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注意義務(ちゅういぎむ)とは、ある行為をする際に法律上要求される一定の注意を払う義務をいう。 特定の行為を行ったこと、あるいは、行わなかったことが、一般的な用語法で「不注意」であった場合に、それが法律上の責任を負うことに結びつくためには、当該対象者が注意義務を負っていたかどうか、が問題とされる。 == 日本法上の注意義務 == === 民法上の注意義務 === 民法上の注意義務としては善良な管理者の注意義務(善管注意義務)と自己のためにするのと同一の注意義務がある。民法は特定物債権における債務者の保管義務の通則として民法400条に善管注意義務を定め、特に注意義務が軽減される場合(民法659条等)を個別的に規定することとしている〔。 *善良な管理者の注意義務(善管注意義務) *:善良な管理者の注意義務(善管注意義務)とは、債務者の属する職業や社会的・経済的地位において取引上で抽象的な平均人として一般的に要求される注意をいう〔遠藤浩編著 『基本法コンメンタール 債権総論 平成16年民法現代語化新条文対照補訂版』 日本評論社〈別冊法学セミナー〉、2005年7月、7頁〕。これはローマ法の「善良な家父の注意」に由来し〔、フランス法の「良家父の注意」〔遠藤浩編著 『基本法コンメンタール 債権総論 平成16年民法現代語化新条文対照補訂版』 日本評論社〈別冊法学セミナー〉、2005年7月、7頁-8頁〕、ドイツ法の「取引に必要な注意」がこれにあたる〔遠藤浩編著 『基本法コンメンタール 債権総論 平成16年民法現代語化新条文対照補訂版』 日本評論社〈別冊法学セミナー〉、2005年7月、8頁〕。この一般的・客観的標準に基づく程度の注意を欠く状態を抽象的軽過失〔あるいは客観的軽過失という〔。 *留置権者による留置物の保管(民法298条) *特定物引渡しの債務者(民法400条) *委任契約の受任者(民法644条) *事務管理者(民法698条の反対解釈) *有償寄託の受寄者 *自己のためにするのと同一の注意(自己の財産におけると同一の注意義務、固有財産におけるのと同一の注意義務) *:行為者自身の職業・性別・年齢など個々の具体的注意能力に応じた注意であり〔、この注意を欠く状態を具体的軽過失〔あるいは主観的軽過失という〔。 *無償寄託の受寄者(民法659条) *親権を行なう者の財産の管理(民法827条) *相続財産の管理者・相続人(民法918条1項) *限定承認者(民法926条1項) *相続放棄した者(民法940条1項) *財産分離請求後の相続人(民法944条1項) 以上の抽象的軽過失と具体的軽過失をあわせて広義の軽過失という〔。これに対して必要な注意を著しく欠く状態を重大な過失あるいは重過失という〔〔。重大な過失が問題となる場合としては次のような例がある。 *錯誤(民法95条但書) *:意思表示は、法律行為の要素に錯誤があったときは、無効とする。ただし、表意者に重大な過失があったときは、表意者は、自らその無効を主張することができない。 *指図債権の債務者の調査の権利等(民法470条但書) *:指図債権の債務者は、その証書の所持人並びにその署名及び押印の真偽を調査する権利を有するが、その義務を負わない。ただし、債務者に悪意又は重大な過失があるときは、その弁済は、無効とする。 *緊急事務管理(民法698条) *:管理者は、本人の身体、名誉又は財産に対する急迫の危害を免れさせるために事務管理をしたときは、悪意又は重大な過失があるのでなければ、これによって生じた損害を賠償する責任を負わない。 その他特別法で重大な過失が問題となる場合としては次のような例がある。 *失火責任法 *:民法第七百九条ノ規定ハ失火ノ場合ニハ之ヲ適用セス但シ失火者ニ重大ナル過失アリタルトキハ此ノ限ニ在ラス *国家賠償法1条2項 *:公務員に故意又は重大な過失があつたときは、国又は公共団体は、その公務員に対して求償権を有する。 抄文引用元・出典: フリー百科事典『 ウィキペディア(Wikipedia)』 ■ウィキペディアで「注意義務」の詳細全文を読む スポンサード リンク
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