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未払賃金の立替払事業は、賃金の支払の確保等に関する法律第7条の規定によって、倒産した企業について、一定の要件を満たす場合に、独立行政法人労働者健康福祉機構が未払い賃金の一部を立替払いする制度。一般に「未払賃金の立替払制度」と呼ばれる(厚生労働省等もこの表現を用いている)が、これは法律上正式の名称ではない。 会社が倒産した場合、未払いの賃金のうち3か月分は、財団債権として、一般的な債権者よりも、優先的に支払を受けることができる(破産法149条1項)。しかしながら、破産手続等によって、会社の清算が行なわれたとしても、別除権を有する債権者は、その担保物に関して、従業員を含む財団債権者よりも、優先して債権の回収を行なうことができるし、そもそも会社の全財産をもってしても未払い賃金に足りない等の事情で、従業員が完全に賃金の支払を受けることができない場合がある。また、会社が倒産しても、破産等の法的な手続きが行われないことがしばしばあり、このような場合は、従業員は自力で会社の財産を調査し、自ら法的な手段を講じて賃金を確保せざるをえないが、現実には困難である。そこで、一定の要件を満たす場合に、政府が倒産した事業者に代わって、未払い賃金の一部を立替払いするのが、未払賃金の立替払事業である。 以下では、賃金の支払の確保等に関する法律を「法」、賃金の支払の確保等に関する法律施行令を「令」、賃金の支払の確保等に関する法律施行規則を「規則」とそれぞれ表記する。 ==賃金の立替払の要件== 賃金の立替払事業によって、労働者健康福祉機構から、未払い賃金の立替払いを受けるには、以下の要件を満たす必要がある。 #事業が労働者災害補償保険の適用事業であること(法第7条) #:従業員を1人でも雇用している場合は、労働者災害補償保険の適用事業となる(労働者災害補償保険法第3条第1項)。但し、国の直営事業、官公署の事業については、適用とならない。 #事業が1年以上継続されていたこと(法第7条、規則第7条) #事業が倒産したこと(法第7条) #:ここでいう「倒産」とは ##事業について、破産手続開始決定(法第7条)、特別清算開始の命令、民事再生手続開始決定、会社更生手続開始決定(令第2条第1項)のいずれがなされたこと(以下、「法的な整理」という) ##中小企業については、事業活動が停止し、再開する見込みがなく、かつ、賃金支払能力がないことを労働基準監督署長が認定したこと(令第2条第1項第4号、規則第8条)(以下、「事実上の倒産」という) #:をいう(一方の要件のみを満たせばよい) #:(注意)事実上の倒産の認定については、労働者のうち1人が認定を受ければ、他の労働者が改めて認定を受ける必要はない。 #労働者が以下の日の6ヶ月前から1年6ヵ月が経過するまでの間にその事業を退職したこと(法第7条、令第3条) #:事業が、破産、特別清算、民事再生、会社更生のいずれかの対象となった場合は、破産、特別清算、民事再生、会社更生の申立があった日 #:事実上の倒産の場合は、上記の労働基準監督署長の認定を求める最初の申請があった日 #未払い賃金の総額が2万円以上あること(法第7条、令第4条2項) #:ここでいう賃金は、毎月1回支払われる賃金と退職金を意味する。いわゆる賞与、解雇予告手当や慰労金等の支給金の類は含まれない。また、役員の報酬も含まれない。 (注意)事業は、会社であっても、いわゆる個人経営であっても良い。 ::労働者には、会社の役員を含まない。したがって、取締役の報酬等は、立替払いの対象とならない。 抄文引用元・出典: フリー百科事典『 ウィキペディア(Wikipedia)』 ■ウィキペディアで「未払賃金の立替払事業」の詳細全文を読む スポンサード リンク
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