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朝鮮勢法(ちょうせんせいほう)は、李氏朝鮮の双手剣法である。もとは中国を起源とする剣術で、一旦廃れたものを明代末期の兵学者である茅元儀が、1621年に朝鮮に残された書誌や口伝を基に『武備志』巻八十六として編纂したためにこの名がある。諸刃(両刀)の直刀を用いる。 初習4法(眼法、撃法、洗法、刺法)に引き続き格法4勢、洗法1勢、撃法14勢、刺法4勢(格・洗は防御法、撃・刺は攻撃法)の計24勢が紹介されており、双手剣法らしく防御よりも攻撃に主眼を置いた攻撃的なスタイルの剣法となっている〔。 ==概要== 唐の太宗の頃は剣士千人を擁するなど、中国剣術は剣は実践での強さが知られていたが、明末には剣術は廃れ、その技法もほぼ失われ、残留した剣術の秘訣の歌『剣訣歌』にその名残を残すのみとなっていた。ところが、この中国本土ではすでに失われていた剣の勢法が朝鮮では残存し、これを収集した好事家の情報を元に茅元儀らが『武備志』にまとめたものが「朝鮮勢法」である〔 茅元儀 『武備志』 巻八十六「陣練制 練 教藝三 劍」, 1621年. ”古之劍可施于戰鬥,故唐太宗有劍士千人,今其法不傳。斷簡殘編中有訣歌,不詳其說。近有好事者得之朝鮮,其勢法具備。固知中國失而求之四裔,不獨西方之等韻,日本之《尚書》也。”〕〔 茅元儀 『武備志』 巻百四「器械三」, 1621年. ”茅子曰:古之言兵者必言劍,今不用于陣,以失其傳也。餘博搜海外,始得之,其式更不可緩矣。劍無今古,即《武經》之二種而圖之。”〕。 資料には乏しいが、「豹頭撃」など使われている術語の『水滸伝』との類似性等から、勢法の成立は宋~元代、あるいはさらに早い時期であると見られている〔。また、明代、対倭寇戦で名を上げた兪大猷が民間武芸学者李良欽に習ったとされる「(撃)荊楚長剣」との類似性も指摘されている〔。 茅元儀に朝鮮勢法を伝えたこの「好事家」の名は残っていないが、文禄・慶長の役(万暦朝鮮之役、1592―1598年)に参戦してこれを持ち帰ったのではないかと推測されている〔 马明达(馬明達) 『说剑丛稿(說劍叢稿)』 兰州(蘭州)大学出版社, 2000. ISBN 7311016320 改訂版:中华书局(中華書局), 2007. ISBN 9787101059151, p. 212 (改訂版 p. 192)「历史上中、日、朝剑刀武艺交流考(歷史上中、日、朝劍刀武藝交流考)」 〕。 なお、この戦役で中国から朝鮮に槍、剣、鉾先などの武芸が伝授され、後に「朝鮮十八般武芸(十八技)」が形成され、朝鮮王正祖の命により1790年に『武芸図譜通志(武藝圖譜通志)』として集成されたが〔"李朝時代に編さんされた「武芸図譜通志」 伝統武術を総合的に図解" , 朝鮮新報, 2006.11.9.〕、諸刃直刀双手「剣」法の朝鮮勢法24勢は含まれていない。代わりに片刃の「刀」を用いる朝鮮勢法に類似した「鋭刀譜」28勢が収録されているが、演練法も収録されている『武芸図譜通志』に比し『武備志』ではそれを欠いていることもあり、これらの関係ははっきりしていない〔。これについて韓国の十八技保存会は、朝鮮勢法は『武芸図譜通志』の「銳刀」に形を変えて受け継がれていると主張している〔 "십팔기 종목설명(十八技種目説明)" , 十八技保存會(십팔기보존회).〕。 一方、朝鮮半島においても「剣法」としての朝鮮勢法の伝承は途絶えていたが、1980年代に韓国コムドの一つ、大韓剣道会が朝鮮勢法を発掘して復元作業が行われており、2010年の北京世界武道・格闘技大会や大韓民国大邱広域市で行われた2011年世界陸上競技選手権大会などでも披露された〔"伝統剣法「朝鮮勢法」を世界に披露する女性剣士" , 朝鮮日報, 2010/09/02.〕〔 "2010年北京首届世界武博运动会 剑道高手下场进行朝鲜势法表演" , 全球功夫网, 2010-9-4.〕〔"韓国固有の剣法「朝鮮勢法」、世界陸上の役員に披露" , 朝鮮日報, 2011/09/02.〕。 ファイル:豹頭勢.png|豹頭勢 ファイル:逆鱗勢.png|逆鱗勢 ファイル:鳳頭勢.png|鳳頭勢 ファイル:展旗勢.png|展旗勢 ファイル:斂翅勢.png|斂翅勢 抄文引用元・出典: フリー百科事典『 ウィキペディア(Wikipedia)』 ■ウィキペディアで「朝鮮勢法」の詳細全文を読む スポンサード リンク
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