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『海辺のカフカ』(うみべのカフカ)は、村上春樹の10作目の長編小説。 ギリシア悲劇と日本の古典文学を下敷きにした長編小説であり、フランツ・カフカの思想的影響のもとギリシア悲劇のエディプス王の物語と、『源氏物語』や『雨月物語』などの日本の古典小説が物語の各所で用いられている。20代後半から30代前半の主人公が多い村上小説にしては珍しく、15歳の少年「僕」が主人公で、不思議な世界を自ら行き来しながら、心の成長を遂げていく物語である。また本作は『ねじまき鳥クロニクル』からの暴力、戦争といったテーマが引き継がれており、生々しい残虐なシーンも同様に登場する。 「僕」の章は一人称および二人称現在形、「ナカタさん」の章は三人称過去形で物語られる。世界背景は『世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド』と『ねじまき鳥クロニクル』を融合したものを下地にしている。例として、読み進めていくうちに謎の全貌が明らかにされていくといった推理小説風の手法と世界を異にした2人の主人公によって語られるパラレル(平行)進行、村上春樹の作風でもある「非現実」の舞台回しとしての「夢」や戦後世代的な戦争観からくる「暴力」「旧日本軍」「絶対悪」ほか「森」「影」などのキーワード、物語の終盤で姿を現した「森の中枢の世界」の『世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド』にある「世界の終り」の街との類似性、などが挙げられる。 『海辺のカフカ』のホームページが2002年9月12日から2003年2月14日まで設けられた。その間、13歳から70歳まで、アメリカ、韓国など世界各国からも寄せられた感想や質問はのちに『少年カフカ』(新潮社、2003年6月10日刊)に収録された。多様な解釈が許されるストーリーが展開されており、『少年カフカ』では物語の内容に関する多くの質問が寄せられているが、村上は読者それぞれの解釈を重要視しており、答えを明示していない〔『少年カフカ』新潮社、2003年6月、125-126頁、ほか。〕。 2002年9月12日、新潮社より上下二分冊で刊行され、2005年3月2日、新潮文庫として文庫化された。2005年にフィリップ・ガブリエルにより訳された英語版『''Kafka on the Shore''』は、「ニューヨーク・タイムズ」紙で年間の「ベストブック10冊」及び世界幻想文学大賞に選出された。演出家の蜷川幸雄によってこれまでに2度舞台化された。 ==あらすじ== 「僕」田村カフカは東京都中野区野方に住む15歳の中学3年生である。父親にかけかられた呪いから逃れるために家出を決心し、東京発の深夜バスを四国の高松で降りる。少年は高松の私立図書館に通うようになる。 ナカタもまた野方に住む、知的障害のある老人であった。通称「猫殺し」の男を殺害し、東京を離れた。ナカタはトラック運転手の星野の力を借りて「入り口の石」を探しはじめた。その頃ちょうど少年は、図書館の司書の大島から父親が自宅で殺されたニュースを知らされる。 やがて警察の手がのび、少年は大島が提供してくれた森の隠れ家に移る。森の奥で少年は、旧帝国陸軍の軍服を着た二人の兵隊と出会う。兵隊に導かれて森を抜け川のある小さな町にたどり着く。 ナカタを失った星野は黒猫の助言を受け最後の仕事にとりかかった。 最終的に少年は現実へ戻ることを決意し、岡山から新幹線に乗って東京への帰途につく。 抄文引用元・出典: フリー百科事典『 ウィキペディア(Wikipedia)』 ■ウィキペディアで「海辺のカフカ」の詳細全文を読む スポンサード リンク
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