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書誌レコードの機能要件(しょしレコードのきのうようけん、、FRBR 〔ファーバー〕)とは実体関連モデル(ERモデル)を用いた書誌レコードの概念モデル。図書館目録や全国書誌に記述されるデータである書誌レコードには何が求められているのか。それを抽出し単純なモデルとしたものが、FRBRである。書誌レコードに求められる機能について、利用者の観点に立って、明確に定義された用語を用いてモデル化している。ERモデルの手法自体は以前から試みられているが、利用者の視点から見直すことに徹していることが特色である。FRBRでは書誌的実体として、著作、表現形、体現形、個別資料などを定義し、主にそれらの属性および関連性について述べている。著作という抽象的な概念を定義し書誌レコードに組み込むことで、情報探索において従来の目録よりも利用者の利便性が向上すると見られている。また、書籍だけにとどまらず多様なメディア、フォーマットを対象としている。FRBRは国際目録原則にも取り入れられ、目録規則において重要なモデルとなっている。 ==背景== 図書館には書籍などの情報資源(資料)が存在し、多数ある中から求める資料を選び出すためには「検索」が欠かせない。図書館が採用してきた、検索を可能とする仕組みの一つに「目録法」が存在する。目録法では、著者、タイトル、主題など資料の情報(書誌情報)と所在情報を目録に記述することで、検索を可能とするものである。利用者は著者やタイトルまたは主題を元に、目当ての資料について記述された目録を見つけ出し、目的の資料を探し出すことができる。目録に記載された書誌情報などのデータを「書誌的記録」または「書誌レコード」と呼ぶ〔田窪 編 (2011)『情報資源組織論』, pp.1-8〕。 目録には十分かつ正確な情報が求められる。なぜなら書誌情報が不完全または不正確であれば、検索結果と照合した際に資料が目的のものであるか判断がつかない。目録の一貫性・品質を高めるためには、個々人が自分勝手に目録を記述するのではなく、標準化された規則に則って目録を作成する必要がある〔田窪 編 (2011)『情報資源組織論』, p.174〕。全世界レベルの標準化を目的として、1961年に国際図書館連盟(IFLA)はパリ原則を策定した。1971年には最初の国際標準書誌記述(ISBD)として単行書用のISBD(M)が発行された。 目録というものは紙媒体の資料を中心に作成されてきたが、コンピューターの発展とともにデジタル化された情報資源が急激に増加していった。「電子書籍」「電子雑誌」といった新しい媒体の登場、また内容は同一で媒体のみ変化するものも出てきた。こうした急激なデジタル化を受けて、紙と電子媒体の間で統合的にデータを管理する必要性が出てきた。 目録作成にかかる作業量、経費をおさえるためにミニマル・レベル〔英米目録規則第2版(AACR2)の第1水準、必須事項のみの最低限のレコード〕の標準が必要とされ、そして何よりも単なるデータの集合ではなく利用者にとって価値のある目録作成のための標準が望まれていた〔書誌レコードの機能要件, p. 9〕。従来の目録作成では、出版物すなわち物理的なものを元に作られてきたため、同じ著作〔著作という言葉は著作物の意味で使われるが、ここで言う著作は物理的なものではなく、抽象的な概念の著作である。たとえば複数の言語に翻訳された著作物は同一の著作である。あるいは、ある楽曲のCDと楽譜、これらは同じ楽曲(著作)の別表現と言える。〕であっても書名が異なるものや、全く別の著作であっても書名が同じのものが存在することから、検索する上で問題が出てくる。たとえばある著作を検索するときに、書名が異なるものが検索にヒットしない、あるいは無関係の著作が多数表示され目的のものを選択するのに不都合が起きるなどである。このような問題から著作というものは目録作成において重要なものと認識されてはいたが、抽象的な概念であるため定義が曖昧になるといった難点があった〔FRBRからみた日本の図書館目録における著作の傾向:慶應義塾大学OPACを例として, pp. 36-37〕。 目録規則の改訂にとどまらず、目録法の枠組みを根本的に見直す必要に迫られていた。これに応じて1992年9月に書誌レコードの機能要件研究グループが発足。1997年9月、研究グループはIFLA目録部会常任委員会に最終報告書を提出、承認を受けた。 抄文引用元・出典: フリー百科事典『 ウィキペディア(Wikipedia)』 ■ウィキペディアで「書誌レコードの機能要件」の詳細全文を読む スポンサード リンク
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