|
===================================== 〔語彙分解〕的な部分一致の検索結果は以下の通りです。 ・ 漢 : [かん] (suf) man (negative nuance) ・ 漢字 : [かんじ] 【名詞】 1. Chinese characters 2. kanji ・ 字 : [じ, あざな] 【名詞】 1. character 2. hand-writing ・ 廃止 : [はいし] 1. (n,vs) abolition 2. repeal ・ 論 : [ろん] 【名詞】 1. (1) argument 2. discussion 3. dispute 4. controversy 5. discourse 6. debate 7. (2) theory 8. doctrine 9. (3) essay 10. treatise 1 1. comment
漢字廃止論(かんじはいしろん)とは、中国・日本・ベトナム・朝鮮などの漢字文化圏において漢字を廃止し音標文字を採用しようという言語改革運動のことである。 == 背景 == 漢民族を主な住民としない国で漢字を使っているのは日本だけであり、朝鮮半島およびベトナムではすでに漢字の使用は事実上消滅している。その理由としては自国の独自文化を重んずる外来文化の排他運動の一面もあったが、もっと実用的な側面として、漢字が活字印刷の活用、とりわけ活版印刷において決定的な障害となっていたことが挙げられる。 1980年代以降、日本ではワープロ・パソコンといった情報機器の普及によりタイプ印字がたやすくなったが、そこに至るまでの長い活字文化においては印刷技術の活用に漢字が大きな障害となっていた。印刷技術は近代文明誕生における三大発明のひとつに並べ挙げられるほど重要性を認められていたが、漢字文化圏では文字数が膨大であることから文章を活版印刷するには非常に手間がかかり、活字の保管にも大きなスペースを必要とした。それに比べてアメリカやヨーロッパでは活字印刷のさらなる技術革命として登場したタイプライターの発明によって文書の即席印刷ができるようになり、ほとんどすべての書類が迅速に活字印刷され、熟練者にかかれば1分あたり100単語(日本語においては約50文字)の速さで文書を作ることができた。秘書に速記で口述筆記させたのち、即タイプで清書させ、その文書にサインすることで正式書類を迅速に生産することもできたため、特に組織内での指揮伝達を迅速、明確に行うことができるようになった。ほとんどの指示が(口頭ではなく)文書で残るだけでなく、その結果報告も活字の報告書として迅速に生産されたため組織管理の透明化に役立った。 電報も日本においては同音異義語が多くあるために使い道は単純な文章の伝達に限られた。テレックスなどはほとんど普及せず、文書が通信で大規模に伝えられるようになるにはファクシミリが現れるのを待たねばならなかった。中国では、コードブックにより漢字を1字につき4桁の数字に符号化してモールス符号で送信し、受信側では逆の手順で復号するという手順を踏む必要があり、電報送信には日本以上に困難を極めた(電碼)。 このように、漢字は通信技術の活用と発展にも大きな妨げとなっていた。日本を含む漢字文化圏で謄写版印刷(いわゆるガリ版)が多く使われたのは、漢字の存在により、全ての種類の活字を活版印刷用にそろえるのが難しかったためである。日本で学校の教材として全国統一のプリントが普及したのは学校別に活字印刷するには膨大な労力と費用がかかったからという側面もある。 欧米において機械印刷が発達したのに比べ、既に木版が普及していた中国で機械印刷が生まれなかった主な原因として、漢字の存在が第一理由としてあげられている。印刷技術の活用による利点を享受できないことによる弊害は、知識、ひいては文明の伝播の弊害であるとして漢字廃止の必要性が主張されたわけである。特にその弊害を生産費用の面から直接的に被っていた新聞などの出版業界が漢字廃止を支持したのもこうした事情による。 日本では第二次世界大戦後すぐに一部で「日本語を排してフランス語を国語とすべきである」などといった主張が唱えられたことなどから、漢字廃止論は日本文化の劣等感から来るとの誤解を受けることがあるが、漢字により生じる非効率性の問題はアメリカやヨーロッパの事情を知る者には特に強く認められていた。この結果として、日本では漢字使用を減らす政策がとられ、当用漢字が制定された。さらに標準語の制定および表音主義に基づく表記の改変などが国家規模の言語政策として行われ今に至っている。漢字は、中国において多民族・多言語の国民を一帝国が治めるための手段として発展してきた側面があるため、ほぼ単一民族国家である日本や朝鮮半島、ベトナムなどの国で共通語が普及した現代においてまで漢字に固執する意義があるかどうかについても疑問が持たれていた。実際に、中国でも共通語が「国語」として定められ、注音符号ができ中国語の表音化が可能になった段階で短期間ながらも漢字廃止論が魯迅や銭玄同らによって主張された。 今日は情報機器の普及とともに漢字で活字印刷する上での妨げがほとんどなくなり、日本では漢字廃止論も下火となっている。。一方で、漢字廃止を政策として実現させた朝鮮とベトナムではすでに一世代以上が漢字を教わることのないまま育った結果漢字読解の文化の断絶が決定的となり、。 抄文引用元・出典: フリー百科事典『 ウィキペディア(Wikipedia)』 ■ウィキペディアで「漢字廃止論」の詳細全文を読む スポンサード リンク
|