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水底トンネル(すいていトンネル)は、川や運河、海などの水域の底をくぐって建設されたトンネルである。水底トンネルのうち、海をくぐるものを特に海底トンネル(かいていトンネル)という。 == 特徴 == 水底トンネルは川や海などの水域を渡って対岸と連絡するためのものであることから〔、建設にあたっては橋との得失が検討される〔。 船舶が航行する場所に橋を架けるためには、船舶航行の障害となる橋脚の数を減らし、満潮時でもマストが橋桁に衝突しないように桁下の高さを十分高くしなければならない。このために高く径間の長い橋となりアプローチも長くなって、工費が極めて高額となり、トンネルが選ばれる理由となる〔。関門鉄道トンネルの建設時に比較された橋梁案では、当時建造中であった日本海軍の戦艦「扶桑」の水面上高さが64メートルあり、これを通し得るためにはレール面の海面上高さは76メートルとなり、この高さまで毎回列車を昇降させなければならないことが、運転上永続する大きな損失であるとされた〔。 ただし、船舶の航行上の問題に関しては可動橋を用いる手もある。しかし橋を採用した場合、荒天時に通行が難しいという問題がある〔。また、建設後に通行する車両の重量が増加すると、橋では強度が問題となるが、トンネルでは特に問題がない。橋の建設時に橋の部材を落としてしまう事故を起こすことがあるが、水深によっては落とした部材が航行の障害となり、回収するのも困難という事態を引き起こし得る〔。鋼製の橋は、塗装の塗り替えが必要であり、イギリスのフォース鉄道橋では専属の塗装工が端から塗装を行っていって全部を終えるのに3年かかり、その頃にはまた最初の方は塗装が必要になるという状況であり〔、英語では終わらない仕事の例えとして""という言い回しがある〔。軍事的には、橋は空襲に弱いが、トンネルではそうした問題がないという観点もある〔。 また、神奈川県川崎市において千鳥町と東扇島を結び川崎港に掘られた川崎港海底トンネルでは、航路を航行する船舶に対応するために要求される桁下高さを満足させる橋を架けると、近隣の東京国際空港(羽田空港)に伴う高度制限に抵触するという理由で、トンネル案が選ばれた〔。羽田空港に近接する首都高速1号羽田線の羽田トンネルも同様の理由であり、橋に比べてトンネルは約3倍の工費がかかると見込まれたが、トンネル以外の選択肢はないとされた〔。 道路に用いる場合は、単位延長当たりの建設費や保守運営の費用は、トンネルより橋の方が一般的には安くなる。したがって道路用の水底トンネルは、トンネルを選ばなければならない理由があるときに限られ、そのために大都市近郊に多く建設されている〔。一方、鉄道の場合はトンネルと橋では建設費が大きく変わらない。このため、道路トンネルに比べると採用例が多くなるが、やはり大都市近郊に採用例が多い〔。 道路を通すトンネルで特に問題となるのは換気であり、長大なトンネルでは特に、所定の交通量に対して必要な新鮮な空気を供給し、汚染された空気を排出するためにトンネルの断面を大きくして入気・排気ダクトを設けなければならず、換気ファンにも多大な動力を必要とする。これに対して鉄道用では、電気鉄道を前提とする限り、列車の走行に伴う自然換気で十分であり、特段の換気設備を設ける必要がない。同じ断面積のトンネルで提供可能な輸送力でも鉄道の方が上回り、一般に鉄道の方がトンネルでは有利となる〔。 山岳トンネルと異なる水底トンネルの特徴としては、湧水の処理がある。山岳トンネルでも湧水は大きな問題であるが、十分な排水を行えば、山体内に貯留されている水がはけるにつれて湧水量が減少していくことが期待できる。また山岳トンネルの縦断勾配では、自然流下での排水を期待できることが多い。これに対して水底トンネルでは、その縦断勾配上ポンプで揚水する以外に排水の方法がない上に、水の供給源はほぼ無限である。水の通り道に土砂が詰まって自然に水の流入が止まってしまう場合もあるが、逆に水の流入に伴って次第に通り道が拡大されてしまう場合には、水の流入量がポンプの能力を上回り、やがて工事の続行が不可能となってしまう。このため、諸般の工法を用いて湧水を止めなければならない〔。 抄文引用元・出典: フリー百科事典『 ウィキペディア(Wikipedia)』 ■ウィキペディアで「水底トンネル」の詳細全文を読む スポンサード リンク
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