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特設護衛船団司令部(とくせつごえいせんだんしれいぶ)とは、日本海軍が太平洋戦争中に大規模な護送船団の指揮のために編成した部隊である。司令官のほかに固有の幕僚・戦闘兵力を持たない点が特色で、船団の運航に際して臨時の参謀を加え、適宜集められた護衛艦艇を指揮下に入れた。本項目では、固有の戦闘兵力を有する発展的な護衛専門部隊として編成された部隊番号100番台の戦隊についても述べる。 == 沿革 == 太平洋戦争後期の1944年(昭和19年)初頭、日本軍にとって絶対国防圏の防備強化が急務となり、特にマリアナ諸島向けに松輸送と称する大規模船団の運航が行われることになった。一方、この頃にはヒ40船団の壊滅などアメリカ海軍潜水艦の脅威が増大し、ウルフパックと呼ばれる潜水艦の集団運用をしていることも日本側に明らかとなってきたため、対抗策として護送船団の集約・大規模化が検討されるようになっていた〔防衛庁防衛研修所(1971年)、343-344頁。〕〔大井(2001年)、232-239頁。〕。しかし、日本海軍でシーレーン防衛を所管する海上護衛総司令部は、大規模護送船団の指揮官に充てるべき将官級の人員や司令部組織を保有していなかった。当時の海上護衛総司令部は護送船団の統制のために運航指揮官という制度を設けていたが、予備役招集された高齢の大佐が多く近代戦の知識が不十分なため、大規模船団の指揮には能力が不足していた〔大井(2001年)、218-219頁。〕。 そこで、特設艦船部隊令の改正(昭和19年4月1日内令517号〔「内令第五百十七号」『自昭和十九年一月 至昭和十九年七月 内令』JACAR Ref.C12070195000、画像1-2枚目。〕)により新設されたのが、少将を司令官とする特設護衛船団司令部である〔防衛庁防衛研修所(1971年)、321-322頁。〕。4月中に第1-8護衛船団司令部の計8個が実際に編成された。司令部のみで固有の艦艇や航空機を持たないことが特色の編制で、船団運航時には臨時に集めた護衛艦艇を指揮下に入れた〔。また、司令部と称しても固有の幕僚は常時配置されておらず、出撃時に海上護衛総司令部のほか軍令部や海軍省などの護衛関係部署の佐官を現職のまま臨時参謀として任命した〔。従前の運航指揮官制度とは併存する関係で、ヒ72船団のように同一の船団に両方が乗船した事例もある。特設護衛船団司令部は松輸送用に設置された編制であったが、その後の豪北方面(ニューギニア島西部)向けの竹輸送や石油輸送用のヒ船団での大船団指揮にも流用されている〔。 その後の実戦で第6護衛船団司令部の指揮する竹一船団の遭難など固有兵力・幕僚を持たない特設船団司令部の欠点が明らかになると、特設船団司令部の後身〔と言うべき建制の船団護衛部隊の新設が決まった。これが区別のため100番台の部隊番号を割り振られた護衛専門の戦隊(護衛戦隊)である。少将を司令官として固有の参謀も置いた戦隊司令部の下、海防艦6隻を主力とし、第104戦隊を除いて旗艦用に指揮設備の優れた巡洋艦か駆逐艦1隻も有する。1944年11月から1945年(昭和20年)1月に第101-103戦隊が編成されたほか〔防衛庁防衛研修所(1971年)、418-421頁。〕、1945年4-5月にも日本海での作戦用に第104・105戦隊が編成された〔防衛庁防衛研修所(1971年)、426-427頁。〕。これら護衛戦隊の編入や対潜航空部隊である第901海軍航空隊の増強に伴い、第一海上護衛隊は第一護衛艦隊へ格上げされている〔。 なお、日本海軍の海上護衛関連の戦隊としては、対潜艦艇と対潜航空機から成る第31戦隊もあった。これは護送船団の直接護衛ではなく、連合艦隊隷下で積極的な対潜掃討を任務として編成された部隊で、海上護衛総司令部隷下の100番台の護衛戦隊とは性格を異にする〔防衛庁防衛研修所(1971年)、330頁。〕。また、第51戦隊も主に海防艦で構成された戦隊であるが、対潜訓練隊を改編したもので、就役したばかりの新造艦の対潜訓練が主任務であった〔。 抄文引用元・出典: フリー百科事典『 ウィキペディア(Wikipedia)』 ■ウィキペディアで「特設護衛船団司令部」の詳細全文を読む スポンサード リンク
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