|
===================================== 〔語彙分解〕的な部分一致の検索結果は以下の通りです。 ・ 武装 : [ぶそう] 1. (n,vs) arms 2. armament 3. armed ・ 島 : [しま] 【名詞】 1. island ・ 田 : [た] 【名詞】 1. rice field ・ 倉 : [そう] 【名詞】 1. warehouse 2. cellar 3. magazine 4. granary 5. godown 6. depository 7. treasury 8. elevator ・ 倉庫 : [そうこ] 【名詞】 1. storehouse 2. warehouse 3. godown
『武装島田倉庫』(ぶそうしまだそうこ)は、椎名誠によるSF長編小説。『アド・バード』『水域』と共に椎名SF3部作に数えられる。小説新潮に掲載された連作短編を結集する形で、1990年12月に新潮社より刊行された。 == 各編のあらすじ == : 本書に収録されている七本の短編は、同じ世界の別々の場所・時間における一場面を切り取っている。 : 物語の舞台では「北政府」との壮絶な戦争から二十年近くが経過し、都市や街道は破壊され、汚染された海や森には異態進化した獰猛な生物群がうごめいている。物資狙いの盗賊団や武装勢力が跳梁する混沌とした時代にあって、陸上運送は命がけの、しかし実入りと余禄のあるハイリスクハイリターンな業界となっていた。 : なお、以下の文章には固有名詞が頻出するため、各編における主人公格とタイトルに登場する名称を太字で記載する。 ; 武装島田倉庫 : 同時にやってきた就職難と食糧難から逃れるため、可児才蔵は四回におよぶ厳しい試験をくぐりぬけ、欠員が出た島田倉庫の作業員見習いとして住み込みで働くことになる。普通の鋼材から穀物、さらには遺伝子操作された生物など多種多様な品物が倉庫の大扉をくぐり、一月ほどで可児も取引先の名前だけで仕事の見当がつくようになる。また政府の証書を得ていない闇の食糧を倉庫長の指示のもと抜き取るなど、別の意味でも倉庫の一員に仲間入りする。 : 一方で物品をもちこんでくるトレーラーの運転手などから、組織略奪団などによって陸上交通網がずたずたにされている有様が知らされる。ついには北政府が水面下で支援している武装集団「白拍子」が移動倉庫を襲撃したという話がもたらされ、倉庫長と専務は島田倉庫も武装すべきだと結論を出す。 : 従業員たちに銃が手配されたその週の金曜、島田倉庫は問題の白拍子から攻撃を受ける。 ; 泥濘湾連絡船 : 北政府によって油泥で汚染された阿古張湾、通称“泥濘湾”の両岸を結んでいた切屑大橋が修復不可能な状態になっていることに目をつけた詰腹岬の「漬汁屋」は、定吉とともにプロペラ推進式の平底ザンバニ船で渡船業を興すことを思いつく。盲目ゆえに超能力をもつ少女アサコの助けで、油泥に隠された海中の倒壊建造物や隠れ岩、危険生物などを迂回した安全な航路を開拓し、湾の横断に成功したが、増便しようとしたところでザンバニ船を提供した名士・枕元凍三郎が別の連絡船を開業する。枕元に事実上屈服した漬汁屋は、対岸から陸路開拓に出発する。 : しかし、それからまもなく枕元のザンバニ船が原因不明の転覆事故を起こし、町に新設されたばかりの法治局庁舎で調査会が行われることになる。 ; 総崩川脱出記 : 巣籠河原で生活していた群族の生き残り八人は、綱島捨三の母・栄の葬儀を執り行なった次の朝、十年間暮らしていた河原から総崩川方面へ脱出する。総崩川の本流に入ってしまえば、北政府の騎馬兵士やホーヴァークラフト隊などの略奪におびえる国境地帯から離れ、最終的には阿古張湾へたどりつく安全地域へと進めるのである。 : 森を抜け、崖を下り、旧時代の建物で贅沢な暮らしを味わい、その間に女性二人を失いつつも一行は本流近くの湿地帯に進入する。ここにきて進退窮まり、さらに犠牲者を出しながら立ち往生した捨三たち五人の前に、大型のカヌーに乗った防水コートの男たちが現れる。 ; 耳切団潜伏峠 : 潜水夫の「百舌」は、急ぎの便で助手が死んでしまった装甲貨物車の新しい助手として引きぬかれ、運転手の「鉄眼」に一通りの知識と貨物車に搭載された放水砲の操作方法を教え込まれる。廃棄されたホテルで一泊し、仲買人と接触してこの先の道路が使えないと知り迂回路を選んでとある町に入るが、そこで進行方向の峠に耳切団という有毒ガスを使う略奪団が根城を構えていると教えられる。 : 町を出た後で百舌は鉄眼から装甲貨物車の運転方法を教えられ、また助手に戻って迂回路を進むことになるが、問題の峠にさしかかったところで耳切団の走路妨害に遭い、鉄眼が放水砲を操作する間ステアリングは百舌に任されてしまう。 ; 肋堰夜襲作戦 : 吊目温泉に近い耳鳴坂で二十歳を迎えた「灰汁」は、今となっては貴重なJ&Bスコッチ・ウイスキーを入手し、その売買処理のため西の糸巻市へと向かう。糸巻市に入って一夜明けると複数の男たちに取り囲まれ、北政府のスパイ扱いを受けるも、疑いはすぐ晴れて灰汁も彼らの仲間入りをすることになった。 : 男たちのリーダー格である「ジーゼル」は阿古張湾のさらに向こうから渡ってきた男で、昔は糸巻市に住んでいたが、戦時中に北政府の攻撃から逃れていたのだった。その恨みを忘れていないジーゼルは、前から練っていた計画を灰汁に語りだす。糸巻市から西の山脈を越えた場所にある肋堰を爆破、下流に駐屯している北政府軍の部隊を壊滅させようというのだ。 ; 魚乱魚齒〔文中の表記では、「魚偏に乱」および「魚偏に齒」でそれぞれ一文字を形成する。椎名が独自に創造した文字ともいわれるが確証はない。本来ならば文中の通りにそれぞれ一文字で表記すべきだが、技術上の制約により本記事では偏と旁に解き、合計四文字で表示する。以下同じ〕白浜騒動 : 北政府が山岳地帯の攻略に使ったまま残していった九足歩行機の操縦技術を買われ、枕元凍三郎の紹介で白浜海岸にやってきた汗馬七造は、突然始まった不漁で今の白浜海岸に自分の仕事がないことを知る。それでも放置されていた歩行機の試運転に成功したことで、浜の抱き込み漁師たちは一気に活気づく。 : 翌日になって七造は歩行機を操縦し、海底に沈んでいた沈船の甲板を引きあげて潜り方の突入を助けたことで、漁師たちは継続的に発掘できる格好の“漁場”を手に入れたと喜ぶ。しかしさらに翌日、全長十五メートルにも達する巨大な魚乱魚齒が出現し、海上は大混乱に陥る。 ; 開帆島田倉庫 : 乗っていた装甲貨物車が使い物にならなくなり、運転助手だったので書類に残された以上の予定もわからない「百舌」は、最後の配送先だった島田倉庫にそのまま再就職する。同じころ、島田倉庫ではやってくるトラックの運転手から「近いうちに島田倉庫のある灰坊市一帯が攻撃される」という情報を手に入れており、百舌と彼の教育係に指名されていた可児が市街へ偵察に出るよう命じられる。 : 廃墟のような住宅街と雑然とした市街を抜け、二人は中心部のデパートに入るが、そこで二人は肋堰が襲撃され北政府軍の第十七師団が壊滅的な被害を受けたこと、それに対する報復として北政府が攻勢に出るらしいことを聞かされる。倉庫に戻った彼らの情報は、間もなく始まった北政府の濃脂豪雨によって裏付けられることになった。 : 雨が降り続けて五日目、油の洪水に倉庫が浸され食料も底をついたころ、倉庫長は決断を下す。 抄文引用元・出典: フリー百科事典『 ウィキペディア(Wikipedia)』 ■ウィキペディアで「武装島田倉庫」の詳細全文を読む スポンサード リンク
|