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羊羹(ようかん)は、一般には小豆を主体とした餡を型(羊羹舟)に流し込み寒天で固めた和菓子である。 寒天の添加量が多くしっかりとした固さの煉羊羹(ねりようかん)と、寒天が少なく柔らかい水羊羹(みずようかん)がある。また、寒天で固めるのではなく、小麦粉や葛粉を加えて蒸し固める製法もあり、これは蒸し羊羹と呼ばれる。単に「羊羹」と称した場合は煉羊羹を指す事がある。 煉羊羹は糖度が高いので、真空パックなどの適切な状態であれば常温で一年以上の長期保存が可能なものが多い〔羊羹の賞味期限について (虎屋)。糖度が約70度と高いため、腐りにくく、かつて賞味期限を2年と表示した時期もあった。ただ、期間が長いと防腐剤を使っていると誤解を受けやすいことを危惧して、業界にはあえて期間を短く表示する傾向もある。より引用〕。この特徴を生かして非常食としても販売されているものもある〔井村屋の非常食向け羊羹『えいようかん』は5年6ヶ月の保存期間を謳っている井村屋公式ページ 〕。 == 歴史 == もともとは中国の料理で、読んで字のごとく羊の羹(あつもの)、つまりは羊の肉を煮たスープの類であった。南北朝時代に北魏の捕虜になった毛脩之が「羊羹」を作ったところ太武帝が喜んだという記事が宋書に見えるが、これは本来の意味の羊のスープであったと思われる〔『宋書』毛脩之列伝「脩之嘗為羊羹、以薦虜尚書。尚書以為絶味、献之於燾。燾大喜、以脩之為太官令。」〕。冷めることで肉のゼラチンによって固まり、自然に煮凝りの状態となる。「羹」の通常の音(漢音)は「こう(かう)」で、「かん」は唐音。鎌倉時代から室町時代に、禅僧によって日本に伝えられたが、禅宗では肉食が戒律(五戒)により禁じられているため、精進料理として羊肉の代わりに小豆を用いたものが、日本における羊羹の原型になったとされる。 唐代に重陽の節句に作っていた「羊肝餅」に由来するともいう(『嬉遊笑覧』)。 日本の文献における「羊羹」の初出は室町時代に書かれた『庭訓往来』の「点心」の記事と言われている。 いずれにしても初期の羊羹は、小豆を小麦粉または葛粉と混ぜて作る蒸し羊羹であった。蒸し羊羹からは、芋羊羹やういろうが派生している。また、当時は砂糖が国産できなかったために大変貴重であり、一般的な羊羹の味付けには甘葛などが用いられることが多く、砂糖を用いた羊羹は特に「砂糖羊羹」と称していた。だが、17世紀以後琉球王国や奄美群島などで黒砂糖の生産が開始されて薩摩藩によって日本本土に持ち込まれると、砂糖が用いられるのが一般的になり、甘葛を用いる製法は廃れていった。 1589年(天正17年)、上方の駿河屋岡本善右衛門によって煉羊羹がつくられた。〔日本大百科全書 「羊かん 」 練り羊かんは1589年(天正17)に、和歌山の駿河屋の5代目岡本善右衛門によりつくられた。〕 「練り羊羹」が日本の歴史に登場するのは慶長4年(1599年)で、鶴屋(後に駿河屋と改名)の五代目、善右衛門がテングサ(寒天の原料)・粗糖・小豆あんを用いて炊き上げる煉羊羹を開発、その後も改良を重ね万治元年(1658年)には完成品として市販されている。 江戸時代は煉羊羹全盛時代であり、江戸本郷の藤村羊羹をはじめ、多くの名舗が現われた。一方、初期の製法の羊羹(蒸し羊羹)は、安価な下物(練羊羹の半値)〔日本大百科全書 「羊かん 」(3パラグラフ目の後半)〕 になり、その一部は丁稚羊羹と称したものもある。また、料理菓子として、煉羊羹を半煉り状にした製法の羊羹もつくられ、後に水分を多くした水羊羹がつくられるようになり、御節料理として、冬の時季に食された。 また、この時期には錦玉かん、淡雪かん(メレンゲを寒天で固めたもの)、みぞれかんといったあらたな羊羹も登場した。 現在では、この他にも食品が練り込まれた羊羹が土産品やお茶請けとして親しまれている。比較的高級な羊羹が切り分けて食べる棹物であるのに対し、安価な駄菓子として一口サイズで小分け包装された製品も開発された。特殊な包装としては、ゴム風船の中に詰めた玉羊羹が1937年に登場している。これは当時、戦場の兵士に送る慰問袋用の菓子として、福島県二本松市の和菓子店「玉嶋屋」が日本陸軍からの指示により開発したものである。戦後も継続して各社から製造販売されている。 また、中国でも天津や北京で、日本のものと同じような小豆や栗を使った甘い「羊羹 ヤンカン yánggēng」が製造販売されているほか、中国独特のサンザシ、桃、リンゴなどを加えたフルーツ風味のものも製造販売されている。 : 抄文引用元・出典: フリー百科事典『 ウィキペディア(Wikipedia)』 ■ウィキペディアで「羊羹」の詳細全文を読む スポンサード リンク
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