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東北地方太平洋沖地震(とうほくちほうたいへいようおきじしん)は、2011年(平成23年)3月11日に日本の太平洋三陸沖を震源として発生した地震である〔。地震の規模を示すマグニチュードはMw9.0で、日本の観測史上最大規模の地震であった。この地震によって引き起こされた災害を、東日本大震災〔首相官邸ホームページ の英語版、Prime Minister of Japan and His Cabinet "Countermeasures for 2011 Tohoku - Pacific Ocean Earthquake"より。2011年4月1日閲覧。〕と呼ぶ。この地震とそれによって引き起こされた津波、およびその後の余震は、東北から関東にかけての東日本一帯に甚大な被害をもたらし、日本における戦後最悪の自然災害となるとともに、福島第一原子力発電所事故も引き起こした。 == 概要 == この地震は、2011年3月11日14時46分18.1秒〔、牡鹿半島の東南東約130km・仙台市の東方沖70km付近の太平洋(三陸沖)の海底、深さ約24km〔を震源として発生した。太平洋プレートと北アメリカプレートの境界域(日本海溝付近)における海溝型地震で〔、震源域は岩手県沖から茨城県沖にかけての幅約200km、長さ約500km、およそ10万平方キロの広範囲にわたった。地震の規模を示すマグニチュードはMw9.0(Mjma8.4)〔で、大正関東地震(1923年)のMj7.9, Mw8.2〔 首都直下のM7クラスの地震及び相模トラフ沿いのM8クラスの地震等の震源断層モデルと震度分布・津波高等に関する報告書〕を上回る日本観測史上最大であるとともに、世界でもスマトラ島沖地震(2004年)以来の規模で、1900年以降でも4番目に大きな超巨大地震であった。 地震によって大規模な津波が発生した。最大で海岸から6km内陸まで浸水〔、岩手県三陸南部、宮城県、福島県浜通り北部では津波の高さが8m-9m〔に達し、明治三陸地震(1896年)の津波を上回る最大溯上高40.1m(岩手県大船渡市)を記録するなど、震源域に近い東北地方の太平洋岸では、高い津波が甚大な被害をもたらした。津波は関東地方の太平洋岸でも被害をもたらしたほか、環太平洋地域を中心に世界の海岸に達した。また、宮城県北部で最大震度7、岩手県から千葉県にかけて震度6弱以上を観測するなど広範囲で強い揺れとなり、関東地方の埋立地で大規模な液状化現象が発生した。一方東北太平洋岸では、地盤沈下により浸水被害が長期的に続いている。余震も過去例に無いペースで発生したうえ、通常の余震域外でも地震活動が活発化している〔〔東日本大震災 ~東北地方太平洋沖地震~ 関連ポータルサイト 気象庁、2012年2月11日閲覧。〕。 津波、液状化、建造物倒壊など、東北の岩手県、宮城県、福島県の3県、関東の茨城県、千葉県の2県を中心とした被害は大きく、この地震による死者・行方不明者計約1万8,500人の大半は東北の3県が占めた。また、発電施設被害による大規模停電や一連の震災により、日本全国および世界に経済的な二次被害がもたらされた。 一方、地震と津波により福島第一原子力発電所事故が発生し、10万人を超える被災者が屋内退避や警戒区域外への避難を余儀なくされた。警戒区域外でも、放射性物質漏れによる汚染が起きているほか、日本の原子力発電所の再稼働問題、電力危機なども発生した。 本地震の特徴として、いくつかが挙げられる。 *海溝型地震であったこと : 北アメリカプレートと、その下に沈み込む太平洋プレートの境界部、日本海溝と呼ばれる地域で発生した海溝型地震であった。 *連動型地震であったこと : 数十年 - 百数十年間隔で発生する海溝型のM8前後の大地震ではなく、それらが複数同時に発生する連動型地震であった。日本では19世紀終盤の近代観測開始以来初めて明瞭に連動型地震と断定されるものであった(スーパーサイクル参照)。 *東北太平洋沖でこのような連動型地震が発生する事態は「想定外」であった : 地質調査や文献調査では、南海トラフ沿いにおいて20世紀中盤から、関東地域において20世紀終盤から広く認識されていた一方、東北太平洋沖、北海道や千島列島の太平洋沖、九州や南西諸島の太平洋沖ではそれぞれ21世紀に入ってから(特に2004年のスマトラ島沖地震以降)その可能性を示す知見が得られつつあった程度で、地震学界でも強く認識されていなかった。そのため、被害想定でもM8前後の海溝型地震までしか想定されていなかった。本地震後、新たな知見の集約や地震想定を見直す動きが活発化している(#教訓参照)。 *超巨大地震であったこと : Mw9.0は「超巨大地震」に分類され、19世紀終盤からの世界観測史上数回しか発生していない未曾有の規模であり、日本国内では観測史上最大の規模であった。 *広範囲で強い揺れを感じたこと : 規模が大きく震源域が南北に長かったため平行する本州・東日本の広範囲で強く揺れた。また、減衰しにくい長周期地震動によって名古屋、大阪など遠方でも揺れを観測した。 *揺れが長時間続いたこと : 本震の地震動は東日本全域で6分間以上継続し、長い揺れとして体感された。長周期地震動は10分間以上、地球を自由振動させる超長周期地震動に至っては数十時間にわたって観測された。断層が滑る過程で、強い地震波を放出する破壊が数回に分けて断続的に発生したことが原因だとする説が発表されている。 *短周期の揺れが主体であったこと : 地震の規模に比して長周期の揺れは小さく、短周期の揺れが主体であったため、地震による直接の家屋被害は比較的起きにくかったといえる〔2011 年東北地方太平洋沖地震の宮城県における 強震観測点周辺の状況と発生した地震動との対応性 日本地震工学会論文集 Vol.13 (2013) No.5 p.5_62-5_101〕。ただし、家屋被害は宮城県と福島県を中心に広範囲に渡って発生している。 *高い津波が発生したこと : 東北・関東・北海道などの太平洋岸に数m以上の津波が到達、内陸の浸水が広範囲に及んだ。津波地震でみられるような海溝寄りにおけるゆっくりとした断層の滑りや、津波が高さを増すような複数回にわたる滑りが生じていたことなどが原因だとする説が発表されている〔''建築研究所国際地震工学センター 藤井雄士郎、東京大学地震研究所 佐竹健治''〕〔〔〔東北地方太平洋沖地震における巨大地震・津波発生メカニズムの解明 (京都大学 2013年12月6日)〕。 *大きな地殻変動が生じたこと : 東日本全域にわたる東方向への地殻変動や東北太平洋岸の地盤沈下などが、本震により急激に発生、その後も速度を緩めながらゆっくりと進行している。 *液状化現象が多発したこと : 関東地方の津波の影響を受けなかった埋立地を筆頭に液状化が顕著に現れた。 *前震とみられる地震があったこと : 本地震発生2日前の3月9日、前震とみられるM7.3、最大震度5弱の地震が三陸沖で発生した〔平成23年3月9日11時45分頃の三陸沖の地震について (気象庁)〕。その地震による震度1以上の余震は、本地震発生当日の3月11日午前まで発生している〔震度1以上を観測し公表された余震は翌10日午前中にいったん収束(2011年3月9日の震央分布図 - 日本気象協会)、同日夕方から震度を弱めて再び引き続いたが(2011年3月10日の震央分布図 - 日本気象協会)、11日午前7時44分頃を最後に再度収束した(2011年3月11日の震央分布図 - 日本気象協会)〕。 *余震や誘発地震が多発していること : その規模の大きさに比例して余震の回数・規模ともに大きく、地震学で通常「余震域」とされる地域の外で「誘発地震」が発生した。研究者・行政双方から、東日本では本地震による地殻変動の影響などで、被害をもたらすような地震の発生が促されているとの発表がなされており、警戒が強められている。 抄文引用元・出典: フリー百科事典『 ウィキペディア(Wikipedia)』 ■ウィキペディアで「東北地方太平洋沖地震」の詳細全文を読む スポンサード リンク
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