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通和散(つうわさん)は、江戸時代に市販されていた日本のぬめり薬である〔笹間(1989),p285〕〔永井(2014),p194〕〔礫川(2003),pp28-29〕。閨房で使う秘薬の一種〔中野(1993),p331〕。今で言うラブローションである。主に男色の時の肛門性交で使われたが、未通女の初交や水揚げの時など男女間の性交でも用いることがあった〔〔渡辺(2013),p16〕〔蕣露庵(2003),p142〕。当時の有名な秘薬で、川柳や春本でもよく取り上げられている〔〔〔。練り木〔蕣露庵(2003),p143〕〔name="shikidou18">渡辺(2013),p18〕〔礫川(2003),p29〕、白塗香〔〔蕣露庵(2003),p144〕、ふのり紙〔、高野糊〔〔渡辺(2013),p21〕などの別称がある。 ==概要== 日本の男色の歴史は古く、『日本書紀』神功皇后紀にそれと思われる記録がある〔白倉(2005),p14〕。平安時代には、天皇や公家たちに男色が流行した〔白倉(2005),pp16-17〕。この風潮は寺社や武家にも伝わって、脈々と受け継がれていった〔白倉(2005),p17〕。特に女色を禁じられていた僧院では、平安時代にはすでに稚児との男色関係が行われていたと言われている〔渡辺(2013),p23〕〔白倉(2005),p18〕。また、武家では男色関係を通して義兄弟の関係を結び主従関係を強化する手段にもなった〔白倉(2005),p23〕。江戸時代になると、男色文化は町人にも広がり、陰間と呼ばれる男娼まで出現するようになった〔白倉(2005),p27〕。 しかし、男女の性交なら女性の性的興奮とともに膣から愛液が分泌されるが、男色で使う肛門にはそうした機能がないので、滑らかな抜き差しが難しい〔蕣露庵(2003),p141〕〔渡辺(2013),pp16-17〕。もちろん、男女間の性交でも、女の愛液が十分分泌されない時も同じである〔。そうした時には、当時も今も、普通は唾液を愛液代わりにする〔〔。しかし、唾液は手軽に利用できる反面すぐに乾いてしまうという欠点がある〔〔。そこで唾液の代わりになる潤滑剤が求められるようになった〔name="shikidou1617"/>。デリケートな場所に使用するものなので、刺激が少なくかぶれたりしないものであることが必要である〔。鎌倉時代に書かれた『稚児草紙』には、僧院における肛門性交の前に丁字の実からとれる丁字油を肛門に塗っていたという記録が残されている〔渡辺(2013),pp24-25〕。 こうした需要に応じて江戸時代に発売されたのが通和散である〔〔。通和散は、黄蜀葵の根を乾燥させた白色の粉末で、成分を和紙に吸着させた携帯に便利な紙状のタイプもあった〔〔〔。中でも江戸湯島天神下の薬屋「伊勢七」で製造・販売されていたものが極上品という評価を得ていた〔〔〔渡辺(2013),p19〕。「通和散」の名前は、唾の代わりに使う粉薬という意味で「唾(つわ)散」から名付けられたと思われる〔〔。 なお、自分で楽しむために製造する場合には、黄蜀葵を使わずに、海蘿や角股などの海藻や葛粉・鶏卵で代用する製法も伝わっている(→#製法を参照)〔〔〔。 抄文引用元・出典: フリー百科事典『 ウィキペディア(Wikipedia)』 ■ウィキペディアで「通和散」の詳細全文を読む スポンサード リンク
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