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===================================== 〔語彙分解〕的な部分一致の検索結果は以下の通りです。 ・ 検察 : [けんさつ] 1. (n,vs) examination 2. prosecutor ・ 察 : [さつ] (n) (col) police
国策捜査(こくさくそうさ)とは、捜査方針をきめる際に、政治的意図や世論の動向にそって検察(おもに特捜検察)が、適切な根拠を欠いたまま「まず訴追ありき」という方針で捜査を進めることをいう。〔池上彰『池上彰の政治の学校』〕そうした検察のあり様を批判するための用語であり、特に無罪判決が下った事件についての検察の捜査を批判するために使われる。〔同上〕捜査を進める場合だけでなく「捜査を控える」場合をも含めていうこともあるが、これらを区別して特に「逆国策捜査〔経済学者の池田信夫は、日歯連闇献金事件について、検察が自民党に配慮して捜査・立件を手控えた「逆国策捜査」だとしている。〕」ともいう。 == 概説 == この用語は検察自身が使用していたものが逆に検察を批判する文脈で一般に使用されるようになったものである。もともとは、1996年のいわゆる住専事件において、公的資金投入に対する世論の反発を緩和するために政府主導で行われた一連の捜査を指して使用されはじめた〔初出は『産経新聞』1996年5月30日朝刊。同記事には「捜査は、『住専処理をめぐる責任追及の必要から発した政府主導の“国策捜査”』という側面(検察幹部の話)をもたざるをえなかった」との記述がある。〕。2005年には鈴木宗男事件で逮捕・起訴された外交官の佐藤優による手記『国家の罠』がベストセラーとなったことで一般に広く知られるようになる〔佐藤優 『国家の罠 外務省のラスプーチンと呼ばれて』 新潮社、2005年。同書には、取り調べにあたった特捜検事の西村尚芳の言葉として、「これは国策捜査。あなたが捕まった理由は簡単。あなたと鈴木宗男をつなげる事件を作るため」との記述がある。〕。 この用語に類似する表現としては他に「検察ファッショ(検察ファシズム)」、「人物破壊工作」がある。こちらは1934年(昭和9年)に起きた帝人事件において、検察の強権的捜査が強い政治的影響力を持つことを批判して用いられたものであり、通常、国策捜査よりは広い意味で使用されている〔1989年4月の衆院予算委員会で新井将敬衆院議員は、高辻正己法相に対して「検察が民主的な行政的な手続きを経ないで、直接的に、例えばマスコミに働きかけたりして、自分たちの目的を有効に持っていこう、そういう状態を検察ファッショというふうに理解していいのか」と質問している。これに対して、高辻法相は「特定の政治目的のために検察権が乱用されたときというのは、ご指摘のような場合がまさにそれにあたると思います」と答弁。さらに、そういう場合は、大臣が検察に対する指示、つまり、指揮権を発動することもあり得ると言っている。『保坂展人 どこどこ日記 2009年05月31日 』〕。もっとも、この帝人事件の捜査はまさに今でいう国策捜査であった。このため、いくつかの国策捜査は「平成版の帝人事件〔田原総一朗『正義の罠 リクルート事件と自民党 20年目の真実』小学館、2007年。田原はリクルート事件が国策捜査であったとして事件を「平成版の帝人事件」と呼んでいる。〕」、「第二の帝人事件〔『四国新聞』2007年1月26日。ライブドア事件の第一審最終弁論において、弁護人は事件を「第二の帝人事件」と呼んだ。〕」などと呼ばれることがある。魚住昭は帝人事件を「平沼騏一郎が、三流官庁だった検察に力を持たせたいが為に作り上げた事件」と指摘している〔魚住昭さんの特捜部解体論 堀江貴文ブログ〕。 なお、国策捜査は、政府の具体的な指示・命令による捜査(法務大臣の指揮権発動ないし逆指揮権発動〔検察庁法第14条にもとづき、個別の事件について法務大臣が検事総長を指揮することを指揮権発動と呼び、造船疑獄事件では実際に検察の捜査を中止させた。これとは逆に、法務大臣が捜査を督励することを俗に逆指揮権発動と呼び、こちらはロッキード事件で話題になった。以上は『現代用語の基礎知識 1977年版』自由国民社、1976年。逆指揮権発動を含めて指揮権発動と呼ぶことも多いため、本文では併記した。なお、(逆)指揮権発動による捜査督励は「国策捜査」となる場合があり、指揮権発動による捜査中止は「逆国策捜査」となる場合がある。〕)としておこなわれる場合もあるが、そのような捜査だけを指すものではないので注意が必要である。むしろ、国策捜査には政府の関与がないことが普通である〔本文のような誤解について鈴木宗男は「国策捜査というと、官邸から特別な指示が出て検察が動くと考えがちだが、実はそうではない」とはっきり否定し、検察が世論や政治の動きに過敏になっているのだと主張している。以上は鈴木宗男『闇権力の執行人』講談社、2006年。〕。一方で政治が絡んだ国策不捜査の例としてかんぽの宿のオリックスへの一括売却問題がある。2011年3月、民主党より特別背任未遂で告発を受けた東京地検特捜部は「売却条件に最も近い条件を提示したのがオリックス不動産で任務に反したとはいえない」として、嫌疑なし(不起訴)の判断を下した。 検察の問題点を指摘したりそれを批判するための言葉として用いられているが、「法令上の用語ではなく、定義があいまいな言葉だ」などとしつつ、この用語の使用に危惧を抱く人もいる〔「検察批判についての基礎知識 『国策捜査』とはどんな捜査か?」『日本の論点 2007年度版』文藝春秋、2006年。後出の佐藤優は、より限定して「時代を転換するために検察が象徴的な事件を作り出して捜査すること」だけを国策捜査と呼ぶが、一般には広く本文のような意味で使われている。〕〔2009年3月11日、森英介法務大臣は衆議院法務委員会で自民党の稲田朋美議員による「“国策捜査”という定義があいまいな言葉が検察を批判するための言葉として使われることに危惧を感じる」という趣旨の質問に対し、「“国策捜査”は法令上の用語ではなく、どのように解釈すべきかは判断できず、あいまいな表現である」という趣旨の答弁をおこなっている〕。 抄文引用元・出典: フリー百科事典『 ウィキペディア(Wikipedia)』 ■ウィキペディアで「国策捜査」の詳細全文を読む スポンサード リンク
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