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減算方式(げんざんほうしき)または減算合成(げんざんごうせい、subtractive synthesis)は、倍音を含んだ原音から任意の倍音成分を引くことで新たな音色を作り出す音響合成の方式である。 フーリエの定理によれば、任意の周期関数は正弦波の級数で表せる(フーリエ級数)。これは音楽の分野では任意の音色が基音と倍音で成り立つこととも換言できる。この理論を音響合成に応用すれば、どんな音色もその倍音構成と同様の周波数・位相・振幅の正弦波を加算してゆけば近似できる(加算方式)〔Julius O. Smith III, Additive Synthesis , ''Physical Audio Signal Processing'', W3K Publishing, 2010年.〕。また逆に、倍音を豊富に含む原音を用意し、そこから倍音を取り除くことで目的の音色に近似させることもでき、これが減算方式と呼ばれる。減算方式では一般的に、原音には電子的な周期音やノイズが用いられ、「減算」には任意のフィルタ回路が用いられる。 概念的には、物理的な音響モデルであるソース・フィルタモデルの類縁として説明されることもある〔Ed Doering, Subtractive Synthesis Concepts , ', 2007年, 2014年8月1日閲覧.〕。ソース・フィルタモデルは音の発生メカニズムを声門など加振源と声道など共鳴器に分けて捉えるモデルであり、それぞれ減算方式での原音とフィルタに相当する。 減算方式は他の音響合成方式と比較すると、新たな倍音成分は作り出せないが、大幅な加工にも音高を維持しやすく〔音響心理学的には、基音または一部の整数次倍音が残れば音高は維持される。 柏野牧夫, 錯聴 音の高さ ミッシング・ファンダメンタル , ''イリュージョンフォーラム'', NTTコミュニケーション科学基礎研究所, 2014年8月8日閲覧.〕、人間にとって結果を想像しやすい特徴を持つ。またフィルタ回路で比較的簡単に実装でき、多様な音源と併用できる。実際上には多くのフィルタ回路はなだらかな特性を持つため、こうしたフィルタ回路の音色の造形能力も同様に大まかなものになる。, 2007年, 2014年8月1日閲覧.〕。ソース・フィルタモデルは音の発生メカニズムを声門など加振源と声道など共鳴器に分けて捉えるモデルであり、それぞれ減算方式での原音とフィルタに相当する。 減算方式は他の音響合成方式と比較すると、新たな倍音成分は作り出せないが、大幅な加工にも音高を維持しやすく〔音響心理学的には、基音または一部の整数次倍音が残れば音高は維持される。 柏野牧夫, 錯聴 音の高さ ミッシング・ファンダメンタル , ''イリュージョンフォーラム'', NTTコミュニケーション科学基礎研究所, 2014年8月8日閲覧.〕、人間にとって結果を想像しやすい特徴を持つ。またフィルタ回路で比較的簡単に実装でき、多様な音源と併用できる。実際上には多くのフィルタ回路はなだらかな特性を持つため、こうしたフィルタ回路の音色の造形能力も同様に大まかなものになる。 == 楽器としての減算方式 == 減算方式を採用する典型的なシンセサイザーに、アナログシンセサイザーがある。アナログシンセサイザーは発振回路で基本波形を生成し、フィルタ回路で倍音成分を削り取り、増幅回路で音量調整して出力する仕組みを持つ。これら発振・フィルタ・増幅の各回路(VCO・VCF・VCA)はエンベロープ・ジェネレータやLFOといった回路からの変調信号によって時変制御されることで、より楽器らしい音色変化を作り出す。 アナログシンセサイザーの発振回路は任意の音高の正弦波、三角波、のこぎり波、矩形波、パルス波、またホワイトノイズのような波形を生成する。こうした波形はベルのような金属音を構成する非整数次倍音〔, Three Types of Spectra , ''Sound and Voice Synthesis and Analysis'', 2002年, 2014年8月16日閲覧.〕を含まないため、複数波形の加算合成やリング変調が併用されることもある〔James J. Clark, 5.3 Synthesis of Gongs, Bells, and Cymbals , ''Advanced Programming Techniques for Modular Synthesizers'', 2003年, 2014年8月17日閲覧.〕。 アナログシンセサイザーのフィルタには、ローパスフィルタやハイパスフィルタ、バンドパスフィルタやノッチフィルタが用いられる。これらフィルタは遮断周波数が可変で、Q値を上げることで遮断周波数付近を任意量共振(レゾナンス)させることができる。レゾナンスと遮断周波数の変調を伴わせることで、独特のスイープ音が生み出される(音声サンプルの例を参照)。 より特殊なタイプのシンセサイザーには、櫛形のコムフィルタや、人間の声道共鳴(調音)の特性を模したフォルマントフィルタ(Vowelフィルタ)が用いられることもある。帯域別の並列バンドパスフィルタ(フィルタバンク)を用いたものにヴォコーダーがあり、ヴォコーダーは変調用のボーカルマイク等音声を解析用フィルタバンクに通してスペクトル情報を取り出し、これをシンセサイザー等音声の通る合成用フィルタバンクの増幅制御に用いることで、フォルマントや摩擦音変化を反映した減算合成を行う〔Mark Ballora, Speech Synthesis: The Voder and the Vocoder , ''INART 55 History of Electroacoustic Music'', 2014年8月6日閲覧.〕。 抄文引用元・出典: フリー百科事典『 ウィキペディア(Wikipedia)』 ■ウィキペディアで「減算方式」の詳細全文を読む スポンサード リンク
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