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有機体論(ゆうきたいろん、英:organicism 〔他言語では、仏:organicisme、独:Organizismus〕)とは、生命現象の基本というのは、部分過程がorganize(組織・編成)されて、その系(システム)に固有の平衡または発展的変化を可能にしている点にある、とする立場〔岩波生物学事典第四版〕のことである。 有機体論は、生命現象というのは、あくまで有機体の物質と過程がある特定な結合状態・秩序にあるときに(のみ)可能なものなのだということ、Systemeigenschaften(その系に具わる特性)である、ということに力点を置く〔〔説いているテーマは生命論ではあるが、なかば人間の思考パターン自体の問題点を指摘している。例えば、<<家>>にはその下位要素として確かにドアや窓や屋根があるが、だからといって、家を一旦バラバラにして、ドアや窓や屋根などの要素を、たとえ全てであっても、空き地に乱雑に山のように積み上げても、それはもはや <<家>> では全然なく、ただのガレキにすぎない、 <<家>>と呼べるのはあくまでドア・窓・屋根などが特定の位置関係で、特定の結合状態で、特定の秩序にあるときである、といったことである。つまり、初学者が陥りがちな、また学者ですらしばしば陥ってしまうことがある、思慮の足らない還元主義という思考パターンの問題点の指摘が内に含まれている。〕。 20世紀前半では、L.ベルタランフィー、ウッジャー(Joseph Henry Woodger)、W.E.リッター(William Emerson Ritter)、Edna.W.Baileyらによって論じられた〔。その後も現在にいたるまで、多くの賛同者がいる。 == 歴史 == もともと生命をどのように見るのかについては、古代からいくつかの見方があった。(なお、生命に限らず、そもそも、人間のものの考え方は様々である。) ギリシアでは、イオニアの自然学(自然哲学)に見られる世界観(自然観)では、自然の変化をプシュケーによるものとして説明した。それに対して、アナクサゴラスやデモクリトスは「atom アトム」という、「分割不可能な要素」を思い描いて、それに基づいた世界観を主張した(原子論)〔「atom」とは古代ギリシア語で「分割できない」という意味の言葉。根本の定義が「分割できない」なのである。ちなみに、当時電子顕微鏡などはなく、そのようなものは誰も見たこともなかった。あくまで、デモクリトスらによる空想である。また、現代の物理・化学におけるatomとは異なっている概念。現代の「atom」は「分割可能」とされる。つまり、全然 別概念である。〕。その後、デモクリトスたちの世界観は顧みられることなく、思い出されたのは近代になってからである。 近世になると、ヨーロッパでデカルトが、延長という概念を用いて、もっぱら要素的な物体の領域に着目する機械論的な世界観を主張した。同様に、ライプニッツは、モナド論を展開しつつ、だが、個体が有機的発展活動を営んでいることを説いた。カントは、有機的な自然には合目的性が働いている、とした。そして全体と部分とは相互に制約しあう統一体である、とした(『判断力批判』)。 近現代では、ホワイトヘッド(1861-1947)は、有機体の創発性や過程性について考察し、環境とともに生成しつつ秩序を形成する組織体としてとらえた〔岩波 哲学思想事典【有機体(論)】〕。そして『過程と実在』において、全宇宙の生命が有機体的に自己創造することを壮大なコスモロジーとして説いた〔。 L.ベルタランフィー(Ludwig von Bertalanffy)が説いた有機体論では、Fliessgleichgewicht 流動平衡(内容的に動的平衡とほぼ同じもの)とhierarchy 階層構造の概念が中心的な役割を果たしている〔。 有機体論は、今日の人間科学の基礎理論としても位置づけられている。例えば化学者プリゴジンの自己組織化理論、あるいは神経生理学者マトゥラーナや社会学者ルーマンのオートポイエーシス・システム理論などで、基礎理論として用いられているのである。〔 抄文引用元・出典: フリー百科事典『 ウィキペディア(Wikipedia)』 ■ウィキペディアで「有機体論」の詳細全文を読む 英語版ウィキペディアに対照対訳語「 Organicism 」があります。 スポンサード リンク
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