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法人本質論(ほうじんほんしつろん)とは、法人の制度について、その根本の理由を明らかにしようとするものである。考え方によって、法人に対する法律の運用に大きな影響を与える。法人の本質には、学説の対立がある。 ==法人擬制説== 法人擬制説は、フリードリヒ・カール・フォン・サヴィニーの提唱した考え方で、自然人の平等な権利能力を前提とする民法において、法が特に人格を擬制したのが法人であるというもの。いかなる実体が法人として認められるかは法の裁量によることになる。 結果として、この理論は、二つの異なるモメントを含むことになる。 ;法によって認められない実体は法人ではない :フランス革命モデルからも明らかなように、近代法の草創期においては、団体というのは個人の自由を阻害するものであると考えられた(ギルドなど)。近代法は、自然人から構成される平等な市民社会を構想したから、このような団体は敵視され、たとえ団体たる実体を備えた社会的存在であっても、法が人格を認めなければ法人ではない、という思想が適合的であったわけである(樋口陽一の「法人の人権」否認論を想起せよ)。この思想は、法人について特許主義を採用したい当時の国家の思惑とも合致したために、広汎に支持された。日本民法も33条で法人法定主義を採用しているが、これは、法人擬制説の表れと見ることができよう。要するに、法人に対して謙抑的な法政策が採用される場合には、「法によって認められない実体は法人ではない」というモメントが強調されることになる。この学説の当初の思惑は、こちらである。 ;法によって認められた実体は法人である :これに対して、法人に対して拡張的な法政策が採用される場合には、「法によって認められた実体は法人である」というまったく正反対の方向のモメントが強調されることになる。例えば、現在の日本商法は一人会社を認めているが、常識的に考えて一人に社団性はない。しかしながら、法がそれを法人と認めるのであれば、仮令社団性がなくとも、それを法人と認めよう、という姿勢も論理的に演繹できるのである。 また、法人というのは、権利義務の帰属点を提供するための擬制に過ぎないのであるから、権利能力さえ認めれば十分で、行為能力まで認める必要はない(代理人の法律行為の効果が法人に帰属するという構成をとれば十分である)、という考え方と(必ずしも論理必然ではないが)結びつく。民法44条が「理事其他ノ代理人」として、理事を代理人と観念していたことは、起草者が法人擬制説を採用していた一つの根拠であるとされることがある。 抄文引用元・出典: フリー百科事典『 ウィキペディア(Wikipedia)』 ■ウィキペディアで「法人本質論」の詳細全文を読む スポンサード リンク
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