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経口補水液(けいこうほすいえき、、)は、食塩とブドウ糖を混合し、水に溶かしたものである。これを飲用する事で小腸において水分の吸収が行われるため、主に下痢、嘔吐、発熱等による脱水症状の治療に用いられる。水に溶かす前の状態のものを経口補水塩()という。 == 概説 == 下痢、嘔吐、発熱といった症状が長期間に及んだり、あるいは高頻度で起こったりした場合には、脱水症状が起こり、小児や老人では死に至る事もある。これに対して、病院では主に点滴による水分補給が行われるが、手技の簡便さから経口補水液による治療が普及しつつある。特に発展途上国などでは感染症などに起因して脱水症状を発症する危険性が高く、また十分な医療設備がないことから、点滴治療が困難な場合がある。このため、WHOやUNICEFは経口補水液の配布を行い、発症初期での補水治療に関する啓発活動を進めている。先進国においても、特に乳幼児に対して点滴を長時間行うことは困難であり、このような場合には経口補水液による水分補給が望ましい。 脱水症状や下痢の場合、大腸で水分吸収などができておらず、さらにイオンの流出も起こることが多い。ところが、小腸でナトリウムイオンとブドウ糖が吸収される際、これに伴って水も吸収される仕組み(共輸送系)が発見され、糖と食塩を同時に与えれば、通常の水分吸収を担う大腸ではなく、小腸から水分と栄養分を補給できることが分かり、これが経口補水液の発明につながった。 経口補水液は、コレラなどの脱水症状に対して、まわりの人がスプーンなどで与えるだけで特効薬的に救命効果があり、発展途上国などで急速に普及した。〔Reducing deaths from diarrhoea through oral rehydration therapy Bulletin of the World Health Organization, 2000, 78: 1246–1255〕しかし一方で、先進国の医療では脱水症状に対して経口補水液はあまり利用されず、日本でも普及が遅れた。 熱中症などの緊急時には、水1リットルに対して砂糖大さじ 4と1/2、食塩小さじ 1/2を加えることで簡便にORSを作ることができる。発展途上国では「コップ一杯の沸騰したお湯にひとつまみの塩と一握りの砂糖を入れる」ということで普及している地域もあり、()などと呼ばれる。 ORSに重炭酸を加えることで、水の吸収効率はさらに高まる。重炭酸の前駆体であるクエン酸を加えてもよい。これは市販のスポーツドリンクの内容物に似ているが、ORSの方がナトリウム量が多い組成となっている。実際、乳幼児の脱水時にスポーツドリンクを与えると低ナトリウム血症から水中毒を引き起こすことが知られている。現在日本では、厚生労働省認可の個別評価型病者用食品としてORS用の飲料・OS-1が発売されており、調剤薬局や病院の売店等で販売されている。 古くから病人食とされている重湯はデンプン(ブドウ糖の重合体)を多く含むコメを煮て、少量の食塩を加えた食品であり、水分補給という点で理にかなった食品であったといえる〔デンプンがブドウ糖に消化されるためには唾液など消化系がしっかり活動していることが必要であり、経口補水の本来の意味と異なる。そこで塩分とクエン酸を適度に含み、唾液を呼び起こす効果のある梅干しが古来より活用されてきた。〕。ブドウ糖濃度が1.35~4%程度〔米国疾病管理予防センター (CDC) 小児における急性胃腸炎の治療:経口補水、維持および栄養学的療法 MMWR 2003; 52(No.RR-16):p. 12〕が適している。ブドウ糖とナトリウムはモル比1:1で吸収されるため〔本郷利憲他(編)標準生理学(1987年)医学書院 p.683〕、これに伴う水の吸収効率〔本郷利憲他(編)標準生理学(1987年)医学書院 p.690〕もこのモル比において最適化される。また、浸透圧は血液の浸透圧(270mOsm/L)以下がよい〔ENAcute_Diarrhoea_reprint.pdf p.6(2004)〕。 抄文引用元・出典: フリー百科事典『 ウィキペディア(Wikipedia)』 ■ウィキペディアで「経口補水液」の詳細全文を読む スポンサード リンク
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