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白山水力株式会社(はくさんすいりょく)は、大正から昭和初期にかけて存在した日本の電力会社である。北陸電力の前身の一つ。 白山周辺一帯を水源とする九頭竜川水系・手取川水系の開発を目的として1919年(大正8年)に発足。福井県および石川県において計4か所の水力発電所を運営した。創設者の一人は「電力王」と呼ばれた実業家福澤桃介である。同じく福澤が設立した矢作水力と1933年(昭和8年)に合併した。 == 沿革 == 白山水力は1919年(大正8年)6月28日〔『北陸地方電気事業百年史』、p.850〕、後に大手電力会社大同電力の社長となる福澤桃介や、伊丹二郎・成瀬正忠、磐城セメント(現・住友大阪セメント)社長の岩崎清七らによって設立された。本社は東京市麹町区(現・東京都千代田区)。社名は、計画中の発電所が白山一帯を水源とする河川であったことにちなむ。初代社長は伊丹で、福澤は相談役であった。1922年(大正11年)7月には元富山県知事で県営電気事業を起こした東園基光が社長に就任、1926年(大正15年)4月まで務めた〔『北陸地方電気事業百年史』、pp.152-154〕。 白山水力が最初に手がけたのは福井県を流れる九頭竜川本流の開発である。まず西勝原(第一)発電所が1923年(大正12年)10月に竣工した。翌1924年1月、岐阜県武儀郡関町(現・関市)まで自社送電線が完成、大同電力および日本電力の送電線に繋ぎ、西勝原発電所で発電したほぼすべての電力を東邦電力に供給するようになった。また、同年10月には大同電力西勝原発電所(現・北陸電力西勝原第二発電所)との間に送電線が完成し、突発事故が生じた場合最大5,000キロワットの電力の相互融通が可能になった〔。続いて1927年(昭和2年)12月、西勝原発電所の放水を利用して発電する西勝原第二発電所が完成した〔。これにより白山水力による九頭竜川開発は終了した。 西勝原発電所建設に並行して、白山水力は手取川水系の開発も手がけた。会社設立の翌年である1920年(大正9年)、手取川水系最初の発電所として、支流尾添川において吉野谷発電所の建設に着手する。不況のため一時工事が中断されたが、1926年(大正15年)5月に運転を開始した。続いて、会社設立時からの計画のひとつであった鳥越発電所の建設に着手。1928年(昭和3年)12月に完成させた〔。鳥越発電所の完成により白山水力の発電所は計4か所となった。発電所出力と大同電力からの受電出力の合計は4万8,800キロワットに及んでいたが、電力供給は東邦電力への供給が主で地元北陸地方への供給は全出力の約40%であった。北陸への電力供給は京都電灯福井支社とカーバイドメーカーの大北工業への供給が主力であった〔『北陸地方電気事業百年史』、pp.246-247〕。 1933年(昭和8年)2月28日〔『北陸地方電気事業百年史』、p.859〕、白山水力は矢作水力と合併した。矢作水力は1919年(大正8年)に矢作川水系の開発を目的に設立された電力会社で〔『中部地方電気事業史』上巻、p.236〕、白山水力の合併に先立つ1931年(昭和6年)11月に天竜川水系の開発を目的とする天竜川電力を合併していた〔「伊那谷の電源開発史」、p.18〕。矢作水力・天竜川電力ともに福澤桃介が設立に関与した会社で、福澤は矢作水力の相談役、天竜川電力の初代社長を務めていた〔『十年史』、pp.146-148 および 「伊那谷の電源開発史」、pp.14-16〕。 白山水力が矢作水力に合併された後の1938年(昭和13年)12月、手取川に尾口発電所が完成した〔。これにより矢作水力の発電所は、白山水力が建設した4か所に尾口発電所を加えて北陸地方に5か所となった。矢作水力はその後、日中戦争から太平洋戦争へと続く戦時下において進展した電力の国家管理強化に伴い、設備を日本発送電などに出資して1942年(昭和17年)4月に解散する〔『中部地方電気事業史』上巻、p.359〕。上記5か所の発電所はすべて日本発送電に引き継がれ、さらに戦後1951年(昭和26年)には北陸電力に継承されている。 抄文引用元・出典: フリー百科事典『 ウィキペディア(Wikipedia)』 ■ウィキペディアで「白山水力」の詳細全文を読む スポンサード リンク
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