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私設鉄道法(しせつてつどうほう、明治33年3月16日法律第64号)は、軌道を除く一般の利用に供する民営鉄道の敷設・運営に関して規定した日本の法律である。1900年(明治33年)3月16日に公布、同年10月1日に施行され、1919年(大正8年)8月15日の地方鉄道法施行まで民営鉄道事業に関する根幹法の役割を担った。 ここでは、当法の前身であり、1887年(明治20年)5月18日に勅令として公布された私設鉄道条例(明治20年5月18日勅令第12号)についても、あわせて解説する。 ==概要== 日本で初めての民営鉄道事業に関する法律であり、後の地方鉄道法の直系の前身に当たる。私設鉄道条例は全41条であったのに対し、私設鉄道法は全98条と大きな条文数の増加があるが、後者は勅令である前者を法律として整備し直したものであり、その内容はほとんど変わらずに引き継がれている。 私設鉄道条例および当法では民営鉄道事業者を「私設鉄道株式会社」と呼称し、路線敷設のために提出すべき書類の内容など手続の次第や免許の取扱い、設備の規定とその扱い方、所轄官庁の監督範囲などが規定されており、後身の地方鉄道法の基礎となった条文も多い。 しかし一方で、極めて微に入り細にわたった独特の条項がいくつも存在するのが特徴でもあった。その大きなものが会社の設立に関する規定で、私設鉄道条例や当法では私設鉄道会社は通常の会社と異なり、敷設免許と一体の存在ととらえられ、免許を受けた上でないと設立することも経営することもならず、さらに当法では免許が全て失効した際は解散しなければならないとも規定されていた。 このため私設鉄道を敷設する際、事業者は路線敷設に関する概要書類・図面の他に、設立に関する申請書を添付して免許を申請する必要があった。私設鉄道条例では資本金の総額・総株数・株式1株あたりの価格について記した説明書と収支概算書を提出して、会社設立免許・鉄道布設免許を受けてから会社の設立と路線の敷設を行う必要があった。後継である当法ではさらに複雑な手続きとなり、まず仮の定款と収支概算書を提出して一旦仮免許を受けなければならなかった。そうしてこの仮免許を受けてから初めて株主と株式を集めて創立総会を開き会社の設立を決定した上で、ようやく本免許を受けて会社の登記を行うとともに路線の敷設を行うことができたのである。この会社設立に関する規定自体にも、「発起人の持つ株式は2割以上」「仮免許が下りていない場合は株主を募ってはいけない」など株式の部分にまで踏み込んだ厳しい規定が存在した。 敷設後の運営に関しても、年度末の営業報告書の提出や、統計の編纂と提出を義務づけたりと、現在ならば事業者が自己の意思で行うようなことまで義務として規定し、運賃に至っては賃率まで具体的な数字を出して基準を示していた。 さらに法に反した場合は免許を取り消すだけでなく、政府が事業者の人事に介入して取締役や役員を解任し、私設鉄道条例では代わりの人選を行うか政府へ営業を強制委託させるかのどちらかの処置を取り、当法では政府または別の事業者へ営業を強制委託させるという規定までも存在した(ただしこの条項は後身の地方鉄道法にも受け継がれており、当法だけのものではない)。 また本免許が下りてから25年を過ぎた場合、政府がその路線を買収する権利を有するとする条項も存在した。地方鉄道法にも「公益上必要と認めた場合は政府が買収できる」として政府が買収権を持つことを規定した条項は存在したが、それが一定期間を経た後強制的に発生すると規定しているのは当法が唯一である。 このように当法は事業者の自主性をかなりの部分で規制し、政府が「所轄」というよりもほとんど「統制」に近い監督体制を取ることを認めるものであった。 なお、当法では特別の場合以外は1067mm(3ft6in)以外の軌間を認めないとする規定が存在した。これは国有鉄道からの乗り入れや買収の際に問題が発生することを防ぐための条項であった。 抄文引用元・出典: フリー百科事典『 ウィキペディア(Wikipedia)』 ■ウィキペディアで「私設鉄道法」の詳細全文を読む スポンサード リンク
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