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秋田弁の音韻 : ミニ英和和英辞書
秋田弁の音韻[あきたべんのおんいん]
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〔語彙分解〕的な部分一致の検索結果は以下の通りです。

: [あき]
  1. (n-adv) autumn 2. fall 
: [た]
 【名詞】 1. rice field 
: [べん]
  1. (n,n-suf) speech 2. dialect 3. braid 4. petal 5. valve 6. discrimination 
: [おと, ね]
  1. (n,n-suf) sound 2. note 
音韻 : [おんいん]
 【名詞】 1. vocal sound 2. phoneme
: [いん]
 【名詞】 1. rhyme 

秋田弁の音韻 : ウィキペディア日本語版
秋田弁の音韻[あきたべんのおんいん]
秋田弁の音韻(あきたべんのおんいん)では、秋田県で話される日本語の方言である秋田弁方言学では秋田方言と呼ばれる)の音韻(発音)について記述する。
秋田方言の音韻(発音)は、他地域の東北方言にも言えることであるが、共通語との差が大きい。以下では、発音表記に国際音声記号 (IPA) を用い、音素は で、具体的音声は で囲んで表記する。
== 母音 ==

=== 単母音 ===

秋田方言の母音音素は、共通語より1つ多い、 、 、 、 、 、 の6つが認められる。
共通語のアにあたる の音声は共通語とほぼ同じ非円唇中舌広母音の (以下では と表記する)であるが、共通語よりやや口の開きが狭い傾向がある。また共通語のオは 円唇後舌半狭母音円唇後舌半広母音 の中間の であるが、秋田方言の は共通語よりやや狭く、基本母音の とほぼ同じ程度の口の開きで発音されることがある。また、 の唇の丸めが共通語より弱く、平唇化した非円唇後舌半狭母音 のように発音されることもある〔今石元久 「方言母音のホルマント -秋田県男鹿市の発音などに依拠して-」 1982年、「東北方言考③』所収、432-445頁。〕。しかし、これらの母音音素の発音は、共通語のアやオとの差異はそれほど目立つものではない。他の4つの母音はいずれも共通語にない発音であり、秋田方言の特色をなすものである。
共通語のイは非円唇前舌狭母音の であるが、秋田方言の の音声はかなり中舌寄りの である。また、共通語のウは唇の丸めが弱い非円唇後舌狭母音の でありやや中舌寄りであるが、秋田方言ではさらに唇の丸めが弱く中舌寄りの である。そのため、 と は共通語のイとウよりも互いに近く発音される。 が直前の子音を口蓋化する程度は共通語より弱いが、後述するように、 、 、 、 、 などと結合した場合には強い口蓋化が認められることがある。
子音 、 、 と結合した場合には、 と が に統合されており、共通語のシとス、チとツ、ジとズにあたる音節が区別できない。例えば「獅子」(しし)と「煤」(すす)と「寿司」(すし)はいずれも (シシ)、「梨」(なし)と「茄子」(なす)はいずれも (ナシ)、「乳」(ちち)と「土」(つち)はいずれも (チジ)、「口」(くち)と「靴」(くつ)はいずれも (クジ)、「籤」(くじ)と「屑」(くず)はいずれも (クジ)のように発音され、アクセントと母音の無声化の位置以外は区別がなく同音異義語となる。 、 、 という音節が欠如しているとみなすことができ、これは北奥羽方言に共通する特徴である。しかし個人によっては南奥羽方言のようにどちらも と発音する者も存在する〔秋田県教委編 (2000)、37-38頁。〕。 また、文字教育を受けた現代の高年層・中年層の中には、シ・チ・ジを 、 、 と発音し、ス・ツ・ズを 、 、 と発音して区別していると意識している者も存在する〔飯豊・日野・佐藤編 (1982)、282-283頁。〕。これ以外の行の場合には と は互いに明確に区別されており、例えば「煮る」(にる)と「塗る」(ぬる)はそれぞれ (ニル)と (ヌル)と発音されて混同されることはない。
共通語のエは非円唇前舌半狭母音非円唇前舌半広母音 の中間の であるが、秋田方言の の発音は共通語よりやや狭く、基本母音 の とほぼ等しい。
と が子音と結合せず母音単独の場合は に合一して発音され区別がない。つまり共通語のイとエにあたる音節の区別がない。具体的な発音は や 、 のような発音でやや幅がある。例えば「息」(いき)と「駅」(えき)はどちらも (エギ)と発音され、「鯉」(こい)と「声」(こえ)はどちらも (コエ)と発音されて区別がない。しかし、高年層では、「胃」「胆」のようにイという母音単独で語を形成する場合に限り、直前に軽い摩擦音を伴って や と発音される傾向が強く、「絵」「柄」は と発音されて区別がある。多くの地域では、共通語のイにあたる音節とエにあたる音節はほとんど全て に合流しており、単独の がある語は数語に限られる。やや世代が下がると、「胃」「胆」も と発音されて区別されなくなる傾向がある。また、県北方言の中には、北秋田市の旧鷹巣町や旧阿仁町などに、「息」「駅」や「鯉」「声」などのような語も や と とで区別する地点がある〔飯豊・日野・佐藤編 (1982)、286頁。〕。
共通語にない母音音素 は、共通語のアイ、アエにあたる連母音が融合してできたものであり、他の母音音素に比べて安定していない。世代が下がると との区別が失われる傾向にあり、中年層でも既に区別しない発音が一般的である。
現代の中年層以下の年代では共通語化が著しく、母音音素が共通語と同じ5つになり、各母音の具体的発音も共通語と同じになっている者が多い。また、共通語のシとス、チとツ、ジとズの混同、イとエの混同などの特徴も中年層では失われつつある。中年層では県南部ほど共通語化が進み、県北西部ほど方言音を残す傾向がある。若年層では全域でこれらの特徴が失われ共通語と同じ発音になっている〔大橋 (2002)、33-99頁。〕。

抄文引用元・出典: フリー百科事典『 ウィキペディア(Wikipedia)
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