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機能的クレーム (きのうてき -)とは、特許の請求項に関する概念である。 特許請求の範囲で規定される構成概念には、何段階もの上位・下位概念の記載レベルが存在するが、その上位概念の最も頂点に位置するのが、抽象的な「機能」的記載である。このような機能的クレームは、過去の権利行使時の属否の判断において、度々問題を引き起こしてきている。 この問題を複雑にしている背景には、各国特許法の違いがある。たとえば、米国特許法(35.U.S.C.)第112条の第6パラグラフには、(Means Plus Function)の規定が存在し、「結合に関するクレーム中の要素は、その構造、材料又はこれを裏付ける作用を詳述することなく、特定の機能を達成する手段又は工程として記載することができる。このようなクレームは、明細書に記載されたそれと対応する構造、材料又は作用及びこれと同等のものを含むと解釈されるものとする。」という規定部分により、機能的なクレームの表現が認められている。 つまり、請求項で示される機能的な構成要素は、クレームに限定された機能を持つすべての概念を内包するのではなく、明細書に開示された対応構造およびその均等物のみを包含するものと解釈される。 このような Means Plus Function の考え方は、日本の旧特許法の解釈論に似ている。つまり、特許発明の範囲を定める際には、発明の詳細な説明の記載を含めた明細書全体から判断すべきであるという解釈論であり、特許請求の範囲の記載は、いわば発明のインデックスであるという考え方である。 しかしながら、日本の現行特許法では、特許法70条1項に規定されるように、特許請求の範囲の記載のみによって権利が確定するものであるため、発明の詳細な説明に記載されている事項が、特許請求の範囲に記載されていない場合には、原則として、その発明の内容は、特許発明の技術的範囲には包含されない。 また、特許発明の技術的範囲を均等論によって判断する際にも、平成6年(オ)第1083号「ボールスプライン軸受事件」(最高裁平成10年2月24日第3小法廷判決)により判示されるように、均等物への置換は、特許発明の本質的な部分でないなど、限定的になされるものであるため、Means Plus Function のような広義な置換可能性が含まれる解釈論とは相違する。 この規定や運用からみて、Means Plus Function の考え方は、日本の特許法の考え方とは異なっており、抽象的な「機能的クレーム」は、多くの場合、明確性の欠如を理由に、特許法第36条違反により排除される。 ==機能的表現による明細書== 機能的クレームを一歩進めたものとして、機能的な表現による明細書がある。このような特許出願の明細書では、特許請求の範囲に抽象的な機能的クレームを記載し、「明細書に記載されたそれと対応する構造、材料又は作用及びこれと同等のものを含むと解釈される」ことを避けるため、発明の詳細な説明中に、あえて具体例を開示せず、特許請求の範囲の記載内容と、その発明の詳細な説明がほぼ同じであるような「機能的な事項」のみを漠然と記載するものである。 しかしながら、特許制度の目的は、「新しい技術を公開した者」に対し、その代償として特許権という独占権を付与し、第三者に対してこの公開された発明を利用する機会を与えるためのものである。 そのため、独占権だけを求め、有用な技術的内容を実質的に開示しないことは、この「新しい技術を公開する」という趣旨に反するものとも考えられ、説明責任を果たすものではない。 したがって、このような「機能的表現による明細書」は、特許法の目的に沿った説明責任が果たされておらず、特許が取得できても、権利行使に耐えない蓋然性が高い。 抄文引用元・出典: フリー百科事典『 ウィキペディア(Wikipedia)』 ■ウィキペディアで「機能的クレーム」の詳細全文を読む スポンサード リンク
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