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福島第一原子力発電所1号機の建設(ふくしまだいいちげんしりょくはつでんしょいちごうきのけんせつ)では、福島第一原子力発電所で最初に建設された原子力発電プラントである1号機の建設史について述べる。1号機の形式はゼネラル・エレクトリック社の開発した沸騰水型原子炉に分類されるBWR-3、原子炉格納容器はMarkIである。 == 選定および契約 == === 炉型・出力の決定 === 1964年10月の『朝日新聞』記事によれば、当時電力各社が検討していた1973年度末を目標とした長期電源開発計画で、東電は1号機についてのみ計画に繰り入れており、その電気出力を35万kWとしていた。関西電力、中部電力の原子炉建設と歩調を合わせ、運転開始予定は1970年度であった。これに加え、1964年9月にジュネーブで開催された原子力平和利用国際会議で、原子力の将来性に明るい見通しが出されたことも追い風となり、東電は2号機の設置についても検討を開始した〔「原子力発電 各社が長期計画 52年度には400万キロワット 安全・経済性に確信」『朝日新聞』1964年10月4日朝刊1面〕。 東京電力は1950年代よりTAPと呼称するメーカー共同研究を実施、その頃よりBWR寄りではあったが、正式な決定を公に出来るレベルまでは進まず、田原総一朗によれば1962年9月の常務会で当時の社長木川田一隆がGE社のBWRとする意向を表明していたものの、公の場面では明らかにされていない。豊田正敏が1968年に発表した機械学会への投稿記事では1962年の木川田発言には触れず、1号機の電気出力の決定に際しては信頼性を重視して400MW級のものを採用する方針とし、1965年1月からPWRの候補としてウェスチングハウス(WH)社、BWRの候補としてGE社に非公式に接触したとされている。1966年4月に入るとGEへの特命発注がほぼ確実視される旨報道されていたが〔「原子力発電いよいよ本格化へ 関電、近くWHに決定 東電のGEに対応」『日刊工業新聞』1966年4月10日1面 特命発注方針であり、近日中にGE社に見積提出を依頼する旨述べられている。〕、正式に発注されたのは、5月11日であった〔「GEに沸騰水型発注 東電原子力発電一号炉」『朝日新聞』1966年5月12日朝刊7面〕。『原子力産業新聞』によると同時に国内ゼネコンが担当する土木工事に対して、直接見積もり依頼も出された〔「東電は沸騰水型採用 出力は四十万KW GE社に対し一括発注」『原子力産業新聞』354号 1966年5月20日1面〕。 この間の事情は後年『関東の電気事業と東京電力』にて一段詳細に明らかにされており、1965年に同社の原子力発電準備委員会が検討作業を実施して炉型の絞り込みを実施し、同委員会はイギリス型炉を不採用とした。田中直治郎〔田中直治郎。1905年5月生。1929年東京帝国大学電気工学科卒後東京電灯入社。1957年12月より1960年9月まで東京電力工務部長。1959年5月に取締役就任。1960年10月より1964年5月まで技術部長。1965年12月より1966年5月まで原子力部長。1971年副社長。1975年10月取締役相談役。1978年1月2日同社在籍のまま食道潰瘍のため死去。 「原子力強化軸に 来月一日に大幅な職制改正」『電気新聞』1970年5月11日1面 「東京電力歴代室部長・営業店長」『電気新聞』1970年8月22日3面 「田中直治郎氏が死去 原子力に情熱傾け 電力再編にも多大な功績」『電気新聞』1978年1月7日1面〕は『土木建設』1966年8月号にて、改良型ガス冷却炉(AGR)について濃縮ウランを使用し、またイギリス内でGEとの見積競争を勝ち抜いて採用された事情もあったが、大容量炉の実績が無く、経済性もGEの炉の方が高いという理由で採用しなかったとしている〔AGRを検討の末除外した経緯については右記。〕。また、1号機の電気出力は当初35万kW程度の計画を検討していたが、その後の検討で下記のような方針に修正された旨を講演している〔1号機の電気出力について修正した採用条件については右記。〕。 *経済性を考慮すると容量は35万kWより大きいほうが良い *初の原子炉であるためメーカーにて発注または製造実績を持つこと *米国では60〜80万kWの炉も発注され始めており経済性は高いがリスクも大きいので、上記の条件で、容量よりは実績を優先する この方針に従い、1966年1月より、両社からの説明を詳細にわたり聴取し、制作費等についての意見も聞いたと言う。この結果、WHには手頃な容量で50Hz機のものが無かったという。 また、『電力新報』1971年3月号によれば、両社の機器仕様の際は「技術的な優劣の判定はつけ難いもの」となったが、当時スペインのNUCLENOR社がGEに発注したプラント(サンタ・マリア・デ・ガローニャ原子力発電所1号機)の建設が1年先行しており、電気出力は46万キロワット、周波数も50Hzで共通していた。この「実績」もGE採用を決めた材料であった〔(当時東京電力常務取締役)この炉型、メーカー選定のくだりは後に『東京電力三十年史』などにも記載されている。〕〔なおNUCLENOR社の情勢を参考にした旨は、上述の『朝日新聞』1966年5月12日朝刊記事にも述べられている〕。豊田正敏は30周年記念文集の中で、NUCLENORの設計流用による価格低減策を提案してきたのはGE側であったと回顧している〔豊田正敏「福島1号機の思い出」〕。 GE社が1号機に提案して採用されたタイプは当時400/460MW型と称され、電気出力は初期定格40万kW(400MW)であるが、将来的には46万kWまで増加させられるようになっていた。タービン発電機、安全施設等は2%増の47万kWとして設計された。工学的安全施設は先行して建設されているドレスデン2号機に具備した物をすべて備えた〔なお野村顕雄の1967年4月の講演ではミルストン、ドレスデン2・3号機と略同型とも述べている。。〕。なお46万kWで申請した場合、認可は貰える見込みとしても安全審査に時間を要すると予想されたため、アメリカで1号機より先に運開する類似タイプの容量が40万kWであることを根拠に、1966年4月4日の電源開発調整審議会(後述)にて容量40万kWとして承認を取ったと言う〔46万kW機を40万kWで承認してもらった背景については右記。〕。 野村顕雄〔野村顕雄。田中直治郎の事務扱いとなっていた原子力部を引き継ぐため、日本原子力発電建設部次長への出向解除され、1966年5月より東京電力原子力部長。 「「原子力開発」に新体制 関係機構さらに強化」『日刊工業新聞』1966年6月24日4面 「東京電力歴代室部長・営業店長」『電気新聞』1970年8月22日3面〕は『電気公論』1966年10月号にて「熱出力が1,213MW〔電気出力40万kW時の熱出力。46万kWに増出力時は1,380MW。参考〕時における燃料棒長さ当たり出力の最大は、約15kW/ftでドレスデン1号炉とほぼ同一であり、また、平均炉心出力密度は35.7kW/lでビッグ・ロック・ポイント発電所(en)の高出力運転実績と比較してかなり保守的な設計となっている。さらに安定性についても充分な余裕をもって設計されている。」と述べた。将来の増出力について設計時に織り込んでいる点についても、ドレスデン1号機(en)での増出力試験や「設計時に考慮した例」としてオイスタークリーク(en)、ドレスデン2号機を挙げている。 抄文引用元・出典: フリー百科事典『 ウィキペディア(Wikipedia)』 ■ウィキペディアで「福島第一原子力発電所1号機の建設」の詳細全文を読む スポンサード リンク
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