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法人格否認の法理(ほうじんかくひにんのほうり)とは、法人格が形骸にすぎない場合や法人格が濫用されている場合に、紛争解決に必要な範囲で、法人とその背後の者との分離を否定する法理。 アメリカの判例理論に由来する法理である。日本の法律に明文の規定はなく、1969年(昭和44年)の最高裁判所第一小法廷判決〔最高裁判所第一小法廷昭和44年2月27日判決 民集第23巻2号511頁]。〕 、最高裁によってその法理としての採用が初めて認められた。以降、裁判例での採用が相次ぎ、学会での研究も進んだが〔江頭憲治郎『会社法人格否認の法理』(1980年、東京大学出版会)〕、実定法上の根拠は商法・会社法上には存在せず、民法1条3項などの一般条項に求められる〔森本・後藤。〕。 一方、中国の新しい会社法(2006年施行)では第20条において、一定の場合には株主が会社の債務について連帯して責任を負う旨規定されているが、これは法人格否認の法理を明文で採用したものである。 == 概要 == 法人は構成員や関係者(株主、役員等)とは別個の人格が与えられ、独立して権利義務の主体となる。しかし、一定の場合〔後藤。〕には法人の形式的独立性を認めることが正義・衡平に反する結果をもたらすことがある。そのようなときに法人とその背後の者(支配株主や経営者等)とを同一視することを法人格の否認という。法人格の消滅をもたらすわけではないという意味で、会社の解散命令(会社法第824条)とは異なる〔森本〕。 そもそも会社に法人格が認められるのは会社が国民経済的に有用な機能を営んでいるからである。ゆえに法人格が濫用される〔背後者が会社の支配的地位にありかつ法人格を違法な目的で利用していることである〕場合や法人格が形骸化している〔業務活動・財産の混同、帳簿の不存在、株主総会等の不開催など会社が実質的にみて個人企業と同じであると認められることをいう〕場合には会社が国民経済的に有用な機能を営んでいるとはいえない。ゆえに会社の法人格を当該事案の解決に必要な範囲内で否定し会社とその背後にあるものを同一視するのである。 抄文引用元・出典: フリー百科事典『 ウィキペディア(Wikipedia)』 ■ウィキペディアで「法人格否認の法理」の詳細全文を読む スポンサード リンク
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