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ヘック反応(ヘックはんのう、Heck reaction)あるいは溝呂木・ヘック反応(みぞろきヘックはんのう、Mizoroki-Heck reaction)は、パラジウム錯体を触媒として塩基存在下、ハロゲン化アリールまたはハロゲン化アルケニルでアルケンの水素を置換する反応である。反応名は、本反応の発見者である溝呂木勉およびリチャード・ヘックに因む。2010年、ヘックはこの反応の発見および開発の功績により、ノーベル化学賞を授与された。 ヘック反応はパラジウム触媒存在下で行われる。ハロゲン化物 (I, Br, Cl) あるいはトリフラートは、アリル、ベンジル、ビニル化合物が用いられる。アルケンは、少なくとも一つの水素原子を有し、電子不足であるアクリラート、エステル、アクリロニトリル等のオレフィンが用いられる。触媒としては、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)、塩化パラジウム(II)、酢酸パラジウム(II)、配位子としてはトリフェニルホスフィンやBINAP、塩基としてはトリエチルアミン、炭酸カリウム、酢酸ナトリウム等が使用される。 例:ヨードベンゼンをアクリル酸メチルと酢酸パラジウムを触媒として反応させると、アクリル酸メチルのβ位の水素がフェニル基で置換されてケイ皮酸メチルが生成する。 詳細は総説を参照されたい。 == 歴史 == 1971年に溝呂木勉ら、1972年にリチャード・ヘックらによって独立に報告された。 溝呂木らの論文がややマイナーな論文誌Bull. Chem. Soc. Japan(日本化学会欧文誌)に掲載されたのに対し、ヘックらの論文はメジャーな論文誌J. Org. Chem.(アメリカ化学会発行)に掲載されたことからヘックの名が有名となり単にヘック反応と呼ばれることが多い。 なおヘックらの論文には溝呂木らの論文が引用されている。 1971年、溝呂木らは、メタノール中、120℃(オートクレーブ)、塩基として酢酸カリウム、触媒として塩化パラジウムを用いた、ヨードベンゼンとスチレンのカップリングによるスチルベンの生成を報告した〔。これは、先行する寺西ら(1969年)やヘックら(1969年)によって報告された、化学量論量の2価パラジウム触媒を用いる有機水銀ハロゲン化物 (ArHgCl) とアルケンのカップリング反応を発展させたものである。 1972年のヘックの論文では、溝呂木の論文に言及した上で、「独立に発見された」内容について詳細に述べられている〔。ヘックの反応条件は、触媒(酢酸パラジウム)、塩基(嵩高いアミン)、無溶媒である点が異っている。 これらの反応では、活性種である0価パラジウムは、パラジウムのアルケンに対する配位で生じている。 1974年、ヘックはこの反応にホスフィン配位子を導入した。 抄文引用元・出典: フリー百科事典『 ウィキペディア(Wikipedia)』 ■ウィキペディアで「ヘック反応」の詳細全文を読む 英語版ウィキペディアに対照対訳語「 Heck reaction 」があります。 スポンサード リンク
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