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『沈黙の春』(ちんもくのはる、''Silent Spring'', ISBN 978-4102074015)は、1962年に出版されたレイチェル・カーソンの著書。DDTを始めとする農薬などの化学物質の危険性を、鳥達が鳴かなくなった春という出来事を通し訴えた作品。 発売されて半年で50万部も売れ、特にBook of the Month Club(高名な合衆国最高裁判所判事のウィリアム・O・ダグラスの推薦文が同封された)やニューヨーク・タイムズのベストセラーリストに選ばれてからよく売れた。 1964年に新潮社から初めて日本語に訳された際の題名は、『生と死の妙薬―自然均衡の破壊者〈科学薬品〉』(せいとしのみょうやく―しぜんきんこうのはかいしゃ・かがくやくひん)だった。翻訳は青樹簗一。現在は上記のタイトルで文庫版が刊行されている。 == 現在の評価 == レイチェル・カーソンのこの著作は、あまり知られていなかったDDTの残留性や生態系への影響を公にし、社会的に大きな影響を与えているが、執筆から40年以上経過した現時点の最新の科学的知見から見ると、その主張の根拠となった1950年代の知見の中には、その後の研究で疑問符が付けられたものも存在する。例えば当時はDDTに発ガン性があるという見解が多かったが、長期間にわたる追跡調査はDDTによる人間に対する発ガン性に関しては未確定であり、国際がん研究機関発がん性評価においてはグループ2Bの「人に対して発がん性が有るかもしれない物質」とされている〔IARC Monographs- Classifications - Group2B 〕。またオスのワニが生まれなくなった要因を農薬に求める記述もあったが、ワニの性別は卵の温度で決まるため、その指摘自体が誤りではないかとされている。 また本書がDDTの世界的な禁止運動のきっかけとなった点についても、レイチェル・カーソンなどが実際に主張したことは、農薬利用などマラリア予防以外の目的でのDDTの利用を禁止することにより、マラリア蚊がDDT耐性を持つのを遅らせるべきだという内容だったことには留意をするべきである。実際に、安価な殺虫剤であるDDTの田畑での農薬としての使用は途上国では最近までほとんど減少せず、猛禽類や水棲生物の減少による生態系破壊はそのままで、DDTに耐性を持つ蚊を増やす結果となった。現在では途上国においては蚊帳への使用という限定的な条件でDDTの使用が認められている。 一方、人類史的な視点からは、それまで生態系などへの環境に対する影響自体が軽視されており、後のアースディや国連人間環境会議のきっかけとなった本作は、環境と人間とのかかわりから環境問題の告発という大きな役割を果たし、人間が生きる為の環境をも見据えた環境運動へのさきがけとなったのである。 抄文引用元・出典: フリー百科事典『 ウィキペディア(Wikipedia)』 ■ウィキペディアで「沈黙の春」の詳細全文を読む スポンサード リンク
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