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法人の法的主体性とは、法人が人権、権利能力、行為能力、不法行為能力などにおいて、主体となれるかどうかのことである。これには、さまざまな説がある。 ==法人の人権享有主体性== 法人が人権を享有するかは問題となる。 *この問題については、中世的な中間団体への敵視を標榜し、自然人により構成される平等な市民社会を構想し、かかる市民社会ないし自然人が権力機構である国家と対峙するのが「近代」である、というモデル(仮に、「フランス革命モデル」と呼んでおく)を描くとすると、法人の人権は否定するのが妥当であるという結論になる。現在でも、法人の人権享有主体性否定論は、有力に主張されている。 *しかし、それと反対の立法例もある。ドイツ連邦共和国基本法は、「Die Grundrechte gelten auch für inländische juristische Personen, soweit sie ihrem Wesen nach auf diese anwendbar sind.」(基本権は、内国の法人にも、基本権の本質によればその内国法人に適用可能な限りで、妥当する。)と規定している(Art. 19 Abs. 3 GG)。 *ところで、日本国憲法には、この点について明文の規定がない。この問題について、最高裁判所は、八幡製鉄事件において、次のように性質上可能な限り内国の法人に保障されると解されると判示した(最大判昭和45年6月24日民集24巻6号625頁 )。要するに、フランス革命モデルではなく、ドイツ基本法モデルを採用したわけである。 ::「論旨は、要するに、株式会社の政治資金の寄附が、自然人である国民にのみ参政権を認めた憲法に反し、したがつて、民法九〇条に反する行為であるという。 ::憲法上の選挙権その他のいわゆる参政権が自然人たる国民にのみ認められたものであることは、所論のとおりである。しかし、会社が、納税の義務を有し自然人たる国民とひとしく国税等の負担に任ずるものである以上、納税者たる立場において、国や地方公共団体の施策に対し、意見の表明その他の行動に出たとしても、これを禁圧すべき理由はない。のみならず、憲法第三章に定める国民の権利および義務の各条項は、性質上可能なかぎり、内国の法人にも適用されるものと解すべきであるから、会社は、自然人たる国民と同様、国や政党の特定の政策を支持、推進しまたは反対するなどの政治的行為をなす自由を有するのである。政治資金の寄附もまさにその自由の一環であり、会社によつてそれがなされた場合、政治の動向に影響を与えることがあつたとしても、これを自然人たる国民による寄附と別異に扱うべき憲法上の要請があるものではない。論旨は、会社が政党に寄附をすることは国民の参政権の侵犯であるとするのであるが、政党への寄附は、事の性質上、国民個々の選挙権その他の参政権の行使そのものに直接影響を及ぼすものではないばかりでなく、政党の資金の一部が選挙人の買収にあてられることがあるにしても、それはたまたま生ずる病理的現象に過ぎず、しかも、かかる非違行為を抑制するための制度は厳として存在するのであつて、いずれにしても政治資金の寄附が、選挙権の自由なる行使を直接に侵害するものとはなしがたい。会社が政治資金寄附の自由を有することは既に説示したとおりであり、それが国民の政治意思の形成に作用することがあつても、あながち異とするには足りないのである。所論は大企業による巨額の寄附は金権政治の弊を産むべく、また、もし有力株主が外国人であるときは外国による政治干渉となる危険もあり、さらに豊富潤沢な政治資金は政治の腐敗を醸成するというのであるが、その指摘するような弊害に対処する方途は、さしあたり、立法政策にまつべきことであつて、憲法上は、公共の福祉に反しないかぎり、会社といえども政治資金の寄附の自由を有するといわざるを得ず、これをもつて国民の参政権を侵害するとなす論旨は採用のかぎりでない。 ::以上説示したとおり、株式会社の政治資金の寄附はわが憲法に反するものではなく、したがつて、そのような寄附が憲法に反することを前提として、民法九〇条に違反するという論旨は、その前提を欠くものといわなければならない。原判決に所論の違法はなく、論旨は採用しがたい。」 抄文引用元・出典: フリー百科事典『 ウィキペディア(Wikipedia)』 ■ウィキペディアで「法人の法的主体性」の詳細全文を読む スポンサード リンク
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