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狩子 ( リダイレクト:勢子 ) : ウィキペディア日本語版
勢子[せこ]

勢子(せこ、せご)とは、狩猟を行う時に、山野の野生動物を追い出したり、射手(待子:まちこ、立間:たつま)のいる方向に追い込んだりする役割の人を指す〔せこ【勢子/列卒】の意味 - 国語辞書 - goo辞書 〕。かりこ(狩子、狩り子)、列卒ともいう〔。多人数で行う巻狩りなどの狩猟法で、勢子は活躍した。領主などの権力者が行うような大規模な巻狩では参加する勢子の人数が数百人を超えることもしばしあった〔。
== 歴史 ==
古くは、『日本書紀』や『古事記』に記載された天皇の狩りにも獣を追い立てる役目の者が用いられていたと考えられている〔山口佳紀、発行日:2007年8月1日、148頁、奈良女子大学〕。
1192年鎌倉幕府を開いた源頼朝が翌1193年4月2日から23日まで那須野ヶ原那須塩原市)周辺で行った那須巻狩は10万人もの勢子が集められたと伝わる〔那須野巻狩まつり 那須塩原市〕。頼朝は5月にも同様に大規模な富士の巻狩りを行ったが、その際に勢子が滞在した土地に勢子に由来する地名がついた〔【広報ふじ昭和58年】地名の由来 富士市〕。
戦国時代、国盗りの北条早雲は、大森藤頼が所領する小田原城を奪取した際、鹿狩りと騙して、勢子に化けさせた多数の兵を小田原城付近の山に送り込み奇襲する作戦を用いたとの言い伝えがある〔小田原城奪取 小田原市〕。
江戸時代1716年正徳6年)など数回、将軍徳川吉宗などが小金原で行った鹿狩(ししがり)・小金原御鹿狩は、割り当てで数万の農民を集め、勢子(勢子人足、百姓勢子)をさせたと伝わる〔「『鷹狩り遺聞』(作者・大久保ふみ子)を読む」 〕〔ハワイ大学〕。この鹿狩りは害獣駆除の意味合いもあるものの〔、駆り出された農民にとっては「苦行」だったという者もいる〔。

File:Attributed to Unkoku Togan - CHERRY BLOSSOMS VIEWING AND FALCONRY - Google Art Project.jpg|雲谷等顔の『花見鷹狩図屏風』(桃山時代16世紀):左の鷹狩りの絵に、多数の勢子が描かれている。

20世紀までは行われたマタギの集団での狩りの手法にも勢子の役目があり、指揮者(シカリなどという)の指示のもと射手のところへ獲物を導いた〔勢子 とは - コトバンク 〕〔広瀬 鎮・水野礼子、『石川県白山自然保護センター研究報告』第1集、p.21-29、1974年〕。1970年後半、秋田県のあるマタギは勢子役が「ホーホッ、ホーリャ」と掛け声を出して、カモシカを追った〔マタギ又鬼 解説 群像舎〕。秋田県の別のマタギは勢子役が「ソーレア!ソーレア!」と叫びながら、クマを追った〔秋田のグリーン・ツーリズム総合情報サイト 美の国秋田・桃源郷をゆく 秋田・食の民俗 野生鳥獣編 特定非営利活動法人 秋田花まるっ グリーン・ツーリズム推進協議会〕。「ノボリマキ」という、勢子が下のほうから射手の待つ尾根に熊を追い上げる狩猟法が行われ〔、沿いに追い上げる者を「沢セコ」、斜面の中程から追い上げる者を「中セコ」、尾根沿いに追い上げる者を「片セコ」と呼んでいた〔。

抄文引用元・出典: フリー百科事典『 ウィキペディア(Wikipedia)
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