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国民国家(こくみんこっか、、、)とは、国家内部の全住民をひとつのまとまった構成員(=「国民」)として統合することによって成り立つ国家。領域内の住民を国民単位に統合した国家そのものだけではなく、単一の民族がそのまま主権国家として成立する国家概念やそれを成り立たせるイデオロギーをも指している。 近代国家の典型の1つとされることも多い。英語では、"''Nation-state''" は「一民族により構成される国家」の意で用いられることが多く、この意味からは「単一民族国家」が原意に近い。''state''と''nation''については、しばしば "''The state is a political and geopolitical entity; the nation is a cultural and/or ethnic entity.''"(「''state''は政治的あるいは地政学的なもの、''nation''は文化的あるいはまた民族的なものである。」)と説明される。 ヨーロッパは一般に「国民国家」成立のモデル地域とされており、その先進国とされるのがイギリス、フランスであった〔坂井(2003)〕。 == 概要 == 国民国家はネイション‐ステイト (''Nation-state'') の訳語ではあるが、ネイション (''nation'') の意味は多様であり、日本では「国民」と訳されることが多いものの、世界的にみれば多民族国家がむしろ一般的であることから、海外では、日本でいう「民族」の意味で使われることも多い。したがって、単純に〈国民=ネイション、国家=ステイト〉と当てはめることはできない。ネイションは本来「生まれ故郷を同じくする人の集団」を意味し、そこから、文化、言語、宗教や歴史を共有する人びと、つまり「民族」という意味が派生している。その点から、''Arab Nationalism''は「アラブ民族主義」と訳すのが正確であり、各国に散らばるユダヤ人もまた、それぞれ互いに同じ ''Nation'' に属しているものと理解される。したがって、"''Nation''"を「民族」と機械的に訳してきたことは、訳語上の混乱という瑕疵を作った。このような訳語上の混乱を理解した上で、"''Nation''"を「国民」と訳することは首肯できるのである。さて、その一方で、ステイト (''state'') は元来「国王が所有する財産」、すなわち土地や収穫物、財産としての人間(奴隷)を意味する。 つまり、「ネイション‐ステイト」とは、国民国家を構成する人的な要素と物的な要素(奴隷ふくむ)を合成した言葉である。日本語においては、「国家」の語には物的な側面だけでなく政治家や官僚・天皇など、国家機構にかかわる人的な要素も含まれるため、単純に「国家=ステイト」とはならない。国民国家はあくまでネイション‐ステイトというひとつながりの言葉の訳語として理解するべきである。 ネイションの側面は、ベネディクト・アンダーソンの「想像の共同体」やカール・マルクスのいう「幻想共同体」に相当し、ステイトの側面は、統治機構や法共同体としての同一性に相当すると考えられている〔姜・宮台(2003)〕。 さらに「国民国家」とは、確定した領土をもち、国民を主権者とする国家体制およびその概念を指すことがある〔清水(2004)〕。 歴史的にみれば、絶対王政によって中央集権体制の整えられた国家が三十年戦争を通じてさらに強力化し、その講和条約であるウェストファリア条約によって神聖ローマ帝国(ドイツ)の領域に多数の主権国家が生まれ、オランダ(北部ネーデルラント)はスペインからの独立を果たした〔ドイツをはじめとして、オーストリア、スイス、オランダ、ベルギーなど、中央ヨーロッパには現在、連邦制の国家形態を採用する国家が多いが、これは、歴史的にみれば神聖ローマ帝国の遺産といえる。坂井(2003)p.227〕。こうして生まれたヨーロッパの国際秩序を「主権国家体制」ないし「ウェストファリア体制」と称する。こののち、ヨーロッパでは17世紀のイギリス市民革命(清教徒革命、名誉革命)、18世紀のフランス革命などにみられるように、絶対王政に対する批判として君主に代わって「国民」が主権者の位置につくことによって近代国家が形成された〔。18世紀から19世紀にかけて、オランダ・イギリス・フランスにつづいてヨーロッパの他地域でも市民革命が起こり、また、英仏をモデルとした近代化が進められた〔。こうして成立した国家が国民国家である。 抄文引用元・出典: フリー百科事典『 ウィキペディア(Wikipedia)』 ■ウィキペディアで「国民国家」の詳細全文を読む 英語版ウィキペディアに対照対訳語「 Nation state 」があります。 スポンサード リンク
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