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根拠に基づく医療(こんきょにもとづくいりょう、EBM:evidence-based medicine)とは、「良心的に、明確に、分別を持って、最新最良の医学知見を用いる」("conscientious, explicit, and judicious use of current best evidence") 医療のあり方をさす 。エビデンスに基づく医療とも呼ぶ。語学的には英語ではEvidenceはTheoryと対比されている。日本語では証拠も理論も根拠になりうるので根拠に基づく医療と訳すと英語の意味から遊離してしまう。証拠に基づく医療と訳すべきである。 治療効果・副作用・予後の臨床結果に基づき医療を行うというもので、専門誌や学会で公表された過去の臨床結果や論文などを広く検索し、時には新たに臨床研究を行うことにより、なるべく客観的な疫学的観察や統計学による治療結果の比較に根拠を求めながら、患者とも共に方針を決めることを心がける。 == 背景 == 「根拠に基づく医療」の発祥の地のアメリカでは勤務医の臨床結果(治療結果や珍しい症状のケーススタディなど)が論文として医学誌に発表され、業績として評価される制度が整っているため、膨大な数の医療データが医療現場から生産・蓄積され治療現場に活用されている。 このため治療法が日進月歩で進化するため、医者は常に自らの専門の分野の最新の情報を、関連の医学誌を購読することで熟知していなければならない。また、これを怠って最新の治療を行わず患者の容態が満足な結果に終わらなかった場合は、患者から訴訟で賠償を請求されるというだけでなく、このような医学誌を参照とすることで適切な治療が行われていたか、裁判で客観的に判断されるという側面を持つ。 また特定の数値基準に満たない外科医、誤診の多い内科医などは病院が訴えられる原因になるので、重要な業務からは外される。また重度の糖尿病の患者の場合に黒人の方が白人よりも足を切断する治療が適用される確率が高いとの調査結果が出たため政治問題になるなど、根拠に基づく医療の影響は多岐にわたる。 これを最も端的にあらわすのが、2004年にハーバード大学教授の Donald Berwick によって始められた、病院での死亡率を減らすことを励行する「10万を救うキャンペーン」(100000 lives campaign)である。Donald Berwick教授のチームは、これまでの最新の医療情報に基づいて明らかに改善が可能な六分野(救急隊・予後の医療情報のアップデート・病院内での感染症・手術室での感染・人工呼吸器の使用による肺炎・臨床結果に基づく心筋梗塞の治療)を特定し、それぞれの分野で改善案を掲示。国内の主要病院機構の参加を呼びかけた。 これには、臨床結果に基づく最新・最善の医療法の選択だけでなく、患者のカルテのIT化による統一・病院での薬剤師の役割の拡大による処方ミスの軽減など日本の工場や作業現場で使われるTQCを医療現場に適用するようなものであった。 これには医療現場での治療法の実績だけでなく、医療過失の内容までもが臨床結果として明確・適切に第三者の組織に報告される制度の存在が前提であることは言うまでもない。アメリカの3000以上の病院がこのキャンペーンに参加した結果、18か月で統計上の推定で12万人以上の死亡者の軽減が認められた〔Robert M. Wachter, Peter J. Pronovost. "The 100,000 Lives Campaign:A Scientific and Policy Review " ,''Journal on Quality and Patient Safety'' 32(11), November 2006〕。 日本においては、学術的な特徴が顕著なドイツ流の医学(純粋科学としての医学)がかつて主流であった。ドイツ医学の科学性は、自然科学と同様に、観察と帰納と実験によって経験的事実を支配する法則を客観的に厳密に人類が認識する学問としての医学である。これに対して、英米系の臨床重視の医学では、科学とは広く対象への認識であると解することにより医学を学問となし、一定の目的を達成する手段の認識として医学を一つの技術とみなす。 根拠に基づく医学とは、学術的(対象そのものの客観的な認識を主任務とする)医学とも捉えかねられない「純粋科学」たるドイツ医学から、生理学的裏付けはともかく臨床結果における裏付けを根拠にする英米型医術(応用科学や技術)への転換というニュアンスがある。 抄文引用元・出典: フリー百科事典『 ウィキペディア(Wikipedia)』 ■ウィキペディアで「根拠に基づく医療」の詳細全文を読む スポンサード リンク
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