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トリブチルスズ (tributyltin または tributylstannane) とは、示性式が (''n''-C4H9)3SnH と表される有機スズ化合物。トリ-''n''-ブチルスズ もしくは 水素化トリブチルスズ(すいそかトリブチルスズ、tributyltin hydride)とも呼ばれ、TBT と略称される。有機合成においてラジカル的還元剤として用いられる。 かつては酸化物である酸化トリブチルスズ、(''n''-C4H9)3Sn-O-Sn(''n''-C4H9)3 とともに貝やフジツボや海藻の付着を防ぐ目的で船底や魚網の塗料に加えられていたが、貝のオス化など海洋生物に悪影響を与えることが判明した。現在、これらの化合物はロッテルダム条約の適用内と考えられていて、国際海事機関 (IMO) により使用が禁止されている。 == 有機合成 == 有機ハロゲン化合物のハロゲンを水素に置き換える還元剤として用いられる〔RajanBabu, T. V. In ''Encyclopedia of Reagents for Organic Synthesis'', Paquette L. A. ed., Wiley, 1995; Vol. 7, pp. 5016.〕。反応は以下に示す通りラジカル的に進行する。 トリブチルスズをAIBN など適切なラジカル開始剤とともに用いることで、水素がラジカルとして引き抜かれてトリブチルスズラジカル、(''n''-C4H9)3Sn• が生じる。このスズラジカルはハロゲン化アルキルなどのハロゲン原子をラジカルとして引き抜き、発生したアルキルラジカルが新しいトリブチルスズから水素ラジカルを引き抜いてスズラジカルを再び発生させ、そうして反応が連鎖的に続く。生成物はハロゲン化アルキルのハロゲン原子が水素に置き換わった還元体 (R-H) とハロゲン化トリブチルスズ、(''n''-C4H9)3Sn-X である。 # (''n''-C4H9)3Sn-H + AIBN → (''n''-C4H9)3Sn• # (''n''-C4H9)3Sn• + R-X → (''n''-C4H9)3Sn-X + R• # R• + (''n''-C4H9)3Sn-H → R-H + (''n''-C4H9)3Sn• → 2 に戻る アルキルラジカル R• が発生したとき、R の構造内に二重結合などラジカルが付加しやすい部位があれば、分子内付加が優先する場合がある。これは環化反応へ応用される。 また、アルコールから調整できるキサントゲン酸エステルも同様の反応をし、ヒドロキシ基を除去するのに使われる (Barton-McCombie脱酸素化)〔Barton, D. H. R.; McCombie, S. W. ''JCS, Perkin Trans. 1'', 1975, 1574.〕。 抄文引用元・出典: フリー百科事典『 ウィキペディア(Wikipedia)』 ■ウィキペディアで「トリブチルスズ」の詳細全文を読む 英語版ウィキペディアに対照対訳語「 Tributyltin 」があります。 スポンサード リンク
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