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相補分布(そうほぶんぷ)とは言語学で、2つまたは3つ以上の異なる要素の間に、異なる環境で背反的に出現する関係があることをいう。多くの場合には、これらは外見上異なる要素だが、深層では同じ要素である。様々なレベルに適用できる概念であるが、特に音韻論と形態論で用いられる。 ==音韻論== 相補分布は特に音韻論で重要であり、同じ音素が場合によって音声学的には異なるもの(異音)として出現することがよくある。 日本語(共通語)での /t/ 音(タ行など)の現れ方を考えると、, という音節は明らかな外来語を除いて現れない。一方、 で始まる ,,, の音節も外来語以外ほとんど現れない(なお、「勝つ」などの動詞の活用でも、,,,, という形に変化するが、これは形態論的相補分布と見ることもできる)。従って は音素 /t/ のツにおける異音であって、後の母音 に呼応して変化していると結論できる。ただし例外的・方言的ではあるが「おとっつぁん」といった単語もあり、現代では外来語にツァ、ツィなども珍しくないので、/ʦ/ を独立の音素とするのが普通である(さらに もチに限れば /t/ の異音と考えることができるが、,, は他の単語には頻繁に現れる)。まとめると次のようになる: ta (ti) (tu) te to (ʦa) (ʦi) ʦu (ʦe) (ʦo) ʨa ʨi ʨu (ʨe) ʨo :(太字はタ行音節、カッコは例外的であることを示す) サ行やハ行についても類似のことがいえるが、例えば /i/ の前で /t/ が /ʨ/ に同化(口蓋化)していると考えることも可能である。 撥音ン(母語話者にとっては単一音素 /N/ である)も環境に応じて音声的には様々に変化するが、これに関しては発音に自由度があり明確な相補分布とは言えない。 見かけ上相補分布しても互いに異音とはいえない組合せもある。例えば英語の (音節の初めのみ)と (音節の末尾のみ)は相補分布するが、これらは互いに全く関係がなく、異音ではない。このような「本物」と「偽物」の相補分布を見分けることは、ある言語についての初期の研究や、比較言語学で重要である。 抄文引用元・出典: フリー百科事典『 ウィキペディア(Wikipedia)』 ■ウィキペディアで「相補分布」の詳細全文を読む スポンサード リンク
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