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汚染された紙幣(Contaminated Banknotes)とは、コカインなどが汚染物質として付着した紙幣のことである。都市伝説の1つに銀行券の大半はコカインの痕跡が残っているというものがあるが〔 〕、実際に各国で行われた研究によりこの逸話は裏付けられている。例えばアメリカでは、ロサンゼルスにおいて1994年に第9巡回区控訴裁判所が平均すると4枚の紙幣のうち3枚以上がコカインもしくはその他の違法な薬物に汚染されていると断定している。 それ以外の国の紙幣にも同じように薬物に汚染された形跡がみられ、病気を媒介する役割を果たしていることを示す研究まである。とはいえ病気が紙幣をつうじてどの程度まで容易に伝染するのかという点では研究者の意見が分かれている。 またヨーロッパでは汚染された紙幣とコカインの使用に相関関係があることが明らかにされた。8年間の調査により、汚染されたユーロ紙幣はスペイン発のものが最も多いのに対して、隣接するポルトガルは最少の国家に分類された。スペインは南アメリカにとってコカイン輸出の窓口であり、過去の統計でもコカイン使用者の割合がヨーロッパで最も高いのに対し、ポルトガルはこちらでも最も割合が少ない国家の1つである。 このような汚染が起こる理由として、紙幣が麻薬取引の最中にやりとりされるものであること、鼻からドラッグを吸引するときにまるめた紙幣が使われるためなどの説が考えられる〔。最初の汚染が起きると、汚染物質は狭い空間に置かれた別の紙幣へと「感染」していく。金融機関ではふつうそうであるように閉鎖された環境下で積み重ねられた紙幣がまさにその典型である。 == アメリカ合衆国 == フォレンジック・サイエンス・インターナショナル誌に発表された研究では、オハイオ州クリーブランドカイヤホガ郡の検死局に在籍するA.J.ジェンキンスが、5つの都市からランダムに集めた10枚の1ドル札について分析を行っている。この紙幣にコカイン、ヘロイン、"6-AM"と呼ばれる6-アセチルモルヒネ、モルヒネ、コデイン、メタンフェタミン、アンフェタミン、フェンシクリジンの検査が行われた。紙幣はまず2時間かけてアセトニトリルに漬けられ、その後取り出されてGC-MS分析にかけられる。その結果、「92%の紙幣がコカインに関しては陽性であり、検出量は平均して1枚あたり28.75±139.07マイクログラム、中央値は1.37マイクログラム/枚、幅は0.01-922.72マイクログラム/枚だった。ヘロインは0.03から168.5マイクログラム/枚の範囲で7枚の紙幣から検出された。6-AMは3枚の紙幣から、メタンフェタミンとアンフェタミンはそれぞれ3枚と1枚の紙幣から検出された。フェンシクリジンは0.78マイクログラムと1.87マイクログラムの量で2枚から検出された。コデインは分析にかけられたどの1ドル紙幣からも検出されなかった」。この研究から紙幣を最も汚染しているのはコカインであることが裏付けられたが、同時に紙幣からはそれ以外の乱用されがちな薬物も検出されることが確かめられた。 アルゴンヌ国立研究所で行われた研究によれば、シカゴ近郊で流通する紙幣の5枚に4枚はコカインの痕跡があることがわかった。別の都市を対象にした過去の研究でも、同じ割合で紙幣が汚染されていることがわかっている。しかしアルゴンヌでの研究は、汚染紙幣に触っても手に薬物がつくことはないことを初めて実証したものでもあった。つまり「コカインをこすり落とすことは事実上不可能である」とアルゴンンヌ国立研究所の化学者ジャック・デミルジアンは述べている。シカゴ・サンタイムズのビル・ソーンズとリッチ・ソーンズによれば、この汚染の割合は94%に達すると推計している。ロナルド・K・シーゲルも著書のなかで汚染を同様の数字で見積もっている。 また、サクラメント・ビー紙が明らかにしたのは、こういった汚染が起こる第1の要因は市中に出回る違法薬物の取り引きにおいて使用される貨幣であるが、連邦準備制度が図らずもそれを清潔な紙幣と混ぜ合わせてしまうことが汚染物質を拡散させる原因となっていたということである。ジャーナル・オブ・アナリティカル・トキシコロジー誌もこの主張を裏付けており、現金計算機が伝染に果たした役割を指摘している。 アメリカの紙幣にはほぼコカインが付着していることが明らかになったことは、法的な意味合いも持っていた。それは麻薬犬の反応が、ただちに逮捕や紙幣の没収の根拠にはならないということである(麻薬の量は紙幣の所有者が起訴されるには少なすぎるが、麻薬犬の反応を引き出せないほど少ないわけではなかった)。しかし、多くの州で抗議が起こり、麻薬犬の反応は汚染の「異常な」量とは何にもとづいて構成されるのかという基準の1つとして存続することとなった。 抄文引用元・出典: フリー百科事典『 ウィキペディア(Wikipedia)』 ■ウィキペディアで「汚染された紙幣」の詳細全文を読む スポンサード リンク
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