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献名[けんめい]
献名(けんめい)とは生物の命名に際して特定の人物の名前を織り込むこと。生物の種を記載し学名を命名するのに際して、しばしば命名者が特定の人物に敬意を表して名前を織り込む慣行がある。学名に使われるラテン語は屈折語であるので、献名された人名も語尾などが変化する。 献名の対象となる人物は記載された種を採集して命名者に提供した人物であることが多いが、命名者が個人的に恩義を感じている人物、あるいは命名者が尊敬する人物であることも稀ではない。これは分類学的研究に多大な経済援助が必要であった19世紀に、研究者が援助者への謝意を示すために行ったものが慣例として残ったと言われている。 == 具体例 == 例えば島原半島で発見されたキリギリス科のウンゼンヤブキリモドキ '' Tettigoniopsis ikezakii'' Yamasaki, 1983 は、長崎県在住の昆虫研究家、池崎善博によって採集された標本により新種記載が行われた。そのため、新種の可能性に気付いて命名者に標本を提供した池崎への敬意が、種小名の ''ikezakii'' に反映されている。ヤブカ類のトウゴウヤブカ ''Aedes'' (''Finlaya'') ''togoi'' (Theobald, 1907) は新種記載の2年前、1905年の日露戦争での日本海海戦で名提督の名声を得た東郷平八郎に敬意を表した命名であり、当然のことながら東郷がこのカの標本を採集して命名者に提供したのではない。 献名は直接的に人名を織り込んで敬意を表する場合と、間接的な表現の場合とがある。例えばインドネシアに分布するハゼの一種 ''Platygobiopsis akihito'' は、長年ハゼの分類学的研究を行っている明仁(今上天皇)に献名されたものであり、種小名に ''akihito'' として直接名前が用いられている。一方クシクラゲの一種コトクラゲ ''Lyrocteis imperatoris'' は昭和天皇が相模湾より採集した標本によって記載されており、命名者である駒井卓がこれに敬意を表して献名している。しかし「裕仁」の名を用いたわけではなく、''imperatoris'' という間接的な表敬になっている。
抄文引用元・出典: フリー百科事典『 ウィキペディア(Wikipedia)』 ■ウィキペディアで「献名」の詳細全文を読む
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