉球列島の琉球語(琉球方言、あるいは琉球語派・琉球諸語)と、日本語(本土方言、あるいは日本語派)との系統関係は明らかである。日本語の起源論では、琉球語と日本語の系統関係は証明済みとし、「日本語の起源」という言葉で「日本語+琉球語」全体の起源を論ずることは一般的である。なお、日本語と琉球語で日本語族とする説と、琉球語を日本語の琉球方言とする説とは、日本語の起源論においては単なる言葉の定義の異同の問題であり、本質的な争点とはならない。 ;朝鮮語との関係 :朝鮮語とは文法構造における類似性が高いが、基礎語彙については一部単語の類似性が指摘されているものの偶然の一致の範囲を出るものとは言い難く、また古い時代における借用の可能性もある。音韻の面では、固有語において語頭に流音が立たないこと、一種の母音調和があることなど、アルタイ諸語と共通点がある一方で、閉音節であること、子音連結の存在、有声・無声の区別が無いなどの相違点もある。 ;高句麗語・扶余諸語との系統関係 :死語である高句麗語とは、数詞など似る語彙もあるという説〔新村 出 (1916)「国語及び朝鮮語の数詞に就いて」『芸文』7-2・4(1971年の『新村出全集 第1巻』(筑摩書房)に収録)。〕。ただし高句麗語の実態はほとんど分かっていない。高句麗語は扶余諸語の一つであることから、扶余諸語との関係との見方もある。 ;アルタイ語族説 :アルタイ語族仮説では、日本語、朝鮮語は共にアルタイ語族の一員とする。朝鮮語との関係と同様に、文法構造での高い類似性、音韻面での部分的類似性がある一方で、基礎語彙については同系統とするに足るだけの類似性は見出されていない。 ;オーストロネシア語族との関係 :オーストロネシア系言語は、文法・形態は日本語と異なるが、音韻については発音体系が比較的単純で開音節であるなど日本語と似ており、基礎語彙についても一部類似性が指摘されている。また、日本語をオーストロネシア系言語とアルタイ系言語との混合言語だとする説もある。しかし、近年の研究ではオーストロネシア系言語は古くは閉音節だったとされ、また語彙の類似性についても偶然の一致の範囲を出るものとは言い難い。 ;ドラヴィダ語族との関係 :インドのドラヴィダ語族、とりわけその1つであるタミル語との関連を提唱する説。 ;アイヌ語との系統関係 :アイヌ語は語順(SOV語順)において日本語と似るものの、文法・形態は類型論的に異なる抱合語に属し、音韻構造も有声・無声の区別はなく閉音節が多い、などの相違がある。基礎語彙の類似に関する指摘〔服部 四郎 (1959)『日本語の系統』(岩波書店、1999年に岩波文庫)。〕もあるが、例は不十分である。一般に似ているとされる語の中には、日本語からアイヌ語への借用語が多く含まれるとみられる〔中川 裕 (2005)「アイヌ語にくわわった日本語」『国文学 解釈と鑑賞』70-1。〕。総じて、目下、系統的関連性を示す材料は乏しい。一部では、古事記や風土記のような口伝による伝承がアイヌ語で解釈可能であることから、縄文時代の日本語がアイヌ語と同系統の言語であるとする意見もある〔大山 元 (2002)『古代史料に見る縄文伝承』(きこ書房)〕。 ;中国語(古典中国語)との関係 :日本は中国を中心とした漢字文化圏に属しており、中国語(古典中国語)は、古来、漢字・漢語を通じて日本語の表記や、語彙・形態素に強い影響を与え、拗音等の音韻面での影響や、書面語における古典中国語の文法・語法の模倣を通じた文法・語法・文体の影響も見られたが、言語学的には系統的関連性は認められない。 抄文引用元・出典: フリー百科事典『 ウィキペディア(Wikipedia)』 ■ウィキペディアで「日本語の起源」の詳細全文を読む 英語版ウィキペディアに対照対訳語「 Classification of Japonic languages 」があります。 スポンサード リンク
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