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(n) thermodynamics =========================== ・ 熱 : [ねつ] 1. (n,n-suf) fever 2. temperature ・ 熱力学 : [ねつりきがく] (n) thermodynamics ・ 力 : [ちから, りょく] 1. (n-suf) strength 2. power ・ 力学 : [りきがく] 【名詞】 1. mechanics 2. dynamics ・ 学 : [がく] 【名詞】 1. learning 2. scholarship 3. erudition 4. knowledge
熱力学(ねつりきがく、)は、物理学の一分野で、熱や物質の輸送現象やそれに伴う力学的な仕事についてを、系の巨視的性質から扱う学問。アボガドロ定数個程度の分子から成る物質の巨視的な性質を巨視的な物理量(エネルギー、温度、エントロピー、圧力、体積、物質量または分子数、化学ポテンシャルなど)を用いて記述する。 なお、熱力学には大きく分けて「平衡系の熱力学」と「非平衡系の熱力学」がある。「非平衡系の熱力学」はまだ、限られた状況でしか成り立たないような理論しかできていないので、単に「熱力学」と言えば、普通は「平衡系の熱力学」のことを指す〔清水 (2007)〕。両者を区別する場合、平衡系の熱力学を平衡熱力学 ()、非平衡系の熱力学を非平衡熱力学 () と呼ぶ。 ここでいう平衡 () とは熱力学的平衡、つまり熱平衡、力学的平衡、化学平衡の三者を意味し、系の熱力学的(巨視的)状態量が変化しない状態を意味する。 平衡熱力学は(すなわち通常の熱力学は)、系の平衡状態とそれぞれの平衡状態を結ぶ過程とによって特徴付けられる。 平衡熱力学において扱う過程は、その始状態と終状態が平衡状態であるということを除いて、系の状態に制限を与えない。 熱力学と関係の深い物理学の分野として統計力学がある。統計力学は熱力学を古典力学や量子力学の立場から説明する試みであり、熱力学と統計力学は体系としては独立している。しかしながら、系の平衡状態を統計力学的に記述し、系の状態の遷移については熱力学によって記述するといったように、一つの現象や定理に対して両者の結果を援用するということはしばしば行われている。 == 歴史 == 18世紀後半から19世紀にかけて蒸気機関が発明・改良されたが、これらは学問的成果を応用したものでなく専ら経験的に進められたものであった。一方この頃気体の性質が研究され、19世紀初めにはボイル=シャルルの法則(理想気体の性質)としてまとめられたが (ボイルの法則は1662年にロバート・ボイルによって発表され、シャルルの法則は1787年頃にジャック・シャルルによって発見されているが、最初に発表されたのは1802年で、ゲイ=リュサックによる)、まだ熱を物質と考える熱素説が有力であった。 1820年代になると、サディ・カルノーが熱機関の科学的研究を目的として仮想熱機関としてカルノーサイクルによる研究を行い、ここに本格的な熱力学の研究が始まった。この研究結果は熱力学第二法則とエントロピー概念の重要性を示唆するものであったが、カルノーは熱素説に捉われたまま早世し、重要性が認識されるにはさらに時間がかかった。 なお同じ頃、ジョゼフ・フーリエが熱伝導の研究を発表したが、これは熱力学とは直接関係なく、むしろフーリエ変換など後世の数学の基礎から工学的な応用に至るまで多大な影響を及ぼすこととなった。また、熱伝導に関する研究はこれ以前にニュートンによる冷却の法則がある。 熱をエネルギーの一形態と捉えエネルギー保存の法則、つまり熱力学第一法則をはじめて提唱したのはロベルト・マイヤーである。彼の論文は1842年に発表されたが全く注目されなかった。しかしほぼ同時期にジュールが行った同様の研究はウィリアム・トムソン(ケルヴィン卿)の知るところとなり、彼らの共同研究から第一法則が明らかにされた。 さらにトムソンはカルノーの研究を知り、絶対温度の概念および熱力学第二法則に到達した。クラウジウスも独立に第一および第二法則に到達し、カルノーサイクルの数学的解析からエントロピーの概念の重要性を明らかにした。エントロピーの命名もクラウジウスによるものである。こうして1850年代には両法則が確立された。 19世紀後半になると、ヘルムホルツによって自由エネルギーが、またギブズによって化学ポテンシャルが導入され、化学平衡などを含む広い範囲の現象を熱力学で論じることが可能になった。 一方、ボルツマンやマクスウェルさらにはギブズによって、分子論の立場に立って、分子の挙動を平均化して扱い熱力学的なマクロの現象を説明する理論、統計力学が創始された。これにより、熱力学的諸概念と分子論をつなぎ合わせることを具体的に解釈できるようにした。 1905年のアインシュタインによるブラウン運動の定式化と、1908年のジャン・ペランの実験は、分子論の正当性を示し、また確率過程論や統計物理学の応用の発展にも寄与した。 1999年にとは、「断熱的到達可能性」という概念を導入して熱力学を再構築した〔Lieb and Yngvason (1999)〕〔エリオット・リーブ, ヤコブ・イングヴァソン:「エントロピー再考」,田崎晴明訳,「パリティ」,丸善, Vol.16, No.08, pp.4-12, (2001)〕。 「状態 Y が状態 X から断熱操作で到達可能である」ことをと表記し、この「」の性質からエントロピーの存在と一意性を示した。 この公理的に基礎付けされた熱力学によって、クラウジウスの方法で用いられていた「熱い・冷たい」「熱」のような直感的で無定義な概念を基礎から排除した。温度は無定義な量ではなくエントロピーから導出される。 このリーブとイングヴァソンによる再構築以来、他にも熱力学を再構築する試みがいくつか行われている〔佐々 (2000)、清水 (2007)、田崎 (2000)などを参照。〕。 抄文引用元・出典: フリー百科事典『 ウィキペディア(Wikipedia)』 ■ウィキペディアで「熱力学」の詳細全文を読む
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