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民工(みんこう)/農民工(のうみんこう)とは、中華人民共和国において、農村から都市に出かけて就労する、農村に戸籍(戸口)を持つ者をいう〔張(2011年)73ページ〕。いわゆる出稼ぎ農民と対比されるが、農民工は中国独特の存在である〔。農民工は、広義と狭義の2種類があり、広義では農村に定着しながら地元の郷鎮企業で働く者と、地元農村を離れいくつもの地方都市で複数の企業を渡り歩く者とを含み、それら以外の者が、狭義の農民工である〔。中国国家統計局の発表によると、2011年の時点で全人口のほぼ2割に相当する2億5278万人の農民工がいるとされる〔李(2012年)98ページ〕。このうち前述地元企業で働くもの以外の者が、故郷を離れて都市部で働く狭義の農民工が、1億5863万人を占める〔。 == 背景としての都市と農村の二重構造 == 中国においては、都市(城鎮)と農村(郷村)、都市住民(居民)と農民(農民)という法体系上の差別が存在している〔田中(2012年)421ページ〕。中華人民共和国憲法は、法の下の市民の平等を規定しているが、実際には都市と農村との間に大きな格差が存在しており、都市と農村という二元的な管理構造が中国社会の大きな特徴となっている〔。国有企業が計画経済体制のもとで活動していた1980年代半ばまで、都市労働者については、一律いわゆる「固定工」システムがとられ、学校を卒業すれば、国から職が行政的に分配され、基本的に定年までその職場で勤務した〔鈴木(2010年)209ページ〕。いわば、都市労働者の就業は基本的に国によって保障されていたのである〔。職場は生産組織として「労働=報酬」という単純な経済的機能にとどまらず、都市住民の生活基盤にかかわる包括的な機能を果たした〔。それは国家による国民把握のための基本単位ともなり、文字通り「単位(ダンウェイ)」と呼ばれた〔。「単位」は各種生活物資や住宅の配給、医療・年金などの社会保障、食堂・浴場・保育園・学校・商店・理髪店・娯楽施設などの社会サービスを従業員に提供し、ゆりかごから墓場まで「単位」が面倒みる社会が実現した〔鈴木(2010年)210ページ〕。都市住民に対するさまざまな社会保障制度は、食いっぱぐれがないという意味で「鉄飯碗」(割れない茶碗)と形容された〔。このシステムが実現可能だったのは、農村からの人口移動を戸籍制度によって厳しく制限し、都市を閉じられた空間にできたからである〔。大都市を中心に発達した工業は、ごく一部を除き国有化され、そこで働く労働者は国営企業の従業員として、公務員に準ずる待遇を得た〔田中(2012年)421ページ〕。これに対し建国直後の毛沢東の土地改革によりいったんは農民の私有とされた土地が、1950年代半ばの農業集団所有化によって集団所有へと移行したため、農村では集団所有制が所有制の基軸を形成した〔。そして、集団所有のもとにおかれた農村住民に対しては、自給自足を前提にして、社会保障制度の対象から外され政府からの十分な保護を受けることができなかった〔田中(2012年)422ページ〕。それでも経済的に恵まれた少数の人民公社は集団所有制のメリットを発揮して互助的な生活環境を維持できたが、大半の人民公社は厳しい貧困に直面していた〔。このように、都市と農村、都市住民と農民という差別は、所有制による差別を基礎に成立しているともいえる〔。 抄文引用元・出典: フリー百科事典『 ウィキペディア(Wikipedia)』 ■ウィキペディアで「民工」の詳細全文を読む スポンサード リンク
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