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秋田弁のアクセント(あきたべんのアクセント)では、秋田県で話される日本語の方言である秋田弁(方言学では秋田方言と呼ばれる)のアクセントについて記述する。 == アクセント体系 == 日本語の方言には高低アクセントを持っている方言(有アクセント)と持っていない方言(無アクセント)があるが、秋田県は全域が有アクセントの地域である。日本語の有アクセントの体系は大きく分けると京阪式アクセントと東京式アクセントとに分けられるが、秋田県は全域が東京式アクセントである〔柴田武ほか編 『岩波講座 日本語11 方言』 岩波書店、1977年、176-177頁。〕。 秋田方言のアクセントの体系は、共通語と同じく、高さが下がる場所の位置と有無のみを弁別する体系であり、東京式アクセントの体系である。京阪式アクセントのような、高く始まる型(高起式)と低く始まる型(低起式)の区別はない。高さが下がる場所を下がり目、下がり目の直前の音節をアクセント核という。アクセント核には、上げ核(次の音節を上げる核)、下げ核(次の音節を下げる核)、昇り核(その音節が上がる核)、降り核(その音節が下がる核)の種類が考えられるが、秋田方言で弁別される核は共通語や多くの方言と同じく下げ核である。なお降り核は現代の方言には確認されていない。 アクセントを特定の単語から離れて一般化して示すときは、拍または音節を○で示し、上げ核を○、下げ核を○、昇り核を○、降り核を○で表す。 典型的な秋田方言における一音節語から四音節語までの語には、以下のような型の区別があり、n音節語にはn+1種類の型がある〔秋田県教委編 (2000)、26頁。〕。○という音節がアクセント核であり、アクセント核は一語に一つもないか一つだけあるかのいずれかである。例えば○○は二音節で第一音節に下げ核がある語を表す。この体系は共通語と同じである。 共通語では、○○、○○○、○○○○のような核を持たない型は、単独の場合に第一拍と第二拍の間に上昇があり「低高」「低高高」「低高高高」のように発音され、「平板型」と呼ばれる。それに対し、秋田方言ではそのような上昇が見られず、「低低」「低低低」「低低低低」のように低く平らに発音される〔。これを特に「低平型」という場合もある。ただし共通語でも上昇は弁別的特徴ではなく、上昇の程度は下げ核での下降より弱い。どちらの話者にとっても、平板型も低平型も「下げ核がない型」として同じ型とみなされる。このため、秋田方言の低平型は最も共通語化の影響を受けにくく、若年層に至っても共通語のような平板型になっていないことも多い〔森下 (1996)、97、115頁。〕。しかし、近年の調査では、低平型が平板型に変化している例も見られるようになっている〔秋田県教委編 (2000)、60-69頁。〕。 秋田方言のアクセントで特徴的なのは、一音節語において核を持たない○の型と核を持つ○の型とが助詞を付けなくても区別できることである。共通語ではこれらの型は助詞を付ければ、「日」「葉」のような○型は「低(高)」、「火」「歯」のような○型は「高(低)」となって区別できるが、「日」「火」単独の場合はどちらも平板な「高」となって区別ができない。これに対して秋田方言では、○型は単独の場合は中程度の高さで始まり、終わりにかけて弱い下降が見られる。また母音の響きがやや後に残るように発音される。一方、○型は中程度の高さから始まって末尾にかけて弱い上昇が見られ、また母音を急に短く切って止める〔飯豊・日野・佐藤編 (1982)、165-166、280-281頁。〕。 二音節以上の語でも、○○、○○○、○○○○のような核を持たない型(平板型)と、○○、○○○、○○○○のような型(尾高型)は、助詞が付かない単独の場合には共通語では「低高」「低高高」「低高高高」となり区別ができない。一方、秋田方言では平板型は低く平らであるかまたは最後がやや下がり気味で、最後の音節がやや長い発音になるのに対し、尾高型は最後の音節がやや上がり気味で、最後の音節が短く切れるように発音されて区別がある。例えば共通語で「鼻」は平板型、「花」は尾高型だが単独では区別できない。一方秋田方言では単独でも平板型の「鼻」は「低低」、「花」は「低高」で区別できる。 秋田県北部では尾高型の最後の音節にはっきりとした下降が見られ、例えば「花」、「雨」、「男」などの語の最後の音節に下降が現れる。例えば鹿角地方にはこの現象が見られる一方で、秋田市や由利地方では、このような下降は消失している〔NHK放送文化研究所編 『NHK 日本語発音アクセント辞典 新版』 日本放送出版協会、1998年、154頁。〕。このような下降がない場合でも、三音節以上の尾高型の○○○○や○○○○のような型では「低低高」「低低低高」のように最後の音節のみが高く発音されることになる。これは、共通語の「低高高」「低高高高」のような第二拍から高い発音とは異なっている。このような発音は低平型よりも早く衰退しており、高年層では本来の形がほぼ保たれているものの、中年層では共通語のような発音にほぼ変化している〔森下 (1996)、75頁。〕。 共通語では、頭高型では第一拍のみが高く、平板型では第二拍から終わりまで高く、それ以外の型(中高型・尾高型)では第二拍から下げ核のある拍まで高いという音調である。一方、秋田方言では、頭高型で第一音節のみが高いのは同じであるが、平板型では全ての音節が低く、中高型・尾高型では下げ核がある音節のみが高いという違いがある。すなわち、高く発音される音節は一つの語に付き一つまでである。現在ではこの規則は中高型・尾高型のものから崩れつつあると言える。 抄文引用元・出典: フリー百科事典『 ウィキペディア(Wikipedia)』 ■ウィキペディアで「秋田弁のアクセント」の詳細全文を読む スポンサード リンク
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