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パターナリズム()とは、強い立場にある者が、弱い立場にある者の利益になるようにと、本人の意志に反して行動に介入・干渉することをいう。日本語では家父長主義、父権主義などと訳される。語源はラテン語の (パテル、父)で、(パターン)ではない。対義語はマターナリズム(maternalism)。 社会生活のさまざまな局面において、こうした事例は観察されるが、とくに国家と個人の関係に即していうならば、パターナリズムとは、個人の利益を保護するためであるとして、国家が個人の生活に干渉し、あるいは、その自由・権利に制限を加えることを正当化する原理である。 == 概要 == 「パターナリズム」という用語自体の起源〔パターナリズム paternarism の「パター pater」の語源は、父親 (father) を意味するラテン語からである(江崎一郎「パターナリズム - 概念の説明 - 」、加藤・加茂編、1998年、65頁)。模様・規範を意味する英語の「パターン (pattern) 」とは無関係である。〕については、16世紀には「父権的権威()」という言葉がすでに存在し、それが19世紀後半に「パターナリズム()」という言葉になったという。また、J.S.ミル『自由論』(1859年)の「侵害原理 」における議論には、今日のパターナリズム論に底通する論点が提示されている〔J.S.ミル(早坂忠訳)『自由論』(世界の名著38『ベンサム、J・S・ミル』)、中央公論社、1967年、224-225頁。〕。 近年、この用語が英米の法哲学者・政治哲学者のあいだで注目を集めるようになったきっかけは、1950年代、成人間の同意の下での同性愛や売春行為を刑事上の犯罪行為とみなすか否かをめぐって行われた「ハート=デヴリン論争」〔この「ウォルフェンドン委員会報告」を巡ってハートとパトリック・デヴリン判事の間で戦わされた論争であるためこの名がある。詳しくはハーバート・ハートの''Law, Liberty and Morality'', Stanford University Prress,1963および井上茂「法による道徳の強制」、『法哲学研究』3、1972年、有斐閣を参照。〕であった。 また、医療現場においても、1970年代初頭に、エリオット・フリードソンが医者と患者の権力関係を「パターナリズム」(医療父権主義、家父長的温情主義)として告発したことによって、パターナリズムが社会的問題として喚起されるようにもなった。現在では「患者の利益か、患者の自己決定の自由か」をめぐる問題として議論され、医療現場ではインフォームド・コンセントを重視する環境が整いつつある〔患者の自己決定とインフォームド・コンセントについては、上村貞美「患者の権利 - インフォームド・コンセントを中心に」、虫明満編 『人のいのちと法 - 生命倫理と法』法律文化社、1996年、58頁、を参照。〕。 抄文引用元・出典: フリー百科事典『 ウィキペディア(Wikipedia)』 ■ウィキペディアで「パターナリズム」の詳細全文を読む 英語版ウィキペディアに対照対訳語「 Paternalism 」があります。 スポンサード リンク
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