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『源氏物語玉の小櫛』(げんじものがたりたまのおぐし)とは、江戸時代中・後期の国学者である本居宣長による『源氏物語』の注釈書である。「もののあはれ」を提唱したことで知られる。全9巻。宣長が67歳である1796年(寛政8年)成稿、1799年(寛政11年)の刊行。 == 概要 == 本書は、京都遊学を終え、出身地である松坂に戻った翌年の宣長29歳に始まった、約40年にわたる生涯3回半に及ぶ、同人が門人に対して行った『源氏物語』の講義の内容を書物に仕立てたものであり、総論部分の第一巻及び第二巻は1763年(宝暦13年)の成立の自著である『紫文要領』上下二巻の改訂版〔「紫文要領」伊井春樹編『源氏物語 注釈書・享受史事典』東京堂出版、2001年(平成13年)9月15日、pp.391-392。 ISBN 4-490-10591-6〕〔「紫文要領」本居宣長記念館編『本居宣長事典』東京堂出版、2001年(平成13年)12月、p.38。 ISBN 978-4-490-10571-1〕、第三巻は紫文要領と同じ頃の成立と見られる『源氏物語年紀考』の改訂版と言うことが出来るもので〔「源氏物語年紀考」伊井春樹編『源氏物語 注釈書・享受史事典』東京堂出版、2001年(平成13年)9月15日、pp. 305-306。 ISBN 4-490-10591-6〕〔「源氏物語年紀考」本居宣長記念館編『本居宣長事典』東京堂出版、2001年(平成13年)12月、pp.34-35。 ISBN 978-4-490-10571-1〕、本書は全体として本居宣長の長年にわたる源氏物語研究の集大成というべきものである。本書の書名は、巻首にある「そのかみのこゝろたづねてみだれたるすぢときわくる玉のをぐしぞ」という宣長の歌によると考えられる。当初は紫文要領の一写本に見られる「源氏物語玉の小琴」という名称が予定されていたとされる。藤井高尚の序文によると、既に宝暦13年(1763年)、『紫文要領』で源氏論を展開した宣長は、かねてからそれに補筆して本書を執筆しようと企図していたが、『古事記伝』の執筆などで多忙のために断念していた。それが、宣長の講義を受けた石見国浜田藩主松平康定の強い依頼をきっかけとして執筆したとされる〔岡田千昭「『源氏物語玉の小櫛』の出版事情(その一)本居宣長と松平康定との関係・交流」「愛知学院大学教養部紀要」第39巻第2号、1991年(平成3年)11月、pp.25-37。〕〔岡田千昭「『源氏物語玉の小櫛』の出版事情(その二)本居宣長と松平康定との関係・交流」「愛知学院大学教養部紀要」第39巻第3号、1992年(平成4年)3月、pp.67-84。〕〔岡田千昭「『源氏物語玉の小櫛』の出版事情(その三)本居宣長と松平康定との関係・交流」「愛知学院大学教養部紀要」第40巻第1号、1992年(平成4年)7月、pp.3-12。〕。本書により、『源氏物語』が、それまでの中世的な伝承に支配された好色の戒め説や、仏典との関わりから解き放たれ、物語として読むことが出来るようになった意義は大きい。近代源氏学の基礎を築いたといえる書であり、これ以後の源氏研究を「新注」と言い、それ以前(古注または旧注)と分ける。 抄文引用元・出典: フリー百科事典『 ウィキペディア(Wikipedia)』 ■ウィキペディアで「源氏物語玉の小櫛」の詳細全文を読む スポンサード リンク
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