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線維筋痛症(せんいきんつうしょう、:略FM)は、全身に激しい痛みが生じる病気である。英語では、症候群であることを表現して、Fibromyalgia Syndrome:略FMSとも記される。 原因不明の全身の疼痛を主症状とする。不眠、うつ病などの精神神経症状、過敏性腸症候群、逆流性食道炎、過活動性膀胱などの自律神経系の症状を随伴することがある。ドライアイ・ドライマウス、逆流性食道炎などの粘膜系の障害を合併しやすい。疼痛は腱付着部炎や筋肉、関節などにおよび、体幹や四肢から身体全体に激しい疼痛が広がる。 原因は不明であり、通常の医師が行なう血液検査では異常が現れない。CTスキャン、MRIを検査しても異常を発見できない。また、この病気が診断できる特別な検査は2015年時点で存在しない。診断が非常に困難な症例が多いが、圧痛点による簡易的な見分け方が知られる。 患者は、男性より女性の方が非常に多く、働き盛りの中高年に発生率が高い。 現状として、線維筋痛症は、軽症例も合わせれば推定200万人と言われる、比較的患者人口の大きなリウマチ性疾患であるにもかかわらず、日本の医療機関での認識が遅れている。その結果適正に医療を受けられている患者が極めて少なく、多くの患者は未診断、または、誤診を引き起こしてドクターショッピングを繰り返し、結果的に長く病む状況となってしまっている。医療に失望して民間療法などに流れている場合もある。このように日本の線維筋痛症の医療環境は問題がある。 そんな中でも血液による診断法の確立へと、日本の研究者の成果もあって前進している。 == 症状 == 激しい痛みが、線維筋痛症の主な症状であるが、その激しさを表現するのに、「体の中で火薬が爆発するような痛み」「万力で締め付けられるような痛み」「キリで刺されたような痛み」「ガラスの破片が(体の中を)流れるような痛み」などと形容される。 *疼痛レベルや痛みの種類は天候や気温に湿度、環境、五感による刺激、肉体的精神的ストレスで変化する。しばしば疼痛箇所は移動するが、痛みが途切れる事は無い。 *症状には個人差が大きく、軽度なら仕事を続けられる場合もあるが、重度の場合はガンの末期患者と同レベルの疼痛といわれ、日常生活に支障をきたし、自力での生活はほぼ困難である。症状が重くなると髪やつめに触っただけで痛みが走り、意識がもうろうとなり寝たきりになる。通常の日常生活(食事・買い物・入浴・着替え・歩行・寝返り等)、呼吸や嚥下すら困難になる。 *視覚、聴覚(聴覚過敏)、触覚、味覚、嗅覚の五感が著しく過敏になる。そのため僅かな音や光、軽い接触にも痛みを感じるようになる。化学物質やアルコール不耐性になり、アレルギー症状は悪化する。 *灼熱感や冷感、悪寒、穿痛感(刺されるようなチクチクする痛み)、乱切痛、アロディニアなどの知覚異常が見られる。 *思考と理解力の低下、短期と長期記憶力の低下、集中力の欠如と混乱、注意障害、遂行機能障害などがみられる。 *多くの患者に筋力と運動能力の著しい低下、筋肉の激しい疲労、筋肉の痙攣、行動力の低下、関節の痛みと腫れ、重度では自力で補助なしには立ち上がれないし起き上がれない、以前歩けた距離が歩けなくなるなどの症状が見られる。 *付随する症状としてこわばりやうずき、痺れ、振戦と震え、全身倦怠感と疲労感、耳鳴り、視力の変化、頭痛、微熱、体温調節の失調、睡眠障害、不眠と過眠、歯や歯茎、顎の痛み、口内炎、顎関節症候群、眼の奥の痛み、頻尿、寝汗、動悸息切れ、発疹、血糖値の調整異常、血圧の調整異常、月経前症候群、過敏性腸症候群、三叉神経痛などがある。 *ドライアイ、ドライマウスを高頻度に併発する。しばしばシェーグレン症候群、膠原病(リウマチ・エリテマトーデス・MCTDなど)、甲状腺機能低下症(橋本病)、潰瘍性大腸炎、血清反応陰性脊椎関節炎、等の免疫疾患を併発する。特徴として朝と夕方の疲労とこわばりやリンパ節の痛みが見られる。 *特に強直性脊椎炎や血清反応陰性脊椎関節炎の患者が合併症として線維筋痛症を罹患している頻度が高いことが知られ始めており、脊椎関節炎における多発性付着部炎の箇所と線維筋痛症の圧痛点の多くが一致するとも言われている。 *この病が直接の原因となり死に至ることは無いと言われているが、その全身の痛みは凄まじいもので、痛みの苦痛等が間接的に患者を死に追いやることはありえる。2007年2月2日に43歳で亡くなった日本テレビの元アナウンサー:大杉君枝はこの病を苦に自殺したと報道されている〔〕。(ただし、飛び降りと線維筋痛症の間の因果関係を疑問視する意見もある。) 後述のとおり、この病は患者のストレスや精神状態が症状に与える影響が大きく、神経や精神状態の改善が症状を改善させるという臨床例が多く認められている。この病は原因が不明で、患者の痛みの理由が周囲にわかりにくいことから、しばしば怠け病や詐病と周囲に誤解されやすいところが、患者のストレスを更に増加させるものと考えられる。うつ病に対する場合と同様、周囲のこの病に対する理解が必要である。 *同様の病に慢性疲労症候群(CFS)がある(但しCFSは痛みではなく疲労を伴う病である)。線維筋痛症の発症前後に合併する例も多い。症状に共通する部分があるため線維筋痛症と同じ病気とみなす医師もいる。CFSの主な症状は身体的・精神的両方における激しい疲労である。運動・精神活動後によって疲労は強くなり、休息や睡眠によってなかなか回復しない。不眠・過眠・はっきりした夢を見やすい。疲労の程度は、何とか働ける程度から、寝返りもうてないほど重症の患者もいる。 抄文引用元・出典: フリー百科事典『 ウィキペディア(Wikipedia)』 ■ウィキペディアで「線維筋痛症」の詳細全文を読む スポンサード リンク
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