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環論や抽象代数学において、環準同型()は2つの環の間の構造を保つ関数である。 きちんと書くと、''R'' と ''S'' が環であれば、環準同型は以下を満たす関数 である〔Artin, p. 353〕〔Atiyah and Macdonald, p. 2〕〔Bourbaki, p. 102〕〔Eisenbud, p. 12〕〔Jacobson, p. 103〕〔Lang, p. 88〕。 * ''R'' のすべての元 ''a'' と ''b'' に対して、''f''(''a'' + ''b'') = ''f''(''a'') + ''f''(''b'') * ''R'' のすべての元 ''a'' と ''b'' に対して、''f''(''ab'') = ''f''(''a'') ''f''(''b'') * ''f''(1''R'') = 1''S''. (加法の逆元と加法の単位元も構造の一部であるが、それらを明示的に要求する必要はない。というのもその条件は上記の条件から従うからである。一方、条件 ''f''(1''R'') = 1''S'' を落とすと下記の性質のいくつかは成り立たなくなる。) ''R'' と ''S'' が(擬環や非単位的環ともいう)であれば、自然な概念〔Hazewinkel et al. (2004), p. 3. Warning: They use the word ''ring'' to mean rng.〕はrng 準同型であり、これは上記から3つ目の条件 ''f''(1''R'') = 1''S'' を除いたものとして定義される。(単位的)環の間の環準同型でない rng 準同型を考えることができる。 2つの環準同型の合成は環準同型である。これによってすべての環からなるクラスは射を環準同型として圏をなす(cf. )。とくに、環自己準同型、環同型、環自己同型の概念を得る。 == 性質 == ''f'' : ''R'' →''S'' を環準同型とすると、その定義から直接次のことが出る。 * ''f''(0''R'') = 0''S''. * ''R'' のすべての元 ''a'' に対して ''f''(−''a'') = −''f''(''a'') である。 * ''R'' の任意の単元 ''a'' に対し、''f''(''a'') は ''f''(''a''-1) = ''f''(''a'')-1 であるような単元である。とくに、''f'' は ''R'' の単元のなす(乗法)群から ''S''(あるいは im(''f''))の単元のなす(乗法)群への群準同型を誘導する。 * ''f'' の像 im(''f'') は ''S'' の部分環である。 * ''f'' の核は と定義され、これは ''R'' のイデアルである。可換環 ''R'' のすべてのイデアルはある環準同型からこのようにして生じる。 * 準同型 ''f'' が単射であることと であることは同値である。 * ''f'' が全単射であれば、その逆写像 ''f''−1 もまた環準同型である。この場合、''f'' は同型写像と呼ばれ、環 ''R'' と ''S'' は同型であるという。環論の見方では、同型な環は区別できない。 * 環準同型 があれば、''S'' の標数は ''R'' の標数を割り切る。このことは、ある環 ''R'' と ''S'' の間に環準同型 が存在しえないことを示すのに使えることがある。 * ''Rp'' が ''R'' に含まれる最小の部分環で、''Sp'' が ''S'' に含まれる最小の部分環であれば、すべての環準同型 は環準同型 を誘導する。 * ''R'' が体で ''S'' が零環でなければ、''f'' は単射である。 * ''R'' と ''S'' が両方体であれば、im(''f'') は ''S'' の部分体である。なので ''S'' は ''R'' の体拡大の見ることができる。 * ''R'' と ''S'' が可換環で ''S'' が整域であれば、ker(''f'') は ''R'' の素イデアルである。 * ''R'' と ''S'' が可換環で、''S'' が体で、''f'' が全射であれば、ker(''f'') は ''R'' の極大イデアルである。 * ''f'' が全射で、''P'' が ''R'' の素(極大)イデアルで、 であれば、''f(P)'' は ''S'' の素(極大)イデアルである。 さらに、 * 環準同型の合成は環準同型である。 * 恒等写像は環準同型である(が零写像はそうでない)。 * それゆえ、すべての環と環準同型からなるクラスは圏、をなす。 * すべての環 ''R'' に対して、唯一の環準同型 が存在する。このことが言っているのは、整数環は環の圏において始対象であるということである。 * すべての環 ''R'' に対して、唯一の環準同型 が存在する、ただし 0 は零環(その唯一の元が 0 であるような環)を表す。このことが言っているのは、零環は環の圏において終対象であるということである。 抄文引用元・出典: フリー百科事典『 ウィキペディア(Wikipedia)』 ■ウィキペディアで「環準同型」の詳細全文を読む スポンサード リンク
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